第6話 貴方の名前は?

「では、明日の午後……結婚式を行う。それまでこの部屋でゆっくり休むと良い。シャワー等自由に使って構わない」


……そんな事より、早く帰らせて。


「では、また明日―――」

「……ま、待って―――!!」


俺は、部屋から出て行こうとした王子を止めた。


「……どうした?」


いつの間にか、俺…何故かお姫様になってしまって…。


見た目はお姫様だけど、中身は男なんです。


だから…貴方とは結婚出来ません―――。


………何て言えるかぁぁぁ―――!!!!!


「あ…、貴方の名前は……?」


…って、そんな事聞いてどうする、俺。


「私の名を忘れたか?」


王子はフッ……と笑った。


「ほ…本当に…ごめんなさい!!」

「いや…気にするな。そなたは旅の途中で相当なショックを受けたのだろう……」


王子は、俺の頬をそっ…と触り―――優しくキスをした。


「私の名はアダム。アダム・ステイルだ………おやすみ、愛しいイヴ―――」

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