10 妖魔の統帥
都心の中にある高級商業ビルの中に、百花羞は奎木狼を連れて、エレベーターからバーにあるフロアに出た、それはまるで秘密のクラブみたいなフロアだった。
「私、任務を……失敗させてしまった、二郎神と孫悟空に追いつかれた、三蔵法師も奴らが連れて行かれた。」白骨夫人である百花羞は頭を下げて罪を乞いました。
「大した問題じゃないさ、ゲームはまだ始まったばかり、それに君はちゃんと俺にサプライズを用意してくれたんじゃないか」ソファの上にしゃがむ妖魔は片手で長い棒持ち、別の手でぶどう手に取り、そのまま口に入れた。
「あなた、この人が私たちのリーダーです、待ち伏せ計画の首謀者だ」百花羞は奎木狼を前に出るように。
「き……君は……」感じたこの妖気は奎木狼にとってどこが見知ったような感覚だった。
「俺のことを覚えていないのか?一応一戦を交わった仲じゃないか。」奎木狼の目はどんどん暗い環境に適して、暗闇の中にいる首謀者の姿が見えるようになった。
「孫……孫悟空?バカな!そ……そんなはずが!」奎木狼は驚きの声を隠せなかった、目の前にいる長いセーターを着ている男は、斉天大聖と全く同じ外見だった。
「彼はこの姿にいることが好きなだけですよ。」百花羞は奎木狼の驚きをあらかじめ予見できた、彼女は微笑みながら夫を手をそっと引っ張った。
「ま……まさか……六耳獼猴なのか……」奎木狼は《混世四猴》のことを思い出した、その中に変化の術を極み、照魔鏡でも閻魔様でもその正体を見破れない大妖魔の存在を。
「俺をどう呼ぶのかはどうだっていい、今俺が気にしてるのは君の選択だ。」闇の総大将は隣にいる女性の召使いに指示を出し、奎木狼のために用意したプレゼントを捧げた。
「何の選択だ?」まだ驚きから回復していない奎木狼は更に目の前にあるとてつもない力を発しているプレゼントにさらに驚いていた。
「これを食ったら、君は俺たちの仲間入りだ、孫悟空と楊戩殺したあと、俺たちは天宮に上がって暴れだす、神や仏も皆殺しにする。その時になったらもうこれ以上誰も君と百花羞の恋を止める人はいない。」プレゼントは冷蔵していた右腕だ、かつての三蔵法師の生まれ変わりの右腕だ。
奎木狼は混乱とパニックで足を止めた、天界に攻め入れるなんて彼は一度も想像してなかったことだ。
「さもなければ……君と百花羞はここで死んでもらう。」強烈な妖気がビル全体を覆う、奎木狼の目に映ったのは自分の力じゃ追いつけない高みだ。
「あなた……私たちにはもう引き返せないよ。」百花羞は奎木狼を強く掴んだ、彼の先は暗闇しか残っていない。
…………
2階建ての別荘の中、孫悟空と楊戩は昏睡状態の唐未夢を見守っている、彼女が悪夢から目を覚ますことを待っている、悪夢から現実という名の悪夢に。
悟空は三蔵法師が毎回白骨の精に騙される時、彼は腹立つ、もっと腹立たせることは最初から三蔵法師を利用しようとする釈迦如来と太上老君のことだ。
三蔵法師の命を弄んで、三蔵法師の魂も弄んで、三蔵法師の愛すら弄んだ。そして悟空も自分の愛を弄ばれた。だから奎木狼が言ってる痛みは、悟空も深く理解している。
悟空が考え込む中、二郎神はこの静かな沈黙を破った。
「猿、あの日の襲撃を仕掛けた張本人は一体誰なんだ」遅れてきた二郎神は何の情報も得られなかった、太上老君も何か隠しているようだ。
「それはお前のボスに聞くべきだ……」事件の首謀者について孫悟空はその目で見てなかったが、その声に聞き覚えがあった、そしてその妖気も彼は知っている。
