第3話

特にユリシーズお嬢様の恋が実った時は自分のことのように嬉しかったです!その後は街を散策したりショッピングをしたりして過ごしました。楽しい時間はあっという間に過ぎていき夕方になりました……名残惜しいですがそろそろ帰らなければなりませんね…… 「ユリシーズお嬢様、アナステシアス殿下、今日は本当にありがとうございました!とても充実した一日を過ごすことができました!」と言うと彼女たちは笑顔で答えてくれました。そして最後に抱擁を交わしてお別れしました。帰りの馬車の中で今日のことを振り返ります。本当に楽しかったですし、何よりお二人の幸せそうな笑顔が印象的でした……私もいつか素敵な方と出会える日が来るのでしょうか?そんなことを考えながら帰路につきました。 それから数日後のことですが、屋敷内がとても騒がしかったので、何事かとジェーンに話を聞きました。 するとどうやらユリシーズお嬢様とアナステシアス殿下の婚約が囁かれているということらしいのです。 それを聞いて驚きを隠せませんでした..........まさか本当に実現してしまうとは思いもしませんでしたので、嬉しさと同時に不安も感じてしまいます……それでも彼女の幸せを心から願っていますし応援したいという気持ちもありますので精一杯頑張りたいと思います。 これから忙しくなりそうですが頑張りますよ!!


「プリシラさん、ちょっといいかしら?」ある日のこと、突然ユリシーズお嬢様に声をかけられました。一体何の用でしょうか?不思議に思いながらもついていくことにしました。 「はい、何でしょうか?」と尋ねると彼女は恥ずかしそうに俯いてしまいました。何か言いづらいことでもあるのでしょうか?しばらく沈黙が続いた後、意を決したように口を開く彼女の様子に緊張が高まります。一体何を言われるのかと思っていると、彼女は予想外すぎることを口にしました。なんとアナステシアス殿下との婚約についてでした。 ユリシーズお嬢様自身、彼との婚約はまだ考えられないと仰っていましたが、それでもいつかは結婚するかもしれないという予感はあったようです。しかしそれが現実になろうとしている今、彼女は複雑な心境のようです。 「プリシラさん.........私どうしたらいいのかしら?アナステシアス殿下のことは好きだけど、結婚なんてまだ早いと思うし..........」

そんな彼女の悩みを聞いているうちに私も胸が苦しくなってきました。ユリシーズお嬢様の気持ちを思うと悲しくて仕方ありません。でも同時に嬉しさも込み上げてきます!だって彼女が幸せになれるチャンスですから!!私は自分の気持ちを抑えつつ彼女に語りかけます。 「ユリシーズお嬢様、大丈夫ですよ........きっと良い方向へと進みますから、安心してください」と言うと彼女は安心したように微笑みました。「ありがとうプリシラさん!いつも私の味方でいてくれて本当に嬉しいわ!」そう言って抱きついてくる彼女を優しく受け止めながら私もまた覚悟を決めるのです。必ずユリシーズお嬢様の幸せを見守り続けよう。そう心に誓いながら彼女の頭を撫でつつ決意を固めるのでした。 それからというもの、私はより一層仕事に精を出しました。少しでもユリシーズお嬢様の助けになれるよう努力しましたし、時には彼女と過ごす時間を大切にするようにもしました。そしてついにその日がやってきたのです……アナステシアス殿下とユリシーズお嬢様の婚約が発表されたのです。 そのニュースは瞬く間に広まりました。町の人々は皆祝福ムード一色で大変賑わっています。私も自分のことのように嬉しく感じていました。これで本当によかったと思います.........だってユリシーズお嬢様が幸せになれるのですから! 「プリシラさん、ありがとう」と彼女が言ってきましたので私は笑顔で応えます。 「いえ、お礼など必要ありませんよ……それよりおめでとうございます!お二人の幸せを心から祈っております」と言うと彼女もまた笑顔を見せてくれました。 「プリシラさん、本当に感謝してるわ..........あなたがいてくれたおかげで私は救われたのだから.........」そう話す彼女の顔はとても晴れやかでした。そんな彼女を見ていると私まで幸せな気分になってきます。

