第43話 魔王パーティー
それから一月たらずでスタンピートが発生する速度が上がったように感じる、いや確実にスタンピートが多くなっている。
「何がどうなってるやら?俺らの仕事もてんてこ舞いだぜ」
「仕事がある方がいいですよっと」
その為仕事に忙殺されて忘れていたんだ。ヒントアプリのことを。
「最近は毎日どこかでスタンピートが起きてるわね」
「だな。なんでだろうな」
“ブブッ”
スマホを見てみるとヒントアプリが立ち上がっていた。
・素振りをする一万回 680/1000
・ダンジョンを攻略する 0/15
・ダンジョンを生成する 0/15
・モンスターを1500体 1500/1500
『実績達成、スタンピートの速さが上がります』
「な、なんで今更?」
「どうしたの?え?!これどう言うこと?」
「ヒントアプリが今更になってあの時のスタンピートのことを持ち出したのか?」
“ブブッ”
・どちらかを選択し実行してください
ダンジョンを攻略する。
ダンジョンを生成する。
「くそ!今はダンジョンを生成するだ!」
“ブゥンッ”
『実績達成、スタンピートの速度低下』
「俺はこのアプリから逃れられそうにないな。ならとことん付き合ってやるよ!」
「…わたしもよ」
カグヤが俺の手を掴む。
スマホの画面がチカチカと光っている。
タダスケだ。
「よう、パーティーメンバーは要らないか?」
「ちょうど欲しかったところだよ。だがなぜ分かった?」
「スマホのパーティーメンバーのアプリが光ってだからな」
「なら他のメンバーにも言ってるかもな」
「グループチャットに点滅があるぞ」
グループチャットを開くと、
みんなからおかえりと言うメッセージと、シンジからスタンピートのお知らせがあった。
またパーティー結成だな。
「ここのダンジョンはどうするの?」
「ま、後ででいいだろ?」
「そうね、それじゃあひさしぶりにいきましょうか」
「あぁ!」
シンジの言ってるスタンピートの場所は千葉県だったが、走って一時間でなんとか着いた。
「遅いっすよ!」
「悪いな、これでもブランクがあるんだ」
シンジは大剣を地面に突き刺して笑っている。
「お帰りなさいっすね」
「あぁ、ただいま」
スタンピートはすっかりなくなっていた、シンジが1人で片付けたらしいな。
スマホを見るとみんなからいけないとのことだった。みんな各地に広がっていたみたいだ。
シンジは俺らを抱いて写メを載せ、
「新メンバー募集」と書いて見せた。
みんなからはブーイングの嵐だ。
それからまた真希にパーティーハウスに呼ばれる。
「あーしは分かってたしね」
「うそつけ!まぁ、こんなに時間がかかるとはね」
ユカリはタマキに突っ込んでいる。
「シンジはまたデカくなったのか?」
「育ち盛りっすから」
「育ち過ぎ」
タダスケがシンジに聞く、十六夜が突っ込む。
「2人とも久しぶりです」
真希だけだな、普通なのは。
「そんじゃひさしぶりにカンパーイ!」
「「「「「「「カンパーイ」」」」」」」
仕事は辞めてきたしこれで俺もまたダンジョンに行くしかなくなったわけだな。
この一年でみんなはレベルが上がっているようで着いていけるかわからないがまぁ、大丈夫だろうな。
「ちょっと追いつくために俺とカグヤは自主練してから合流するからさ」
「また極悪ダンジョン作ったわけ?」
タマキが聞いてくるので頷く。
「極悪ダンジョンほどではないけどランクSはあるだろうな」
「ランクSなんて最近行ってないよ」
タダスケがそう言うと、
「海外は結構あるみたいだけどね」
「まぁ、こんなちっちゃい日本でこんだけダンジョンがあるんだから海外なんてもっとあるだろうさ」
とこっちが真剣に話をしていると突然ゆかりが何かに反応した。
「あー、結婚指輪してるし!」
「私も付けたい」
「いや、1人に対してでしょ?」
「いいじゃん2人とももらっちゃいなよ!」
タダスケ!嫁がいるお前にはわかるはずだろうが!
「ここにフリーがいますけどー!」
「シンジは却下」
「ひどすぎっす」
なんだかんだで仲良く戻ることができた。
「パーティー名どうします?」
シンジが聞くとタマキが、
「あーしは魔王でいいと思う」
「あははは、いいじゃんそれ!」
「きまりだね」
「酷過ぎないか?」
「まー実質魔王であってるんだからいいんじゃね?」
魔王か、悩んだ時もあったけどこれはこれでなんとかなるわけだろ?
ヒントアプリが曲者だけどな。
「んじゃ多数決で魔王パーティーで」
「まぁ、どうでもいいさ」
「はい、決まりー!」
「魔王なら側室だっているよね」
「いる」
「いらないから!私のタクマだ」
「おーぼーだ!」
「横暴」
「魔王の嫁が一番怖え」
「あ?!」
シンジがおどけて見せるがカグヤをこれ以上おこらせないでくれよ?
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