星が降る夜

 よく、人は死んだら星になると言う。ならば、星が流れて地に落ちたら人が生まれるのだろう。


 そう幼いころから信じていた。ただ、その瞬間を見ることになるとは思っていなかった。


 目の前に星が落ちた。直径二メートル程の、青い小さい星だった。


 驚きすぎて固まっていると、星がパカリと開き、中から十代前半の少年が出てきた。服装や髪形は時代遅れな印象だった。しかしなぜか、その姿に惚れてしまった。


「あ、どうもこんにちは」

 その少年は言う。


「びっくりしました? ボク、迷っている内に大きくなりすぎちゃって、人の腹から産まれることができなくなっちゃったんです。だから、こうして星から産まれたというか」


 少年曰く、普通の人間はとても小さくて目に見えない内に現世に来て、母親の腹に入り込んで産まれるらしい。

 しかし自分の母親を見つけられないと、このように流れ星で現世に送られるという。


「これから一人で生活するの?」


「まあ……アテもないですし……」


「じゃあ、うちに来る? 特に何もないけど」


 少年との物語を始めたいと思った。どうにかして少年と暮らしたい。


 しかし少年は言った。


「すみませんがお断りしておきます。ボク、行く星を間違えたので」

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