第2話 緑葉第2ダンジョン攻略 ①

翌朝7時 出発する。目的地にはまだ行って無くて、転移する

のはちょっとまずいので今日は徒歩で向かう。ペロも連れて

きている。1人でお留守番させるのは可哀想だからだ。

ダンジョン入り口には協会職員が警備していた。


「お疲れ様です。桜庭です。これから探索に掛かりますが、

よろしいでしょうか?」

「おはようございます。ご苦労様です。行ってらっしゃい」


ダンジョンに入るとそこは洞窟だった。歩いていると暗く

なってきた。マジックボックスから魔石を使った照明器具を取り

出して壁にとりつけていく。

1年前に出現したアメリカのダンジョンで発見されたものを

アメリカの科学者が研究して再現開発したものを輸入している

のだそうだ。

少し歩いて今度は反対側の壁に太一に取り付けてもらう。

加恋がその様子を撮影していく。ナレーションをいれている

ようだ。

やっぱ男の声よりも女性の声の方がいいよね。


少し広い場所になった。

俺は天井に監視カメラを取り付けて起動させた。これも

エネルギーには魔石を使っている。照明もカメラもスライムの

魔石で1カ月は持ちそうだ。カメラの方は日本のカメラの

メーカーの技術者が開発したものだ。

ダンジョンが出現してからわずか1年足らずで魔石をエネルギー

として実用化している。人間の頭って何と素晴らしいものなん

だろうと感心していると第一魔物発見。スライムだ

さてここからダンジョン初心者及びこれから探索者を志す人の

為の【ダンジョン攻略講座】の始まりだ


「みなさんこれがあの有名な魔物。最弱と言われているスライム

です」

加恋の声が大きくなる。で、俺は解説と倒し方を披露する。


「スライムはこちらが何もしなければ勝手に逃げていきます。

しかしこんな風にちょっかいをかけると、突撃攻撃してきます。」

剣の先で突っついて見せる。すると薄い水色だった体色が

少し濃いピンク色に変って、俺の腹に飛び掛かって来た。

「私には大して痛くも無いですが子供や女性には成人男子が

投げたドッジボールに当たった位の衝撃が有ります。

気を付けないと強い酸性の液体をピュッと放出してきます。

これが衣服を溶かすし顔や肌に触れると火傷状になりますし、

肉が溶かされてしまいます。

討伐するには魔石を壊せば簡単に死にますが、魔石は売れます

ので魔石を壊さずに退治しましょう。そのためにこの様な長い

剣や槍で魔石のすぐ近くを通る様にスライムを貫きます。

反対側まで剣が通らないと死にません。

失敗すると真っ赤になって怒って酸液を撒き散らかすので

1発で仕留める様にしましょう」


スライムは溶けるように消えた。その後に濃い水色の小さな

魔石が残った。

「ダンジョン内の魔物は討伐すると魔石の他にスライムゼリー

とか酸液をドロップします。ガラス瓶に入って出て来るなんて

不思議ですが、ま、そんなものなんだと思ってください。ドロップ品は安くても売れますので持って帰りましょう」


その時のドロップ品はスライムハニーだった。

初めて見るドロップ品だった。

味を確認してみる。広口瓶に入った琥珀色の水飴の様なトロミ

舐めてみるととても美味しい。上品な甘さでくどくない。

試しにパンにつけてみると更に美味しくなった。

これは売りたくない品物だ。だがダンジョン内で手に入れた

物は一応協会に提出しなければならない。協会で特に

提出しなくても良いと判定された居合は自分のものにしても

良いのだ。スライムゼリーがそうだ。

でもこのハニーは間違いなく絶対提出しなければならない

はずだ。そうやってスライム退治をしながら進んでいくと

俺の罠センサーが発動した。足元の地面や壁に罠発動の

スイッチが仕掛けられている。


「太一、ちょっと待って、足元に罠のスイッチが仕掛けられて

いるぞ。いま通った所を戻って来い」

太一が戻ってきたところで罠の解説をする。


「ダンジョンには、色々な罠が用意されている事があります。

パーテイーで攻略する時には罠察知スキルを持っている人が

いると助かります。もし居ないときの対処方法を伝授します」


そう言って、地面を剣先で示す。不自然にポコッと盛り上

がっているところがある。

「こんな風に不自然に地面がもりあがっているところは罠の

可能性が高いです。ちょっと確かめてみましょう」


俺がその盛り上がりに剣をたたき付けた。

即座に地面から木の杭が2本飛び出した。

「もし右足で踏んだら左側の杭が左足で踏んだら右の杭が

貴方の股間を直撃するでしょう。今回は木の杭でしたが

本物の剣とか槍とかが飛び出てくることがあるので厳重に

注意して下さい」


その後は罠に気を付けて慎重に進んだ。どういうわけか罠の

有りそうな区間ではスライムが出なかったので助かった。

照明を取り付けるときも慎重に壁の罠スイッチと思われる所

には赤いスプレーで着色しておいた。今度は太一も看破出来て

いた。


そのうちに三叉路に差し掛かった。

一旦そこで休憩した後どの道を行くか決めることにした。

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