ぼくのおじいちゃん

ほしのしずく

第1話 ぼくのおじいちゃん

ぼくのいえには、おとうさんはいない。


ちゃんとしたいえもない。


でも、ぼくはしあわせ。


それは、おじいちゃんがいてるから。


そんなぼくのおじいちゃんは、いつもげんき。


まいにち、まいにち。


おひさまが、あいさつするといっしょにおきて。


こうえんで、ラジオたいそうをする。


さくらのにおいのするきせつは、しろいはんそでのシャツをきて、ぼく、おとうと、いもうとをつれてとおはなみに。


ジリジリあついきせつは、しろいタンクトップをきて、ぼくらをつれてプールにいったり、むしとりをしたり、ぼくらといっしょになって、めいっぱいたのしむ。


きんもくせいのにおいがするきせつは、しろいながそでのシャツをきて、すいぞくかんにつれていってくれるんだ。


ゆきがふってくるきせつはね。


せんとうにつれていってくれるんだよ。


もちろん、ぼくら3人一緒に。


そこで飲むコーヒー牛乳は、おいしいんだ。


なんでげんきなの? ってきいたら、たくさんしたいことがあるからだって。


じいちゃんは、そういうといつもぼくらきょうだいのかおをみる。


そして、やさしくてあたたかいかおをするんだ。


ぼくは、こんなじいちゃんがだいすき。


どんなときも、おんなんじめせんで、いてくれるし。


どんなときも、ぼくらのみかた。


そんな幸せな幼い頃から、20年の時が流れた――。




🍀🍀🍀🍀




――そして、今。


もうこの世には、全てを受け入れてくれる。


大好きで、愛しくて、大きなじいちゃんはいないけど。


瞼を閉じれば。


最後の、最後まで自分のやりたいことを熱心語るじいちゃんの姿と。


入れ歯をカパカパと動かしながら、無邪気に笑うその顔が。


それに、幼き日の僕らと一緒に声を上げて虫取りや怪談話をする姿が。


しっかりと。


しっかりと。


浮かぶ。


今、自分が大人になったからこそ。


じいちゃんの偉大さが身に沁みる。


じいちゃん、じいちゃん。


僕は、遠回りしたけど。


人より、遠回りしたけど。


やっと。


やっと、自分らしく。


生きているよ。


まだまだ、まだまだ……。


あの日語った夢には程遠いけど。


じいちゃんみたく。


どんなに歳を取ろうとも、夢みる少年ような目。


そして、全てを楽しむ心だけは、失わないよ。


忘れないよ。


どうか、見ててね。


まだまだ、足掻くよ。


じいちゃんみたく、手や顔がしわくちゃになるまで。


ずっと――。


この夢が叶うその日まで――。

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ぼくのおじいちゃん ほしのしずく @hosinosizuku0723

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