第14話 本当の始まり


「んっとに、みんなタクシーに乗せたから良かったものの酔いが覚めちったな」

 居酒屋ではみんなが泥酔してしまいタクシーに乗せるのに一苦労だった。


 たまには歩いて帰るかと歩き出す。


「はぁ、夜風が気持ちいいなぁ」


 でもこれからのことを考えるとこんなことも言えなくなるのかな?研究所にあった異世界やダンジョンの物語を読むとスタンピートなんかもあったりして危ないんじゃないか?


 国はシェルターなんか用意しているのだろうか?

 対抗策は?冒険者頼りだと反乱が起きそうだが。


 歩いていると自動販売機があったので缶コーヒーを買って飲みながら帰る。


 頭がスッキリしてくるにつれていろんな想像をしてしまうが俺1人では何も出来ないだろうな。

 せめて自分の周りだけでも安全でいて欲しいものだが。



 部屋に帰り着くとソラを出してやり、スマホを弄る。金貨がいっぱい手に入ったから前から欲しかった回復の魔導書を買う。

 開くと一気に頭に入って来て気絶しそうになったがなんとか耐えれた。

「うぅ、これで回復魔法が使えるのか?」

 別にポーションもそれなりに手に入れているんでいいのだがあるとないとじゃあった方がいいに決まってる。


 あとはヒントアプリだが、

 ・毒を飲む 58/100

 ・ダンジョンを攻略する 0/1

 ・素振り一万回 0/365

 なんか増えてるし…しかも最後の一万回はつらいぞ?


 まぁ、いままでヒントアプリ頼りでやって来たんだからやるけどさ。


 次の日は朝からメッセージで起こされた。

『テレビ見て』

 カグヤからのメッセージだ。

 テレビをつけると総理大臣が演説している。


 要約すると、ダンジョンができたから勝手に入らないでね。それとギルドを作ったからダンジョンに入りたい人はギルドに登録してカードを持って安全に入って下さい。ダンジョンは誰のものでもないですがダンジョン産の物は買い取ります。最後にダンジョンで死んでも責任は持てません。


 な、なんていい加減なことを言っているんだろうか?

 何年も前から異世界物のアニメなどを流行らして置いて関心を寄せ、いざダンジョンができたらアニメなんかと一緒で責任は持ちませんなんて!


 でもこれが戦略なんだろうな。

 国は国で動いてるんだろう。軍を動かしてダンジョン攻略をしているのだろうな。


 さて、ヒントアプリにもあったし、ダンジョン攻略と行きましょうかね!


 カグヤ達とメッセージをやり取りして一番近くのダンジョンギルドに集まることになったが、人が多くて酷い有様だな。


 喜んでる奴もいれば落ち込んでる奴もいるし反対派がデモ行進してる奴らもいるのでカオスな状態になっている。


「あ、タクマさん!」

「おう!ユカリ」

 ユカリがくるとゾロゾロとカグヤ達も集まって来た。

 みんな大荷物なので俺の無限収納に入れておく。流石に今日の今日で装備を整えてる奴はいない。みんなバッグや袋など被せて持って来たみたいだ。シンジの大剣が一番目立っているな。

 貸し出し装備というのがあるらしいが俺らにはいらないからな。


 河合はメッセージを送ってみたがやめとくとのことだった。


 さて、ダンジョンに入場した俺たちは装備をして走って1階層を抜ける。

 流石に2階層には人はおらずゆっくり慣らしながらダンジョンを進んでいく。


「この弓使いやすいです!」

「そりゃよかった!他にいる物があったら言ってくれ、金貨は結構溜まってるんだ」

「あーしもバッグが欲しい!」

「あわ、私もです」

「俺も大剣を隠すのに必要だと」

 みんな装備があるからな。

「分かった、好きなのを選んでいいぞ」

「「「やった!」」」

「いいんですか?」

「タダスケも選べよ?必要なものはどうしてもあるからな」

「は、はぁ。金貨は大丈夫なんですか?」

「ダンジョン攻略したときに沢山手に入ったからな」

 と、スマホの画面を見せるとタダスケは驚き、そして自分のスマホで検索し始めた。


 全員にマジックバッグ(と言うそうだ)が渡るとみんなが生き生きしている。

 一応全員のステータスを鑑定すると、

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 立花 紫タチバナ ユカリ23歳

 レベル 23

 スキル 鷹の目

 ユニーク 紫電

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 小坂環コサカタマキ 20歳

 レベル 22

 スキル 初級槍術

 ユニーク 料理

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 大垣慎二オオガキシンジ 25歳

 レベル25

 スキル ため斬り

 ユニーク 頑強

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 白井忠輔しろい ただすけ 28歳

 レベル36

 スキル 初級剣術 スラッシュ

 ユニーク 身体操作

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 まだまだレベル上げが必要だな。


「これからはユカリ、タマキ、シンジにレベルを上げてもらうからな」

「「「はい」」」

「タダスケは補佐に入ってくれ」

「分かりました」

「これでいいかな?タクマ?」

「いいと思いますよ、レベルをみんなであげましょう」

 俺とカグヤはいざという時に動けるようにしておかないとな。

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