第25話 神奈川遠征


 レンタカーを借りて俺たちはいま高速を走っている。

「どこに向かってるっすか?」

「今は神奈川に向かってるよ」

「近場っすね」

「遠すぎても疲れちゃうからな」

 日帰りでも行ける距離の海水浴場を選んだわけだ。

 まぁ、宿は取ってあるけどな。

 この神奈川遠征で二つのダンジョンを攻略するつもりだ。


 しかし久しぶりに運転したが感は鈍ってないようで良かった。


 到着してからは宿にチェックインして近くのダンジョンまで車を走らせる。

「少しくらい遊びましょうよー」

 とタマキが言うがまぁそれもありだがとりあえずダンジョンを見てからかな?

「とりあえずダンジョンを下見してからにしよう」

「ぶー」


 ダンジョンはギルドがあるからすぐにわかる。駐車場に停めてダンジョンに入って行く。

「ウオッ!海岸沿い?」

 フィールド型のようだな。

 1階層はスライムか、これなら多分50階層までだな。

「でどうする?」

「20階層くらいまで行ってみるか?」

「えー、遊ぼうよー」

 タマキが遊びたがっているのでダンジョンから出て海水浴場にいくことにする。


「じゃじゃーん」

「おお、目のやり場に困るな」

「そんなジッとみるからでしょ?」

「あははは、似合うねー!」

 タマキは首で止めるタイプのビキニを着ている。とてもセクシーで似合っているな。

「あはは、海水浴なんて久しぶりですね」

 ユカリはピンクのビキニだ、いつもと違い可愛らしさとセクシーさが顔を出している。

「こら、そこの!鼻の下を伸ばしてるんじゃない」

 カグヤは大人しめのビスチェビキニというやつだろうか?なかなか似合っている。

 

 まだ海水浴場は賑わっており、屋台なども出ているので久しぶりに羽を伸ばせるな。


 ここは遠浅の海が魅力で波打ち際で日光浴をしていると隣にカグヤが座って来た。

「美しいな」

「自分が?」

「なっ!そんなこと言ってないだろ!この景色だ」

「分かってるよ」

 笑いながら水をかけられる。


「これでダンジョンがあるんだからビックリだよな。ファンタジーだ」

「そうだな、だがダンジョンのおかげでタクマに出会えた」

「小っ恥ずかしいこと言わないでくれよ。まぁ、その通りだけどさ」


 ふたりとも顔を真っ赤にしていたら、

「はいチーズ!」

「なっ!シンジ!」

「シャッターチャンスは逃さないっすよ」

「あははは」

 

 その日は海水浴で夕方まで遊んで、宿に戻ると宴会だった。

 ちょっと焼きすぎた肌がほてっているがやはり仲間とのこう言う遊びも大事だよな。


 まぁ子供じゃないが、大人しかできないこともあるもんだ。


 次の日はダンジョンにまた入って本当に20階層までスルスルっと来てしまった。


「ここら辺のやつなら敵にもならないねぇ」

 本当にその通りだな。

「いまは…お昼か、昼飯食べてからもダンジョンだろ?」

「そうしようか、サッサと攻略してしまったほうがいいだろう」

「さんせーい」


 このダンジョンの特性なのか、ドロップ品が海産物なんだよな。

「美味っ!」

「このエビもプリプリだよ」

「こんなところでバーベキューとはな」

「ほらそんなこと言ってないで食べてみろよ」

「美味っ!これ美味い」

「だろ?」

 不思議なんだよな、ダンジョンでこんなに楽しんでることが。他のみんなは命懸けで攻略しているのに。


 まぁそれはそれでいっか。俺たちのペースで楽しくダンジョン攻略をしていけば。 


 バーベキューも終わり、ダンジョン攻略を再開する。

 

 30階層のボス部屋、シュリンプマンというのが出て来た、手にはトライデントを持っているエビのような外骨格を持った敵だ。

「ファイヤーストーム」

 やはり火属性とかままなり属性に弱いようですぐに消えてドロップ品になってしまった。

 ドロップ品は甲殻と魔石だった。宝箱にはトライデントと初級水魔法の魔導書だった。

「うーん、旨みは無いなぁ」

「だね、でも30階層だしこんなもんじゃ無いか?」

 タダスケが諭すのでその通りかと思った。

「よしこの調子だともうちょっといけるな!」

「えー?明日にしようよ」

「ん?そうか?なら今日はこれで帰るか」


 また宿に戻ると宴会をし出した。

“ブブッ”

 おっ!もうそろそろだと思ったんだ。

『毒を飲むの実績達成、スキル毒無効を手に入れました』

「よし!」

「ん?どうしたの?」

「いや、ヒントアプリで毒無効を手に入れたからさ」

「本当?それは良かったね!」

 本当だよ、俺が回復魔法が使えるけど毒になったら洒落にならないからな。

 

 宿は三部屋取ってある。俺とカグヤ、タダスケとシンジ、ユカリとタマキだ。

 

「私はこんなに幸せでいいのだろうか?」

「あはは、またそれ言ってるね。俺も幸せだからいいだろ?」

「私は自衛隊中心の生活だったからな」

「それはしょうがないと思うけど、いまは一般冒険者だぜ?楽しまなきゃ」

「そうだな」

 俺たちはキスをして一緒の布団で眠った。

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