これからもずっと見守っていきたいと思います。ユリシーズお嬢様には笑顔でいて欲しいですから……それが私の願いなのですから。


「プリシラメイド長、最近元気がないように思えるのですが大丈夫ですか?」とジェーンに声をかけられました。そんなにも顔に出ていたのでしょうか?心配させてしまったようで申し訳ない気持ちになります……「ごめんなさい、ちょっと考え事をしていただけなの」と答えると彼女は安心したような表情を見せました。 それからしばらく雑談をしている内にいつの間にか時間が過ぎていましたので仕事に戻ることにします。部屋を出る際にもう一度お礼を言うと彼女は笑顔で応じてくれました。本当に素敵な方ね…これからも仲良くしていきたいものです。


ユリシーズお嬢様とアナステシアス殿下の婚約発表から約一ヶ月経った今、私は悩んでいることがありました。 そう、屋敷周辺で嫌がらせが起こっているのです。最初は小さな物音が聞こえてきました。次第にエスカレートしていき、最近では毎日のように物が無くなるようになりました……このままではいけないと思い防犯対策を強化したのですがそれでもダメでした。

一体どうすればいいのかと思っているうちにあるアイデアが浮かんできました。 それは、学園で怪しい行動をしている人について話を聞くというものでした。これなら確実だし被害も出ないのではないかと考えたのです。早速実行に移すことにしました。

まずは犯人の特徴を把握するため、学園で聞き込みを行うことにしました……すると一人だけ怪しい人物を見つけることができましたので尾行することに決めました。しばらく様子を見ていましたが特に変わった動きはないようです。しかし油断は禁物なので慎重に後をつけていきます..........やがて人気のない場所までやって来ました。そこでその人は、ゴミを漁って何やら持ち帰るようです。そこで私は声をかけました。「こんなところで何をしているのですか?」と尋ねるとその人は驚いた様子でこちらを向いてきました。するとその人は慌てて逃げ出していきます!逃してなるものかと追いかける私ですが、向こうも必死のようでなかなか追いつけません……しかし諦めるわけにはいきませんので必死に追いかけ続けます。そしてついに追いつくことができました!そこで相手の顔をはっきりと見ることに成功したのですが驚きのあまり声が出ませんでした……何故ならそこにいたのは私のよく知る人物だったからです。 「ジェーン、一体どうして...」 「プリシラメイド長、申し訳ありませんでした」彼女はそう言うと深々と頭を下げてきました。どうして謝る必要があるのかと思っていると、その理由を教えてくれました……どうやらジェーンは以前から私のことを恋愛対象として好きだったようで、ユリシーズお嬢様への想いも彼女にはお見通しだったようです。 涙ながらそう語る彼女を見て、心がいたくなりました。 ……つまり私の存在が、彼女の行動の原因となってしまったのです……その事実を知って愕然としました。自分のせいでこんなことになってしまったなんて思いもしなかったからです。しかしいつまでも落ち込んでいるわけにはいきません!まずはこの状況を何とかしなければと思い彼女に声をかけました。 「ジェーン、とりあえず屋敷に戻りましょう。詳しい話はそこで聞くことにするわ」 「はい、承知しました」こうして私達は屋敷に戻ることになったのです。その後すぐにユリシーズお嬢様に事情を少々かいつまんで説明いたしました。彼女はとても驚いていましたがすぐに冷静になり対応策を考えてくれました.........本当に頼りになる方です。 「そうだったのね.......でも、過ちは誰にでもあるわ。ジェーンは日頃から仕事熱心だし、次は絶対にしないと誓いを立てたら私も当然許そうと思っているの。」 「ユリシーズお嬢様..........ありがとうございます!」と、ジェーンが泣きながらお礼を言いました。私も同じ気持ちです!彼女のことを嫌いになんてなれませんし、これからも仲良くしていきたいと思っていますから。

