第4話 協会本部にて
協会本部では、情報の機密性に富んだ会議室で今日の
ダンジョンでの疑問点について質問された。
第1番めは加恋が太一の傷をを治癒した魔法についてだった。
百聞は一見に如かずという、実際にそこにいる人達に体験して
貰う事にした。
怪我している人が居なかったので、腰痛の副協会長さんに
加恋が治癒魔法を掛ける。2人の身体が白く輝いた。
「いかがでしょうか?」
「おお、痛くない」
副協会長さんは腰を回してみたりスクワットしてみたりしている。
「他に治して欲しいという方は居ませんか?」
「あ、あのう、虫歯も治せますか?」
名札に鈴木と書かれた女性職員が訊いてきた。
「そういえばあっちの世界では虫歯は聞いたことが
無かったですね。試してみましょう」
俺は虫歯菌を除去して宇宙に飛ばして、神経を
修復して傷ついた歯のエナメル質を再生させてみた。
「ヒール。さてどうでしょうか?」
「痛みは無くなりましたが、冷たい水を飲んだらどうでしょうね、
ちょっと失礼して試してきます」
女性職員が部屋を出て行って会議室は臨時治癒所になっていた。
ノック音がして協会長がドアの鍵をリモコンで解錠して
「どうぞ」
というとさっきの女性職員が入ってきた。
「凄いです。熱いものも冷たい水も全然沁みません。ありが
とうございます」
「それは良かった。俺も初めての治癒だったのでどうだろうか
不安だったのです」
「本当に凄い全員が治りました。但し私の頻尿と佐々木君の
便秘については2~3日様子を見てもらわないと何とも
言えないがそれでもこれは世間的には内緒にしておいた方が
良いとおもいます。医療行為になるとかなんとか文句を言う
者どもが出てきそうだ」
「確かに。下手すると世界中を巻き込む騒動になりかねない」
どうやら太一がモルモットにされる心配はなさそうだ。
「ポーションについてはもう知れ渡っているのでしょうね」
俺は階層ボス討伐の報酬のポーションをマジックボックス
から取り出すとみんながびっくりした。
「い、今何処から取り出しました?」
そうか、俺は今ボックスから直接ではなく、空中から取り
出した風に見えたようだ。
「えっ、マジックボックスからですが、もしかして存在が
知られてないのですか?」
ダンジョン内で照明器具を取り出していたのをみていなかったのだろうか?
「私、ラノベとか漫画とかで見た事が有ります。
空想の産物だとばかり思っていました。実在していたんですね」
さっきの虫歯の鈴木さんが言った。
「一体何処で入手したのですか?やっぱりどこかのダンジョン
でしょうか」
「これは俺が作りました。とある人物から作り方を教わって
作れるようになったんですよ」
「それっていくら位する物ですか?」
これは時間停止付きの中級品ですから1億円ですね。でも
時間停止無しで2トン冷凍トラックの荷台位の容量の
このマジックバッグ(袋)なら10万円くらいですね。
「10万円なら初心者でも、頑張って貯金すれば買えない
事も無いですな。今何個お持ちですかな」
「今は150個ですね」
「是非売ってください」
「そうですね。1個卸値7万円なら協会も 3万円利益が
得られるでしょう」
「いいんですか?協会のことまで考えてくださって
ありがとうございます」
【ポーションの方は買取、販売は普通にやってるん
ですよね」
「いえいえアメリカのダンジョンではドロップしてるよう
ですが殆ど出回ってはいないようです」
「製薬業界からの圧力で表に出せないということですかね」
「おそらくそんなところかもですね」
じゃあ今回ドロップしたこれも、俺が作ってるこれも下手に
流通させられないですかねえ」
「桜庭さんポーションも作れるんですか?」
「ええ、冒険者の必需品でしたから一人で治癒魔法を
掛けて回るよりポーションを配った方が効率的ですしね」
「私は聖女として神殿でボランテイアみたいな感じでしたから
魔力を使い果たしてふらふらになったりしましたから
ポーションが出回って助かりました」と加恋。
「今日は貴重なお話や品を売ってくださってありがとう
ございます。ポーションにつきましてはもっと公けになる
ように全日本ダンジョン協会が尽力致します。
人命に係わることですから
特定の企業、団体の利益保護を許せません。
「桜庭さん達は土曜日、日曜日に2階層までの攻略をお願い
します。ミチさん、アヤメさんのデビューもして頂きたい
です。宜しくお願い致します。それではこれで本日の会議は
お開きに致します。買取金は口座入金致しますので後程
確認して下さい」
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