新聞投稿欄掲載経験は、伊達ではありません。短い作品ではありますが、一気に楽しく読ませていただきました。不安なことと喜ばしいことが一度にやってきて、冷静に振る舞っている上で、まるで10代の女の子のような右往左往っぷりが素敵です。でも、ちゃんと同世代にも納得の濃度の、身のあるお話に共感します。
このエッセイに描かれている場面はほぼ家の中で、核となるのは顔も知らない相手との電話の様子と作者自身の心の動き。もしも、この作品を下手な映像作家が映像化したならば、とても地味な絵面のものになるだろう。でも、読ませる文章としてこれほど魅力的なものはそうそうない。なぜなら、これは実際にあった話で、ご本人がその心の機微をドラマチックに描き切っているから。おもしろいです。私もキラキラした若い時代が遠い過去になってしまった人間ですが、そんな年代の方に是非ご一読頂きたい作品です。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(271文字)
一本の電話によって、作者さまはある忘れられない経験をいたします。遠い昔、わたしもそんなショックを受けた一人ですので、共感するものがありました。オススメいたします。