第4話

アパートに帰り、玄関ドアの鍵を開けようとすると、何故か鍵が合わない。

何度やっても鍵が鍵穴に入って行かない。

「うん?」

よく見ると、鍵自体が全く違うものになっている。

「えっ? 何これ。なんで?」

悪い予感がした。

「ま、まさかな…」

私は急ぎ銀行へ行き、キャッシュカードを使ってみたが、これも使えなかった。

やはりそんな旨い話なんかないのか。

焦燥感を覚えながらATMを離れ、何気なく銀行の窓ガラスを見た。

そこに映っている顔は、私の顔ではなく誰か別の人間の顔だった。

「ああ…やはりそういう事か」

私は乗っ取られた。

私の分身が私になり、本物の私は「私」を追放されたんだ。

何でだ、何でこんな事が…。

その時、私はふいに、しし座流星群を見ていた時の事を思い出した。

ああ、あの時、私の分身が欲しいと願ってしまったんだ。

あの願いを流れ星が、あの火球が叶えたのという事か。

という事は、元に戻るという願いを叶えるには後7年待たなければならないのか。

目の前が真っ暗になった。

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