第39話 北海道


 ダンジョンを何とか九つ攻略したんだが最近はクランが出てきて攻略するまで居座るもんだから最後の一つがまだ攻略出来ていない。

 

「遠征しますか?」

「それしか無いのかな」

「だって東京はもう無いですよ?」

「旅行がてらでいいじゃ無いか?」

 こいつら旅行に行きたいだけじゃ無いのか?

「で?どこに行く」

「絶対北海道!」

「さんせーい!」

「今度は北か」

 北海道なら広いしダンジョンもあるだろうなぁ。

「ならいくか!」


 春も近いのにこの寒さ。

「舐めてた!あーし寒いの苦手じゃんね」

「もっと厚着した方がいいですよ?」

「うん、こりゃダメだ、買い物に行こう」

 北海道に着いた途端これだ。

 ちなみにタダスケの嫁のミチルさんも来ている。

 北海道ときたらカニだな。寿司もいいかも。っと俺まで旅行気分になってるな。


「腹減ったっす!寿司食いましょうよ」

「いいねぇ!」

「まぁ、腹が減っては何とやらだからな」

 カグヤも食いたかったんだろうな。


 服を買って着てから寿司屋に行く。

「うに!いくら!」

「俺は大トロ!」

「おすすめで」

 みんな好き勝手頼んでるなぁ。


 まぁとりあえず美味いもの食ったから今日の宿にチェックインしてダンジョンに入るか。


 ダンジョンはAランクが近くにある宿にしたのでちょうどよかった。

 

「んじゃちょっくら行きますか?」

「ん?こいつ酒臭いぞ?」

「らいじょーぶっす!ちょい飲んだだけっすから」

 まさか!?

 女部屋に行くと、

「飲んだやつ!」

「はーい!」

 ユカリとタマキが飲んでいた。

「今日はお休みですね」

 ミチルさんが嬉しそうに言う。


「仕方ないですね。今日は休みにします」

「「やったー」」

 女部屋からはカグヤと十六夜を除き小躍りしている。

「あーあ、だめだったか」

 カグヤがしょうがない顔をしている。

「まあ、無理もないか、このところダンジョンばっかりだったからな」

 これはもうしょうがないと思うしかないな。

「タダスケ、女将に言って夕飯を早くにできるか聞いてきてくれるか?」

「しょーがないなぁ」


 まぁ。寿司が美味かったんだから酒も飲みたくなるわな。


「いぇーい!飲み会ダァ!」

「えーい!ひっつくな!ユカリ!」

 俺に引っ付くユカリを引っ剥がして寝ころばせるカグヤ。

 ほんとにこいつらは呑気だなぁ。

「あははは、ユカリひでぇっす」

「おまえもな、夕食まで部屋にいるぞ」

「うーっす」


 夕食は少し早めにしてもらえた、

「美味っ!このカニ」

「カニは美味しいっすねー」

「っかー!酒もうまいぜ」

 ほんとダメな大人大集合だな。

「昼間っから飲む酒ってなんでこんなうまいんすかね?」

「知らねーよ!それに俺はまだのんでないっつーの!」

「のまないんですかぁー?」

「のむっつーの!」

 グビリと酒を飲むと食道を通って胃の中が熱くなる。

「っかー!効くなぁこれ」

「そうっすよ!美味いんすよね」

「だぁ、暑苦しいから寄るな」

「私だったら「待てー!私のタクマになにをする」きゃー!」

 カグヤが持ち上げてポイっと捨てられるユカリ。

 俺の横に来て尺をしてくれるカグヤの色っぽい仕草は反則だ。

「ほら、おひとつどうぞ」

「う、あ、ありがとう」


 はちゃめちゃな夜は過ぎていって夜はよく眠れたが、これはどう言うことだ?

 先に目が覚めた俺の横にカグヤがいるのはまぁいいだろう。

 反対には十六夜がひっついているし上にはユカリが乗っている。

「あ、おはよ」

「おはようございますぅぅ」

“ガシッ”

「誰の彼氏だと思ってるんだ?」

「減るもんじゃないしいいじゃないれすか」

「だめじゃー!」

「それじゃあ私が」

「こら十六夜!」

 と朝から一波乱あって、の今日だ。


 ダンジョンに向かうや、ランクAに入っていく。ミチルさんも昨日はタダスケと寝たらしく、ご機嫌だ。こっちは修羅場だったんだが…


「よっしゃ、いっちょやったりますか!」

『キシャー』

「うお、カマキリかよ!でっかいし何かと思った」

「シンジ!よそ見すんなよ」

「分かってますって」

 1階層からこれだから先が思いやられるな。


 結局今日は30階層まで粘ってから宿に戻る。

「ここのAランクってSランクじゃないっすか?」

「シンジが、もうちょっと動ければ普通のAランクだよ」

「え、たしかに今日の俺は酒が残ってましたけど」

「だから今日は禁酒な!シンジ」

 タダスケに言われて凹むシンジ。

「そんなぁ、うっ!ううっー」

「分かった泣くなよ、飲み過ぎるなよ!」

「はいっす」


 宿に戻れば今日は蟹鍋だった。

 黙々と蟹をほぐしては食べる。

 そこからはまたあの酒が登場する。

 だが飲まない。

 今日ビールだけにするんだ。


 朝起きると今度は上に十六夜が寝ている?

 カグヤは左だ右はユカリか。

「おはよう、タクマ」

「十六夜!やめろ!昨日もこれでちゅ」

「こら十六夜!離れろ」

“シュッ”

「離れた」

「私のタクマになにしてるんですか!」

「こら私のタクマだ!ユカリのじゃないし、十六夜も悪ふざけが過ぎるぞ?」

「私は本気」

「なお悪いわ!」

「彼女は1人とは限らない」

「んー!」

 また朝から修羅場だぁ!

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