クリスマスの予定
今日はクリスマス。
とはいえ年賀はがきを書く予定を立てていた。
他に予定がなかったから。
それに、元旦に届く年賀はがきは、今日までに投函しなければならない。
だのというのに。
朝起きたらLINEが来ていた。
『今からって暇だったりする?』
ふざけるのも大概にしろよ。
何があったか知らぬが、当日に誘うのは無茶でしかないだろう。
あの人のことだから、今日一緒に過ごす予定だった人にドタキャンされたとか、そういうものであろう。
取り敢えず、大切な人なので誘いは無下にせず受け取る。
すなわち、わたしはあの人に甘いということだ。
それが本望だから、注意や警戒はしないのだけれど。
会う時間と場所を一瞬で決めて、支度を始める。
ああ、あの人に会うのにこんな幼稚な格好で良いのだろうか。
考えている間はないので、自分を無理やり納得させる。
昨日風呂入ってから寝たらもっと時間があったのに、などという妄言は無限の彼方へ放った。
今は五秒で決まった約束を果たさねばならぬ。
家を飛び出て、いつもなら歩いて二十分かかる道を十分で駆ける。
間に合うだろうか。
いや、惰性で間に合わせなければいけない。
いくら無茶なことでも、あの人の期待を裏切るようなことをしてはならぬ。
後々嫌な気分になるのは、あの人ではなく自分自身だ。
なんて自分本位で考えてみる。
どうでもいいことを考えて自分の気を逸らさないと、体力の減少に気がついてしまいそうだから。
「あ、やっほー」
あの人がのんきに待っているのを見て、今までの怒りやら焦りやら、なんやら全部が吹っ飛んだ。
人を突然誘っておいてその態度はなんだね。
そういうことはどうでもいいのだけれど。
なぜならいつもあの人に思うことはひとつだから。
あなたのご尊顔が見られるだけで、わたしはとうの昔から幸せです、とな。
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