カランコロン


 店の扉が開いた音がした。


「よ、クリス。何か弟子が喜びそうな物売ってないか?」

「元会長さんはうちの看板が見えなかったのかな?うちは魔道具屋だ。そんなもん知らん。」


 魔道具屋店長クリスはカウンターで新聞を読みながら答えた。


「うちの弟子な。もう、中学校卒業なんだよ。だからさ、何かこう年頃の男の子が好きそうな物ないかな?」

 クリスのことは全く気にせずカウンターに近づきながら尋ねた。


「...はぁ。確かお前の弟子はあと五年で一人前の魔法使いになれるんだよな。」

「いや、あと二年だ。うちの弟子な、賢くて、応用力があって、センスもあって、かっこいいんだ。もう可愛くて可愛くて、」

「惚気はいらん。」

「惚気じゃなくて自慢だよ。クリス。」

「どーだか。」


 クリスはカウンターの下からある箱を取り出した。


「いいか。これは......お守りだ。お前の魔力を箱に注ぎ、お前ではなく弟子に箱を開けさせろ。」

「クリスにしては珍しいな。こういうの信じないだろ。」

「フン。『鉄壁の会長』が言える台詞ではないな。」

「ハハ。そうだな。今なら『愛情のママ』か。」

「それでいいならさっさと持って帰れ。娘がそろそろ帰ってくる。」

「アリスちゃんによろしくな。ほら1万。」

「金はいらん......俺からの祝いだ。」

 クリスの突然のデレに危うく箱を落とすところだった。

「クリス、ありがとう。あと娘にはツンデレじゃなくてデレデレにしときな。」

 

 手を軽く振って店を出た。


カランコロン




 


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