第13話 研究所
研究所に着いた俺たちを待っていたのは、身体検査からだった。
「俺はモルモットになった気分だぜ」
河合がそう捻くれたことを言うが合っているだろう。
「実際はそうだろうな」
「ダンジョンボードも取られたまんまだしな」
研究所ではスマホは取られなかったがダンジョンボードは全て渡すことになり、俺たちは検査を受けることになって3日が経つ。
呼び出されたのは4日後、会議室のような場所に七人全員が集められた。
「それではこれにサインをしてもらいたい」
この人は軍服姿の陸将だと言うことだ。
書類に目を通すとそこにはダンジョン以外では力の行使をしないなど100以上ある項目の書類が俺たち全員に渡された。
「サインしなかったら?」
「ここからは出せないな」
「はぁ、書くしかないか」
緊急時に呼び出しがあるとかじゃないわけで、一般の生活を送っていればいいだけの項目しかなかったのでサインをした。
「それではサインしたものから順にダンジョンボードに触って貰う」
「ん?ダンジョンボードに触るとどうなるのだ?」
クロガネが聞くと、
「そこに手のひらの形をした窪みがある。そこに手を当てるとステータスが見れるようになるのとカードが発行される」
「カード?」
「そうだ、冒険者カードと名付けられたカードだ、それを持っていないとダンジョンには入ることはできない」
「私達はどうなるのですか?」
「君達は隊を抜けてもらう」
「は?」
「フリーの冒険者になってもらうと言うことだ」
なぜこれだけ強くなった人間を手放すのだろうか?
「なぜ?」
「君達自身、隊に所属していたということを抹消させてもらった」
「そう言うことか…ダンジョンは!始まりのダンジョンは無かったことにするのか!」
「そう言うことだ。それ相応の対価も渡すつもりだ」
国はあくまでも知らなかったと言うことで話を進めていきたいんだな。
「はぁ、そんなことだろうと思ったぜ」
河合はサインを書いてすぐにダンジョンボードに手を置いた。
「これがカードか?特徴は?」
「これはキャッシュカードにもなるようにした、そこに金は入っている」
「はん!そうですか、んじゃ一抜けで!拓磨にはまたメッセージ送るからな!」
と河合は出て行ってしまった。
俺もサインを書いてダンジョンボードに手を置く。
ダンジョンボードが光り輝くと、カードが排出された。
名前とランク?が表示されている。
裏面には何も書いていない。
「沢君には莫大な金額が入っている。一般人だからな」
「そうですか、分かりました」
俺はそれを聞くと外に出た。
続々とサインをしてカードを持った仲間達が出て来た。
「ふぅ、これでも一尉になるのに苦労したんだがな」
「しょうがないですよ」
白井さんが宥める。
「はぁ、なぁんか気に食わないっつーか!」
環が怒っているが、紫は我関せずで俺のところに寄って来て。
「これで拓磨さんと一緒になりましたね」
「ん?あ、あぁ」
「私のことは
「あぁ、まだ先のことみたいだがな?」
「ふふ、それでも嬉しいです」
紫は怪しい目の光を放っている。
「俺はクロガネさんに着いていきます!」
大垣はクロガネさんについていく宣言か、
「私も一般人になったんだ、それにこの仲間は外れないんだろ?」
「いや、外せますよ?」
スマホをいじればパーティー解除ができるはずだ。
「そこは外れないでいいんだよ!もうっ!あと、これからは拓磨と呼ばせてもらうから私も
「俺も
白井さんも下の名前になった。
「俺も俺も!
大垣もかよ。
まぁ、1人足りないけど研究所前では何だからって移動することになった。場所は居酒屋だ。
「あーしも
「わかったっての!みんな下の名前で呼ぶ」
結局みんな下の名前になった。
それからは愚痴大会になってしまったが、グッとみんなが近くに感じるようになってじったな。
「俺悔しいっすよ!なんでトカゲの尻尾みたいな扱いされないといけないんですか!」
シンジが泣いて言っているが、国が決めたことなんだからしょうがないな。
「俺たちには人権はないのか!」
タダスケも酔ってるなぁ。
ユカリは俺の腕に抱きついて寝ているし、カグヤはしんみりと酒を飲んでいる。
「カグヤ?大丈夫か?」
「あ、あぁ、これからどうしようか考えていたんでな」
まぁ、そうだわな。
「そりゃぁ、冒険者しかないっしょ?あーしはもう吹っ切れましたし」
タマキは酔っているが、俺もそれが一番いいと思う。
「そうだよな!んじゃこのメンバーでパーティー組むか!」
「河合はどうするんだ?」
「そうだな、保留だろうな」
「分かった」
「それじゃあパーティー結成にカンパーイ」
「「「「カンパーイ」」」」
1人足りないと思ったらユカリは夢の中だったな。
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