第3話 母の場合

   週末にでもチェックしとこ――

 なんて悠長なことを思ってるんだろうなあ、この人は。

 こっちはそんなの、付き合ってる頃から知ってるのに。

 ものが片付けられない、断捨離も出来ない。結局昔のものは(多分)ほとんど押し入れの中に眠ってる。そういう人だ。

 小学生の頃に出せなかったラブレターとか、落書きだらけの教科書とかに紛れて段ボールに押し込まれていた中二病ノートも粗方チェック済みだ。存在はともかく内容があまりにベタ過ぎて引いたけど。

 そういえば長男が最近付けているリング。この前長男が押し入れを漁っていたけど、あの人の持ち物を発見したんだろうか? 好みも含めてよく似た親子だこと。

 それに引き換え、娘はしっかりしたものだ。

 弟からは暴君として恐れられているけれど、実際のところこちらの様子をきちんとチェックしていて忙しそうなら気まぐれの振りをして助けてくれる。姉としての成長が彼女をそうさせているんだろう。

 さて、母としてはこのみんなを密かに俯瞰して見守るとしよう。

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