第9話第3階層ボス戦②
世界樹と思われる巨大樹目指して美知留とアイリスとペロ
に、つかず離れずゴリラの群れが遠巻きにしている。
襲ってこなければそれで良し。美知留たちはウルフや蜘蛛
百足などの雑魚魔物を討伐しつつ先を急ぐ。
突然森が消えてだだっ広い草源に出た。人の踏み入った
形跡が無く、草も伸び放題で、身長160センチのアイリス
よりも高いし、170センチの美知留でも、隠れてしまい
そうだ。
「背の低い魔物に襲われたら面倒ね。10メートル幅で草刈り
しちゃおうか」
「そうね。頼むね」
アイリスは自分の居る位置から左右5メートル幅に防御
シールドを作って魔法が効率が良くなるようにして
風魔法を放った。すかさず美知留が伐採した草を
マジックバッグに収納すると共に俺のマジックバッグに
転送して来た。雑草の中に高い確率で様々な薬草が混じって
いた。
結構な量の魔石も有った。
角ウサギや角ネズミ、角モグラが風魔法の犠牲になった
みたいだ。中には草の魔物の、引っこ抜くととんでもない
大音量で叫び声を上げて近くにいる生物にダメージを
与える【マンドラゴラ】の葉っぱも入っていた。これも
ポーションの材料になる。
と思ったらとんだ拾い物が有った。【マンドラゴラ】の
下3分の1が無いものとその下3分の1と思われる2本足
みたいな部分。合わせてみるとピッタリ合わさった。
俺はその映像をながして貰い解説をする。
「皆さんこれは植物性の魔物の【マンドラゴラ】
(マンドレーク)です。薬にも毒にもなる魔物です。
不用意に引っこ抜くと、
甲高い耳障りな悲鳴を上げて人間の精神を狂わせ行動不能に
してしまうという厄介な魔物ですが先ほどアイリスの風魔法で
切断された個体がありました。これです。
余り知られていませんが、こいつは危険を感じると自ら地上に
飛び出し、この二股大根みたいな2本の足でスタコラ逃げ出す
のです。この個体は丁度飛び出した瞬間に
喰らってしまった間抜けな奴です。これは上級ポーションの
材料として有難く使わせていただきます。
あと1品材料が揃えば死んでも数分以内に口に含ませると
生き返るという伝説的な薬品【エリクサー】が出来ます。
あそこに見える巨大樹が本物の【世界樹】なら伝説の薬品
【エリクサー】が出来ます。期待しましょう」
視聴者の声
A [エリクサーキター!]
B[とうとうここまで来たか]
C[&%$$"...……]
D[#%$&***……]
E[一気に外国人増えたな]
F[こりゃ権力者が絶対欲しがる奴だな]
その間にも美知留たちは先へ先へと進んで行く。
そして巨大樹の近くに来た。
「遠くで見ても大きかったけど、近くで見るととんでもない
大きさね」
「この木の中に部屋を作って暮らせそうね」
「50階建てマンションが出来そうだよね」
「あれ、なんかゴリラの群れが近寄ってきてない?」
「確かに」
ペロが世界樹(仮)に向かって威嚇の唸り声を上げている。
木の陰から10m有ろうかと思われる超巨大な魔ゴリラが
のっそりと現れた。
そいつがドラミングを始めると周囲のゴリラの群れが一斉に
襲ってきた。アイリスがキングゴリラに相対し、美知留とペロが
雑魚共の相手をする。
「少しヤバそうなので、俺はここから仲間に支援魔法を掛けます」
俺は皆に防御力と攻撃力共に100倍強化の支援魔法を掛けた。
それ程危険な相手であった。
鑑定で分かった敵の攻撃法は
威嚇の咆哮SS
踏みつぶしS
フライングボデイプレスSSS
?????SS
あの巨体での潰し攻撃は常人には必殺技になってしまう。
そこで敏捷性も100倍強化しておいた。
例え親ばかだと言われようが、可愛い我が子に痛みや苦しみを
与えてなるものか。
睨み合いが続いた後、雑魚ゴリラ軍が動いた。四つ足になって
全力で近接戦に持ち込もうと駆けてくる。美知留はマジック
ハンドで、パンチを繰り出す。100倍の攻撃力と敏捷性で
視聴者にはゴリラ共が勝手に頭が飛んだり胸や腹に穴が開いて
消えて行くようにしか見えない。これは後で超スローモー
ションの映像を追加した編集ビデオ動画を流さないと駄目
みたいだな。
ペロはペロでゴリラ共の間を目にも留まらぬ速さで駆け回り
仕留めている。
キングゴリラ(仮)は味方のゴリラが10分の1になった時に
威嚇の咆哮を放った。
グオオオォォォ―ーーーーー
すると手下のゴリラ共が動きを止め、美知留とペロに
蹂躙された。
そうか。味方を巻き込むから今まで攻撃して来なかったの
だな残念だったな、うちの子たちにはそんな咆哮など効かない
ぞ。
次は肉弾戦に持ち込もうとしてきた。でかい図体に似合わない
速さでアイリスの目の前にきた。
右足を上げて踏み潰そうとする。アイリスは魔力30パーセントで
足裏に炎魔法を放つ。分厚い皮膚に守られてほんのちょっとしか
効いていない様だ。
[「「「危ない!」」」]
美知留と視聴者の声が重なった。
アイリスの頭上に足裏が迫る。アイリスは仕掛けの魔法を施して
転がって避けた。
ギャアアアアアアアアアアア
アイリスが施した罠、
地中の鉄分を凝縮して作った頑丈な鉄杭がゴリラの足の甲を
突き破って刺さっていた。ボスは右足が動かない状態になった。
そこを美知留の100連発パンチが襲う。痛みはあるよう
だが倒れはしない。さすがは野生の魔物だ。
「パパ、100パーセントの魔法を撃ってもいい?』
アイリスから念話が来た。どうやら後ろの世界樹が巻き添えに
なる事を懸念しているようだ。冷静な子だ。
『いいぞ。俺は世界樹に防御シールドを張るから心配しないで
思い切ってぶちかましてやれ』
「行っくよーエクスプロージョン100パーセント!!」
ズドドドドーーンと轟音を轟かせて超巨大な火の玉が
キングゴリラの頭を襲う。煙で見えないが効いた手ごたえが
有った。風魔法で煙を吹き飛ばすとキングゴリラの姿は無かった。
バスケットボール程の魔石とポーションビンが多数転がっている。
毛皮と肉が有った。【最高級食肉。超美味】こいつは嬉しい。
後ろの世界樹に被害は無い。良かった。
さすがのキングゴリラも隠しスキル?????SSを使う間もなく
倒されてしまった。なんか御免。
『パパ、世界樹さんが防御シールドを張ってくれたパパに
お話ししたいことが有るってこっちに来れる?
『判ったこっちのスタッフさんに伝えてから転移するよ」
俺は会議室の皆に報告してアイリスの元へ転移した。
会話が成立する世界樹って一体何者なんだろうか?
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