第3話 緑葉第2ダンジョン攻略 ②
さて、三叉路のどこを進むかどうか検討した結果、3人が
それぞれ、別の道を分かれて進むことにした。各人照明器具を
左右の壁に取付ける。加恋にはまだ罠察知能力が乏しいので
ペロの力を借りることにした。
そしてお互いの連絡には念話ではなくトランシーバーを使う
ことにした。この国では魔法を使える人がいないらしい。
その為撮影する時は出来るだけこの国の常識に従って行動
した方がいいだろう。
俺は中央の道を進む。加恋は左側。太一は右側だ。
自分達の頭上には撮影用のドローンカメラが浮いている。
耳には本部からの指示を聞くためのイヤホン。口元に解説用の
マイクがセットしてある。スイッチの切り換えで仲間との
トランシーバーになるのだ。両手が自由に使えるのが有難い。
俺が歩くとドローンカメラも着いてくる。
罠に気を付けて照明器具と監視カメラを要所要所に取り付けて
いく。
途中スライムを10匹、一撃必殺で討伐していく。幸い罠には
ひっかから無かった。マジックボックスにはスライムゼリー
5個、スライムハニー8個スライム酸5個が収納されている。
1匹から数種類のドロップ品が手に入るのでこのダンジョンは
なかなか優秀だ。
とうとう第1層の終わりに着いた。階層主の部屋の前に
辿り着いた。加恋も太一も遅れて到着した。
「ペロちゃんのお陰であちこちの罠を回避出来たのよ」
加恋とペロのコンビは苦労せずに来れたようだった。
収穫はほぼ俺と同じ。これで太一の収穫も同じくらいなら
一般の探索者も同じ位収穫出来るだろう。
「加恋さん、治療お願いします」
太一が息も絶え絶えになって辿り着いた。
「あらあら大変な怪我ね、いったいどうしたの?」
加恋は
みるみるうちに太一の怪我が治って行く様を見て本部の
人たちが興奮してみたいでイヤホンの音がかなり騒がしい。
これは帰ったら色々訊かれるだろうな。
太一のモルモットにされている光景が目に浮かぶようだ。
「右の道は初心者には厳しいっす」
聞けば罠に次ぐ罠の連続で心休まる暇もなく次々と罠に
嵌ってしまったそうだ。
本部に連絡すると本部でも映像で確認していたようで
そこの入り口は中級者以上の探索者限定ルートにする予定
だとか。太一の身をもって知らせてくれた功績にボーナスが
出そうだ。
「これが本当の怪我の功名ね」
加恋がからかう。帰ったらミチに散々揶揄われる予感がして
思わず笑ってしまう、俺と加恋だった。
忘れているだろうけど,太一は現在22歳、
加恋よりもミチよりも年上なのだ。
彼の三枚目的キャラのお陰でフアミリーの潤滑油に
なってくれている。愛すべき男なのだ。
太一の体調も回復したので階層主の部屋に入る。
そこにいたのは普通のスライムの10倍は有ろうかという
直径2メートルほどの大きさのまん丸な形の最初から怒りを
表した真っ赤なスライムだった。
鑑定すると【エンガーボールスライム】と出た。
詳しく見ると。何時も怒りの状態のスライムで縦横無尽に
転がって強力な酸を噴出する。超危険。
この世界固有のスライム。
【退治法は自分の身体に防御シールドを張って、スライムの
動きよりも機敏に動き魔石を破壊する。魔石は破壊すると
水晶の結晶のように細かく分断される。この水晶には魔法付与
出来るので防御シールドと機敏性上昇を付与すれば次回からの
討伐が魔法を使えない者でも簡単に出来るようになる】
と、懇切丁寧に解説してくれた。
「ウーワンワン!」
ペロがやる気満々なので本部に確認する。協会長の里中さん
にはペロがシルバーフエンリルだということを話しているが
撮影してしまっても良いのかの確認だ。
「構わん君らが魔法を使っても良いし、ペロ君の実力を
世界に発信しておいた方が後々の為に良いだろう。
初心者のために水晶体魔石が役立つなら大い力を振るって
くれ給え」
里中さんも神様から俺達の事を聞かされているんだろう。
もしもその結晶魔石に罠探知の魔法も付与出来るなら1階層の
攻略はグッと楽になるだろう。協会の狙いはより多くの探索が
より多くの魔石を採って来てくれることなのだから。
「ペロ、行ってこい!」
「ワン」
ペロは飛び出した。
スライムも転がってピュッピュと赤い酸液をまき散らしている。
地面や壁が煙を上げて溶けていく。
ペロは酸液をもろともせずに、スライム本体を
風魔法で切り刻んでいく。
パキーンと音がして魔石が割れた。
スライムは消えて粉々になった結晶魔石が1万個回収出来た。
「よーしよしよしペロ偉いぞ」
身体中撫でまわしてやると尻尾がちぎれそうに振られている。
凄く可愛い表情だ。
「桜庭君宝箱とか2階層への階段とか現れていないかい?」
おお、そうだった。ペロに構い過ぎて忘れていた。
よく見ると部屋の奥に宝箱らしきものが有った。
鑑定してみる。
【1階層攻略達成報酬】だった。
「これは本物の宝箱のようですが中にはミミックと言って
モンスターが擬態している場合もありますので注意が
必要です。【鑑定】スキルが有れば必ず鑑定した方が良い
でしょう」
注意を促しておく。結晶魔石に付与出来ないかな?
宝箱には上級、中級、初級、各ポーションが5本ずつ
と、細剣が1本入っていた。細剣はスライム退治には
うってつけの武器だ。中身を全部マジックボックスに
収納すると、宝箱の蓋が閉じてそれと同時に2階層への扉の
鍵が現れた。肝心の扉はどこだ?
鍵を手にした瞬間、地面から扉がせりあがってきた。
鍵を手に持っていないと扉は出てこない様だ。
そのことを本部に連絡すると今日はここまでにしようと
言う。結構見守っている方も疲れるようなのだ。
俺達も撮影を終了して転移魔法でダンジョン入り口に
戻った。
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