第26話 ダンジョンの恵み


 神奈川のダンジョンを攻略するのはかなり楽だった。

 やはり人が多いとそれだけ難易度が違うのだろうか?

 いまダンジョンコアに手をつけてスキルを付与してもらったので収納するとギルドに戻される。

 ・ダンジョンを攻略する 2/3

 あと一つだな。


 するとあちらこちらから啜り泣く声が聞こえてきた。

「あぁ、せっかくの魚介類ダンジョンが」

「だれだよ、攻略したのは!」

 しまったと思いそそくさと退散する。


 そうか、魚介類が美味しかったからみんなにとって良いダンジョンだったんだな。


「これからはギルドに聞いてから攻略するようにしようか」

「はーい」

 ダンジョンで儲けてるのは河合クランだけじゃなかったようだな。



 神奈川の奥に入っていくとダンジョンがあるって聞いたので行ってみるとギルドというか掘立て小屋のようなものを発見した。

「ここはギルドであってるのかな?」

「はい、ここはギルド焼山になります」

「ここは攻略しても問題ないですか?」

「え!攻略してくれるんですか!やった!」

「あはは、攻略できればですが」

「いえ、攻略に来る人も少なくて、こんな小屋みたいなギルドに配置されて困ってたんです」

 そうか、それなら大丈夫そうだな。


「では、よろしくお願いします」

「あ、はい」

 ダンジョンに入って行くとこれまたダンジョン!って感じの石造りのダンジョンだ。

 

 今日は25階層を目指してみる。

 出てくるモンスターは泥人形なんかや禿鷹なんかが出てきたがこちらの敵ではなかったのでそのまま30階層まで行ってしまった。


「なんか楽勝っすね」

「わからんぞ?注意するのに越したことはないだろう」

「うっす」

 他のみんなも一応は緊張感を持ってダンジョンには挑んでいる。


 だが、宿に戻ると宴会モードにすぐ切り替わる。

「飲むぞー」

「「「「「おおー」」」」」

 海産物も美味いし、この宿にして良かった。酒が進むが酔う感覚がないことに違和感を覚えた。

 まさか毒無効で酔わないなんてことはないよな。


 みんなが酔い潰れてる中1人づつ部屋に戻して行く。

 カグヤも抱き起こしながら部屋に戻る。

「酔ってないのか?」

「あぁ、酔いの耐性がついてしまったようだ。残念だよ」

「そうなんだぁ、なら抱きつき放題だな」

「こら酔っ払い、まぁカグヤならいいけどさ」

 その日の夜は暑く燃えるような夜になってしまった。


「寝不足か?」

「あぁ、分かるか?」

「まぁな、ハッスルしすぎだ」

「悪いな、ちょっと抑えるよ」

 とタダスケと喋りながらダンジョンの中を進む。

 カグヤは至って元気だな!寝不足じゃないのかよ?

「さぁ!みんな張り切っていくぞ!」

「あはは、ふぅ」

 さて、俺も頑張りますかね。


 敵はグール、ゾンビに似ているな。


 グールを斬り裂きドロップ品を回収する。


 なんでこんなダンジョンが出来たのかは始まりのダンジョンを攻略したところから始まったんだからどこかに終わりのダンジョンがあってもいいような気がするが、まずは目の前の敵を倒して行こう。


「ヒール」

「あ、ありがとうございます」

「油断大敵だよ?」

「あは、それを言われると痛いですね」

 ユカリが怪我をしたので回復魔法を使ってやったが、ユカリは回復魔法を取得してるはずだが?


「あ、私諦めないことにしましたので!」

「は?はあぁ?」

「やっぱりタクマさん以上の男が居ないんですよねー、だから諦めません」

「ダメだぞ!タクマは私を選んだんだ!」

 カグヤもやって来た。


「ほら一夫多妻制とか?あるじゃないですか?それでいいと思うんですよ」

「よくなーい!」

「あれー?取られるのが怖いんですか?」

「そ、そんなことはない!私を好きと言ってくれているからな!昨日だって「ああああぁ!」タクマ?」

「そう言うことはこんなみんなのいる場所じゃ言わない!それにユカリも焚き付けるなよ」

 カグヤはウブなんだから。

「私の方が絶対幸せにして見せますから!」

「いーや!私の方がだな!」

 “バチバチ”と見えない視線がぶつかっているようだ!


「まぁ、宣戦布告ですから」

「受けて立ってやる」

 そこ!同じ土俵にたたないでよ!


「カグヤは俺の彼女だからな!ユカリは諦めてくれ」

「だから言ってるでしょ?嫌だって!私は本気ですから」


 うーん、これは波乱の予感しかない。


「一夫多妻か…」

「変なこと考えるなよ?」

 カグヤにも釘を刺しておく。


 49階層、ボス部屋。

「タダスケ!」

「オッケー!風の刃!」

 狼男に傷がつく、

「オラァ」

 俺の剣も受け止められるが、

「うおぉぉ!」

 横からの大剣は避けられないだろう!

 

 シンジがトドメを刺して49階層クリアだ。


 ドロップ品はウルフの毛皮に牙、魔石。

 宝箱には初級火魔法の魔導書とミスリル鉱石、あと金貨が数枚。

「強さの割にショボかったね」

「まぁ、こんなもんだろ?」

 50階層に上がるとダンジョンコアに触れる。

 スキルが授けられてダンジョンコアを収納するとギルドに強制転移する。

「あ!攻略してくれたんですね?!ありがとうございます!」

「いや、嬉しそうで良かったよ」

 ギルド職員のお姉さんは胸を弾ませながらどこかに連絡している。


 ギルド本部だろうな。

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