第46話 真極悪ダンジョン
「くっ!おらぁぁ!」
タダスケが吠える。
ここはダンジョン110階層、
シルバーフォッグがモンスターだ。
銀色の煙のようなモンスターだから実態があるようで無い。
魔法にはめっぽう弱いので近接攻撃をしたがって寄ってくるのだ。
「紫電」
ユニークが特殊だといいなぁ。
「電光石火」
カグヤも負けていないな。
「もう!多過ぎる!」
「しょうがないでしょ!泣き言言わない!」
「くっ!ファイヤーストーム」
炎が巻き込んでシルバーフォッグを丸焼きにする。
ドロップは銀の延棒?に魔石だ。
ボス部屋をようやく見つけ入るとなぜかサイクロプス?いや、シルバーフォッグの擬態だな。
『キュキュゥゥ!』
「業火」
業火を風邪で舞い上がらせると、
『キシュウウウゥゥ』
と、ボスが消えて行く。
「一瞬何が起きたかと思ったぜ」
「ですね!サイクロプス?って」
なんとか倒したがドロップ品は金の延棒に大魔石、ゴールドフォッグだったようだ。
宝箱には金貨がぎっしり詰まっていたので装備を整える。って言っても今使ってる天龍剣より使える剣がないからな。
“ブブッ”
スマホが鳴るので見てみると、
『実績達成、金貨百万枚達成。ショップがグレードアップします』
…ヒントなんだからもっと早く教えてくれよ。
新装備は高いなぁ、金貨なんて腐るほど持っていた気がするが新ショップで使うと無くなるのが早い。
それはみんな同じようでスマホと睨めっこしている。
これで少しは楽に戦えるだろう。
ようやく149階層にきたが、ボス部屋を探すのに時間がかかっている。リザードマンがモンスターだが、かなり強い。
「ウッ!」
「ヒール」
「サンキュー」
「いいからさっさと倒しな!」
「アイヨット!」
ようやく見つけた頃には夕方だったので部屋に帰る。
「クハァー!今日は疲れたっすね!」
ソファーに座るとシンジが口にする。
「なんであーしがシンジにヒールなんてかけなきゃいけないのさ!」
「俺だってかけてましたよ?」
「まぁまぁ、お互い様だろ?それよりもボス部屋に何がいるかだな」
「そりゃリザードマンの上位互換じゃ無いのか?」
タダスケが正しいが極悪ダンジョンだぞ?
「だって元を正せば竜なんだから竜が出てきてもおかしく無いわけで」
「竜と戦うのかよ」
「かもしれないって話だろ?」
極悪ダンジョンの時もドラゴンだったしな。
「ドラゴンかぁ、あの時はなんとかなったけど」
「今回はもうちょっとレベル上げしてから行くか!」
「すね!ちょっと今のままじゃきついっすよ」
「だな!」
レベル上げをしてからボス部屋に行くことになった。
ウーバーを頼むのが今じゃ普通になってきた。どこかに行く元気が無い。
「おっ!俺らが頑張ってる間になんか出てきてるぞ?」
テレビを見ると花京院兄妹に他数名がテレビに出ていた。
『魔王パーティー?今何してるのかわからないのにそんなのに頼ってもしょうがないでしょ?』
「くっそ!こんなのにあーしらはいいように言われるのが腹立つ」
「そうですよ!こっちにはこっちの都合があるんです!」
テレビに向かって言ってもしょうがないだろ?
『いまクランに入るメンバーを募集してますのでお気軽にお越しください』
「河合クランで味しめたな?」
「あのバカそうな兄妹には出来ないっすよ」
「あ、ランキングに私達はギリギリ入ってますね」
「外す事はしないでしょ?」
「分かんないわよ?死んだ人扱いされてるかもしれないしね」
「うーん、たまには他のダンジョンでも攻略する?」
俺が言うとみんな考えて、
「だな、ランクSでも攻略しよう」
「日本にあるんだっけ?」
「富士山ダンジョンだよ」
あぁ、あそこがSランクなんだ?
「まぁ、チャチャっと攻略してしまいましょうか」
真希はウキウキしているようだ。
「SSSからのSだからって無理しないようにな!」
「「「「「「「おう」」」」」」」
富士山ダンジョンにはレンタカーを借りて行く。走ったほうが早いけどテレビ局もついてきてるからな。
『カシュッ、キュイイィ』
「あ、これ自動録画装置でして一番後列の人が持っててください」
と受信機を渡されるとユカリに渡す。
「え?わたし?」
「弓使いだから適任だろ?」
「えー、しょうがないなぁ」
と持って行く。
「では、お怪我されないように!頑張って下さいね」
テレビ局は門の前で実況するようだな。
「これで負けたら恥よね?」
「負ける要素がないだろ?」
「っすよ!SSSダンジョンなんかより楽勝っすよっと」
「シンジが転けたの全国放送で映ってるよ?」
「あ、あはは、まじかぁ」
「しっかり挽回しないとな」
「うっす!」
1階層からシンジが飛ばしている。俺たちはついて行ってるだけだ。
「ちょっ!ちゃんとやって下さいよ!」
「お前がな!敵が残らないからついて行くしかないだろ?」
「…張り切り過ぎちゃった」
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