その後、彼女は反省の意味を込めてメイド長補佐としての仕事に専念することになりました。そして今後はこのようなことが二度と起こらないように徹底した防犯対策を施すことに決めました。もう二度と彼女が悲しい思いをすることのないようにするためにも全力で取り組むつもりです。


それから数日後のこと、私とジェーンの間には、まだよそよそしい空気が漂っていました。

なぜなら、ジェーンから好意を寄せられていたことを聞いたからです。

私は今まで彼女の気持ちに気付いていなかったことに気付かされました。そのことに申し訳なさを感じつつも、これからは一人のメイドとして接しようと心に決めたのです。そうしないとジェーンに失礼だと思ったからです……それに彼女はもう十分反省しているのですからこれ以上責め立てる必要はないと考えました。

「プリシラさん、あなたのことが好きなんです!」唐突にそんなことを言われて驚いてしまいましたが、冷静になって考えてみることにしました……確かに彼女からの好意には気付いていましたが、まさかそれが恋愛感情だったなんて思いもしませんでした。

でも不思議と嫌な気持ちはしませんでした……むしろ嬉しかったんです。

私も少なからず彼女とは親しく思っていましたし、決して嫌というわけではありませんでしたから。しかしそれでも自分の気持ちをはっきりと伝えることは難しく思えました。なのでまずは友人関係から始めることにしました。

「ジェーン、あなたの気持ちは嬉しいわ……でも私はまだあなたのことをよく知らないの」と伝えます。すると彼女は少し残念そうな表情を見せながらも笑顔で応えてくれました。「はい、私もプリシラさんのこともっと知りたいです!」と言ってくれましたのでホッと一安心しました。それからというもの、私達はよく話すようになりました。今まで以上に距離が縮まった気がします。それに彼女が側にいてくれることで心強さも感じますし何より楽しい毎日を送っています!これからも仲良くしていきたいと思います。

「プリシラさん、あなたと出会えて本当に良かったです!」とジェーンが笑顔で言いました。私も同じ気持ちだったので思わず微笑んでしまいました。こうして彼女との関係は良好のまま続いていくことになるのですが、そんなある日のこと……私はとんでもない事実を知ってしまうことになるのです。それは私がいつものように仕事をしていた時のことなのですが、直近のメイドが何やら噂話をしていたようでした。

聞き耳を立てていたわけではないのですが、ふとユリシーズお嬢様の婚約者である、アナステシアス殿下の名前が出てきたので少し注意を凝らして掃除をしていました。

「えーうそ…アナステシアス殿下がユリシーズお嬢様とご婚約を!?」

「ええ、でもアナステシアス殿下には悪い噂が…なんでも気に入ったご令嬢に次々とお声がけをされているとか…」「まあ!それって不誠実ですよね……信じられないですわ!」

「でもユリシーズお嬢様はお優しい方ですから、きっと騙されてしまうのでは……」

「そんなぁ............そんなの嫌です!」と話しているメイドたちの中に、ジェーンが会話に割って入りました。

「あら?あなたは確かプリシラメイド長の直属の後輩だったわね?」と聞かれたので彼女はこう答えます。

「はい、そうですけど……何か問題でもあるんですか?」

するとジェーンは笑いながら言いました。「いいえ、別に何もないわよ。ただそういう話はいつ誰が聞いているかわからないのだから、慎んだ方がいいわ。それこそ、殿下の付き人が近くにいたり................」

「きゃーっ!!!!ジェーン、冗談はよしてくださいよ!」と、顔を真っ青にして走り去っていく後輩メイドを見て、思わずため息をついてしまいました。

「あら、プリシラメイド長、ここにいらっしゃったのですか?」

「ええ。それにしても、先程の噂話は本当なの?」

恐る恐るジェーンに聞いてみると、彼女は平然とした様子で答えます。

「はい、本当のことですよ。彼女たちが掴む情報はいつでも外れたことが無いですから。」

その返答に思わず言葉を詰まらせてしまう私でしたが、どうにか平静を装って会話を続けました。

「そ、そうなのね……それであなたはどうするつもりなのかしら?」と聞くと彼女は微笑みながらこう答えたのです。

「もちろん私はユリシーズお嬢様の味方ですよ!どんなことがあっても必ずお守りすると決めていますから!」

その言葉を聞いて安心した私はそっと胸を撫で下ろしたのですが..........

