第42話 ダンジョンのある生活
仕事帰りにダンジョンで素振りを一万回するのは日課になっている。
「これはバレたら怒られるだろうな」
実績達成で免許皆伝(剣)を取得した。
それからもやはり体を動かしたくなったらこれを行なっている。
まぁ、これくらいは息抜きでちょうどいいだろう。
汗はクリーンを使って綺麗にして帰る。
「お帰りなさい」
「ただいま」
カグヤも大人しくなり、いい嫁さんになっている。
「なによ?」
「ん?うちの嫁さんは可愛いなぁと思ってさ」
「もう、ほんと口が上手いんだから!」
耳まで真っ赤にしているカグヤはキッチンに向かう。
キッチンから始まったんだよなぁと思って感慨深く思っていると、こちらを見たカグヤがまた顔を赤くする。
それにしてもテレビをつけるとどこでもダンジョンだらけだなぁ。
おっ、やっとダンジョン保護法が無くなったのか。
世界規模だから決めるのに時間がかかったな。
いまでは冒険者にもランクがついていてもちろんあいつらは最高のSランク冒険者になっている。
そんな中、いつもと違う音がスマホから流れる。
“フォンフォンフォン”
「な、なんだ?スタンピート?」
「えっ!なんで?」
近くのダンジョンがスタンピートしそうだということだろう。
「早くシェルターにいこう!」
「分かったわ」
ガスの元栓を切り、避難リュックを背負いシェルターに駆け込む。
「リューちゃん?リューちゃん!」
「どうしたんですか?」
「うちの子が見当たらなくて」
「チッ!いってくる」
「タクマ!大丈夫?」
「あぁ、これくらいならな」
外に出るとスタンピートは始まっていた。
シェルターの扉は閉められてしまったがその子をまずは見つけないとな。
「リュー君!リュー君!」
「は、はーい!助けて!」
良かった、シェルターに間に合わなかっただけみたいだな。
さて、久しぶりに暴れますか!
スタンピートが収まったのはそれから一時間ほどだった。それまではリュー君を守りながらモンスターを倒していた。まだそれくらいはできるようだ。
「タクマ?タクマじゃないか!」
「タダスケか、久しぶりだな」
「なんでシェルターに入ってないんだ?」
「この子が入り遅れてな」
俺の後ろから顔を出すリュー君。
「タダスケとこうやって話すのも久しぶりだな」モンスターを斬っていく。
「そうだな、一年ぶりくらいかな?」
タダスケは二刀流で切り刻んでいく。
「なまってないみたいだな」
「まぁな」
俺が大物を倒すと、近寄ってきたタダスケが手を挙げるので、“パン”と手を合わす。
シェルターは時間で開くことになっているのでもうモンスターがいなくても待ってないといけない。
「おじさんはなんでそんなに強いの?」
「リュー君にだけ教えるね、正義のヒーローだからだよ」
「わかった、黙っとく」
リュー君は真剣な顔で口に手を当てる。
「あははは、そう言うところはタクマらしいな」
「俺だって好き好んで出てきたわけじゃないんだぞ?」
「あぁ、分かってるよ」
「ふぅー、久しぶりに動いたから暑くなってしまったな」
「タクマが親父みたいなこと言ってら、それで?なんて言うまでもないか。俺のせいにするんだろ?」
「人聞きの悪い、白井忠輔が助けに来てくれたから大丈夫だったと言うだけだよ」
「まぁ、なんでもいいさ、久しぶりにタクマと戦えたんだしな」
ほらシェルターが開くとそこからリュー君のお母さんが急いで走ってくる。抱きしめて離さない。
「悪くないって思ってるんだろ?」
「あぁ、悪くはないな」
「タダスケ、良かったあんたもきてたんだね」
「カグヤも久しぶり」
「あんたの活躍は聞いてるよ」
「あはは、嫁さんはもうやめろって言ってるけどな」
「あんたもいいとしなんだから仕事しなさいよ」
「俺はまだまだダンジョンで食ってくつもりだ」
そうか、タダスケはダンジョンを仕事と考えてるんだな。
「じゃあ、俺はいくよ、2人とも元気でな」
「あぁ、タダスケもな」
タダスケはダンジョンに向かって飛んでいった。
「ありがとうございます。なんとお礼を」
「白井さんがきてくれたんですよ」
「えっ!あの二刀流の?」
「そうです。だから2人とも助かったんです」
リュー君は口に手を当てている。
「そうでしたか、でもありがとうございました」
「いえいえ、もう大丈夫なんで」
タダスケは今も昔通りにダンジョンを駆け回ってるんだな。
「ん?カグヤ?どうした?」
「本当に勝手なんだから!」
「ん?」
「でもちゃんと帰ってきたから許してあげる」
「あははは、なんかわからんがありがとう」
「スタンピートは久しぶりだけど何かあったのかしら?」
「さぁ?なんでだろうな?」
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