「あれからもう二千年の時が経った、彼らが喋ってくれれば、今こうして君に聞かないさ、天界の神も妖魔に墜ちた今、もうこれ以上隠さないでくれ。」事件の発展はすでに二郎神の想像を超えた、妖魔の勢力の勢いが増していくこと未だに止まらない。
「お前は混世四猴について聞いたことあるだろ?」悟空は昔西遊の旅の中の一つの戦いを思い出した。
「聞いたことはある、釈迦如来様の言葉では、あいつらは五仙、五虫の十類に属さぬものとして、二界にも名を残せない存在だ、君もその一人だ。」六耳彌猴は昔、孫悟空のふりをして、三蔵法師たちに襲撃した、自ら西遊の旅のご一行を取って代わろうとした、神々もどっちが本物がわからず、最終的に釈迦如来が正体を見破り、悟空によって倒された。
「霊明石猴,赤尻馬猴,通臂猿猴と六耳彌猴、その中で六耳彌猴は千里以外のことが見える、千里以外の声も聞こえる……そして何より、彼は時空すら干渉できるた。」あの日、悟空が感じたのは六耳彌猴の妖気だ。
「だがそいつはとっくにお前に殺されたではないか。」この話は天界でも熱烈に噂された、照魔鏡でも正体を暴くことができない妖魔、そのことができるのはただ六耳彌猴しかいない。
「そして誰であれば閻魔様にも恐れられて、黄泉の国と天界から自由に出入りしても誰も止められない人は?」大雷音寺の待ち伏せを参加した妖魔は、天界に従服した妖魔も、黄泉から舞い戻った妖魔も参加した。
「それは……君だ。天界に取経に命じられてるお前ならば誰も止めはしない、黄泉の国で暴れだしたことをあるお前は閻魔様もそれ以上止めはしない、お前は生死簿すら書き返すからな。」二郎神は悟空の罪を数えているか、でも世界中を探し回してもそれをできるは斉天大聖しかできないことだ。
「恐らく六耳彌猴は死んだ後、俺の姿に化けて、死んだはずの妖魔を全部開放し、そしてやつは天界に行き、天界に無理やり従服された者も招集したんだろ。」
「だから釈迦如来はこの件について全く言及しないのか、問題を起こした妖魔は自分の命令でお経を取りに行った者と同じ姿に化けて、それを見破れず、犯行を見過ごせた。」二郎神は最初から知っている、天竺にお経を取り行かせること自体は道と仏の間の権力争いだった。
釈迦如来は表では仏の名においてお経を取ることで、一切の衆生を救う、人間界に道家を越える功績を作る。太上老君も体面を保つために、表面では全面的に支援したが、実のところは密かに自分の召使が人間界での暴行をあえて泳がした。
金角銀角、独角兕大王、彼らは元より太上老君の関係者だ、老君の神器を盗み、西遊のご一行の邪魔をした。
「我々道家の協力がなければ、仏は西遊を完成することができない。」それこそが太上老君が企んだ陰謀だ。
「太上老君も絶対にこのことを口に出さないだろ、釈迦如来の面目を保つため、一切の衆生を救う功績、彼も欲しかったんでしょ。」両家のリーダーも絶対に真実を言及しない、悟空の推測ではこれが真の原因なだろう。
「六耳彌猴の変身を見破られるのは釈迦如来様だけなのか?」二郎神はあることに気づいた。
「あとは地蔵王菩薩もそれを見破ることはできるけど、襲撃事件以来、彼の姿はどこにも見当たらない。」昔、西遊の旅の時に死を恐れる地蔵王菩薩は真偽についての証言をしてくれなかった、襲撃事件以来彼は姿を消した。
「では……私はどうやって判断すればいい、目の前にいるのは孫悟空なのか、それとも六耳彌猴なのか。」楊戩の額の上の神眼から銀色に輝き始めた。
「もしある日、俺がお師さんを傷つくような真似をしたら、遠慮なく、全力で俺を止めてくれ。」悟空は悲しみを浮かべながら、弱くて脆いの唐未夢を見つめている、あの日突然に彼と同じ顔で彼女に危害を加えることを恐れていた。