やはり心配で仕方がなかったので、私はジェーンに提案を持ちかけました。

「ねえジェーン、少し私達でアナステシアス殿下の素性を探ってみませんか?」

すると彼女は驚いた様子を見せつつもすぐに了承してくれたので、早速行動に移すことにしました!まずは情報収集から始めましょう。

「プリシラさん、何かいい方法でもあるのですか?」とジェーンが聞いてきます。私は自信ありげな表情を浮かべつつこう答えました。

「もちろんよ!私に考えがあるわ!」そして私達は手分けして情報を集めることにしました……しかしこれが後にとんでもない事態を招くことになるなんてこの時はまだ知る由もなかったのです……

数日後、ついにその時が来たようです!アナステシアス殿下が、ご令嬢と放課後に2人で密会をしているところを目撃したのです。

場所は学園の中庭にある噴水の前でした。2人はベンチに座って楽しそうに談笑をしています……その姿はまるで恋人同士のようでした。

「アナステシアス殿下、あのご令嬢にご執心なのね……ユリシーズお嬢様は…」と思わず呟く私でしたが、すぐに我に返り急いでその場から離れようとしました……しかし遅かったのです!突然声をかけられてしまったのです……恐る恐る振り返るとそこには見知った顔がありました。

「プリシラさん、こんなところで何をしているのですか?」と笑顔で話しかけてきましたので私は内心焦りつつも平静を装って返事をしました。「あら、ユリシーズお嬢様こそこんなところで何をなさっているのですか?」と聞くと彼女は微笑みながら答えました。

「私はただ散歩をしていただけですが..........それよりも、あなたがここまで来るなんて珍しいわね?何か用事でも?」

「いえ、そういうわけではないのですが……ただたまたま通りかかったものですから」と苦しい言い訳をしましたがユリシーズお嬢様は特に怪しむ様子もなく納得してくれたようでした。

「そう、それならいいのだけれど……」と言うと彼女は再び歩き出しましたので私もついていくことにしました。しばらく歩いているうちに人気のない場所までやって来たところでユリシーズお嬢様が立ち止まりました。

「プリシラさん、婚約のこと…今1度あなたの意見を聞かせて欲しいの」突然そんなことを言われてしまい驚いてしまいましたが、すぐに平静を取り戻しつつ答えました。「アナステシアス殿下の評判はあまり良くないようですし、私は考え直したのですが、ユリシーズお嬢様のメイドとしてあの方と婚約を結ぶのは反対です」

私の言葉を聞いていた彼女は驚いた表情を浮かべていましたが、しばらくすると納得したような表情を見せつつこう言いました。「やはりあなたもそう思うわよね……私も同意見よ。だからプリシラさん、あなたに頼みがあるの……」

「何でしょう?」私が聞き返すと彼女は真剣な眼差しでこちらを見てきました。その瞳からは強い意志を感じ取ることができました。

「プリシラさん、あなたにお願いがあります……どうか私とアナステシアス殿下との婚約を破棄させてほしいのです」突然の申し出に困惑しつつも理由を尋ねてみることにしました。すると彼女は悲しげな表情を浮かべつつ話し始めました。

「実は先日のことなのですが、殿下とお話をしていて急に結婚の話が出たんです……それで驚いてしまって思わずお断りしてしまったのですが、その後もしつこく付きまとわれて困っているんです。このままではいずれあの方と結婚するしかなくなってしまいそうで怖くて仕方がないんです!」彼女の話は私にとって衝撃的なものでした。まさかそこまでアナステシアス殿下が強引な方だったとは……正直予想もしていませんでしたので驚きました。

「分かりました、このプリシラにお任せください!必ずユリシーズお嬢様とアナステシアス殿下の婚約を破棄してみせますから……」そう言って胸を張りながら宣言をすると彼女は安心した様子で微笑んでくれました。

こうして私はユリシーズお嬢様のために動く決意をしたのです。まずは婚約破棄のために、証拠集めをしなくてはいけませんでした。

そこで私はさっそく行動に移すことにしました。まずはアナステシアス殿下の周辺から情報収集を行うことにしたのです。

「プリシラメイド長、一体どういうおつもりですか?」とジェーンが尋ねてきましたので私は冷静に答えました。「ユリシーズお嬢様のためなのよ」と詳しく事情を話すと彼女も納得したようでした。

そしてついに証拠を掴むことができたのです!それはアナステシアス殿下の数々の浮気現場の写真でした……しかも相手はご令嬢は巷で少々有名な名のある名家に生まれた方ではありませんか。

「ジェーン、この証拠写真は……」と尋ねると彼女は自信満々にこう答えました。

「これは間違いなくアナステシアス殿下の浮気現場ですよ!」それを聞いて思わずため息が出てしまいました.............まさかここまで酷い方だったとは思いませんでしたから。しかしここで引き下がるわけにはいきません!私は決意を新たにし、ユリシーズお嬢様のために動くことを心に誓いました。そしてついに行動に移す時が来たのです!

ユリシーズお嬢様のお父様とお母様が遠方から集まり、食事をする日がやってきました。その食事会の際に、私も含めたメイド達全員で今まで集めた証拠写真と音声データを用意しておいてアナステシアス殿下に突きつけることにしました!

「さあユリシーズお嬢様!今こそご自身の想いをぶつける時です!」と言うと彼女は覚悟を決めた様子でした。そしてついにその瞬間が訪れたのです...........私は息を潜めてその様子を見守りました。

最初に口を開いたのはユリシーズお嬢様でした。

「お父様お母様、少しお話があります。」

と言うと彼女は証拠写真と音声データを取り出しながら今までのことを話し始めたのです。

「私、この学園に入学した時からアナステシアス殿下にしつこく言い寄られていました..........でも私には心に決めた人がいるんです!どうか婚約破棄をさせていただけませんか?」彼女がそう叫ぶのと同時に私も前に出ました。そして「ユリシーズお嬢様のお気持ちお察しいたします、私からもお願い申し上げます。」と言いながら頭を下げたのです。

すると彼女のお父様が口を開きます。

「そんなことがあったのか…。わかった、検討をしてみよう。」その返答を聞いて思わず安心しましたが、まだ終わりではありません。私は続けて言いました。「ありがとうございます、それでは早速手続きを進めていきましょう!」と言うと今度はお母様が口を開きました。

「プリシラさん、アナステシアス殿下のご対応は私達に任せてちょうだい!必ずいい方向に進むわ」そう言って微笑む姿がとても印象的でした。その言葉に安堵しつつ私はその場を後にしました..........

そして数日後には無事にアナステシアス殿下の噂話は周囲に回り、ユリシーズお嬢様との婚約破棄が正式に成立したのです! その後、ユリシーズお嬢様は私にだけこっそり教えてくれたことがあります。それはアナステシアス殿下が浮気相手のご令嬢に多額の金額を支払ったというお話でした……結局彼はそのご令嬢との結婚は諦めざるを得なかったようです。そしてその後の学園生活ではユリシーズお嬢様のメイドとして楽しく過ごすことができました。彼女も以前よりも笑顔が増えていましたので本当に良かったです..........今回の騒動を通して改めて人間関係というものの大切さを実感しました。

そして私はこの経験を糧に、これからもユリシーズお嬢様のために尽くしていきたいと心に誓ったのでした。

ただ、ユリシーズお嬢様の言葉で1つ心に引っかかったところがあります。

それは「心に決めた人がいる」という発言でした。

一体どなたなのでしょうか?今度機会があれば聞いてみようと思います。

「ねえ、プリシラさん」とユリシーズお嬢様が話しかけてきました。私はすぐに返事をしました。

「はい、何でしょうか?」すると彼女は微笑みつつこう言いました。

「あなたにはとても感謝していますわ!本当にありがとう!」その笑顔はまさに天使のようでした。その眩しいほどの輝きに思わず見惚れてしまいそうになります……しかし、ここで冷静さを欠くわけにはいきません!私は呼吸を整えながら笑顔で応えました。

「いえ、私はメイドとして当然のことをしたまでです!それに今回の件でユリシーズお嬢様のお役に立てたことが何よりも嬉しいです!」

そう言うと彼女はさらに笑顔を深めつつこう言いました。「プリシラさん、これからもよろしくね」その言葉を聞き、私も自然と笑みが溢れてきました。

それからというものの、私たちはより一層親密な関係を築くことができたのです。今ではすっかり親友のような間柄になりましたし、お互いに相談事を持ちかけることも増えました。そして何より嬉しいことに.........

「ねえプリシラさん、今度の舞踏会に着ていくドレスはどれがいいかしら?」

とユリシーズお嬢様が私に相談をしてきたのです!これはもう天にも昇る気持ちです!

「そうですね……ユリシーズお嬢様にはこのデザインのものがお似合いかと存じます!」そう言って私は自信を持って答えました。

すると彼女は嬉しそうに微笑んでくれました。その笑顔が何よりも可愛らしくて、思わず見とれてしまいそうになります……しかしここで冷静さを失うわけにはいきません!私も負けじとドレス選びに奮闘しました。そして最終的に決まったのは真紅のドレスでした!

「ユリシーズお嬢様、とてもよくお似合いですよ!」

「ふふっ、プリシラさんありがとう。あなたが選んでくれたドレスだもの、きっと素敵な夜になるわ」そう言って微笑む姿はまるで天使のようでした……私は心の中で叫びました。やったー!と。

そしていよいよ舞踏会当日がやってきました。会場に着くとすでにたくさんの人で賑わっていました。ユリシーズお嬢様は緊張している様子でしたので声をかけることにしました。

「ユリシーズお嬢様、どうか落ち着いてください」そう言うと彼女は深呼吸をしながら答えました。「ええ、わかっているわ..........でもやっぱり不安なの」そんな彼女を安心させるため私はこう言いました。「ユリシーズお嬢様、大丈夫です!私がついていますから安心してください!」そう言うと彼女は少し安心したような表情を浮かべつつ頷きました。

そしてついに舞踏会が始まりました。

最初のダンスが始まったのですが……なんとその相手はユリシーズお嬢様だったのです!まさかの展開に驚きつつも内心嬉しかったです。しかし同時に不安もありました...........果たしてちゃんと踊れるだろうか?そんなことを考えていたらいつの間にか曲が終わってしまいました。すると彼女が声をかけてくれたのです。

「プリシラさん、なんだか運命みたいね?さあ、もう一曲踊りましょう?」

そう言って微笑む彼女を見た瞬間、胸の奥が熱くなりました。

そして再び曲が流れ始めます……今度は完璧に踊ることができました!ユリシーズお嬢様もとても喜んでくれましたし、私も嬉しかったです。その後も何曲か踊り続けましたが、その間ずっと幸せな気持ちに包まれていました。

しかし楽しい時間も束の間でした……突然後ろから声をかけられたのです。「やあ君は.......ユリシーズ嬢のメイドのプリシラさん」それはなんとアナステシアス殿下だったのです!彼は相変わらず自信満々な態度で話しかけてきました。

咄嗟にユリシーズお嬢様を守ろうと前に立つと、彼は微笑みを浮かべていました。

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