「彼女が起きるようだな……」楊戩は神眼とその光隠した、これから目覚める眠り姫をそれ以上怖がらせないために。
…………
未夢の部屋の中で、神と妖魔は未夢のベットの前で土下座をした、未夢に昨日の事件について説明しながら自分たちの失礼と不注意のことを謝罪していた。
結局、未夢はまだ18歳になったばかりの女の子、彼女が受けた恐怖は二人が想像できるものではない。
「私たちはもう謝ったから、君もいい加減現実を受け入れてくれ。」せっかちな二郎神はそう言いながら頭を上げた。
「こんな無礼はやめろ!お師さんが怖がっている!」なにことも師匠第一の孫悟空今までの行為は強烈すぎるから、力いっぱいの手で楊戩の頭を下げさせだ。
彼女は気まずく視線をそらした、ペットの隣に水とタオルが置いていたので、朦朧してる中誰かに見守っていることをわずかに思い出した。
「教会に……一度孤児院に帰りたい。」心温まる感覚は一瞬で飛び散り、目の前に土下座している二人は、災難が起きていた証拠でもあったからだ。
そして孫悟空と楊戩は唐未夢を連れてボロボロになった教会に行った。
…………
教会は全焼した、小猿隊長は孫悟空の指示で火を起こし、白骨を全部焼き尽くした、彼女の思い出が積もったこの場所も一緒に。
「すまない……白骨の精は砕かれても再び復活するので……だから……」悟空は気まずそうに未夢を見て、説明しようとしたけど言い逃れはできないから。
「神父さんと……シスター……他のみんなの死体はどこにいるの?」涙をこらえて未夢は後ろを振り返って教会から出た。
「おそらく宿舎にいるだろう」楊戩は冷たく答えを返した、そして未夢の後をついて同じく教会から出た。
悟空は一本の毛を抜き、そっと吹き出し、小猿隊長はあっという間に姿を現した。
「兄貴?まだどうしたんですか?」小猿隊長は最近任務続きで忙しい。
「お前が火加減を制御できないせいだ!姉さんが今プッツンしてるよ、たったいくつの骨を燃やすって言っただけなのに、教会ごと燃やしてしまうなんてよ!どうしてくれるんだよ?」悟空は小猿隊長の耳をひねって問い詰めた。
「それは仕方ないよ、兄貴!あの時にいる白骨の数は何十もあるから、どんだけ強火にしても数時間かかんないと終わらないよ!火葬炉を出してくれれば話は別かもしれないけど……」小猿隊長もできる限りのことはしたつもりだ。
「こっちが知ったこっちゃない!半日以内にここを元通りにすること、椅子一つでも欠けたら容赦はしないぞ!」悟空は自分が犯した過ちを補いたい、そして傷ついた唐未夢の心も。
「僕一人なんですか?」小猿隊長はびっくりしすぎて目玉が飛びそうだ。
「お前らで何とかしろ!俺はお師さんの面倒を見るから。」悟空はさらに適当にもうちょっと毛を抜いた、そこからさらに小猿が増えた。
「建築業の作業もこっちでやらないといけないんですか?」そう言いながらも小猿隊長は悟空をこの場から見送るしかなかった。
宿舎に近づくとさらに強烈な血の匂いがするようになった、未夢は足が震え、これ以上先に進めなかった。
「この先には入らない方がいいと思う、きっと君にとってはただただ恐ろしい場面になるだけだ、顔見知りの人の死体を見るのはさらに辛い。」
「私はただ……せめて……みんなをちゃんと埋葬したいだけだ。」未夢は泣いた、自分のせいでみんなを死なせたこと、これ以上先に進めない自分のことを情けないと感じたからだ。
「早く来い、小猿隊長!緊急任務だ!」未夢の頼みを聞いて、悟空は焦って小猿隊長を呼びつけた
「まだなんですか……兄貴?」小猿隊長は息を切らしながら駆けつけた。
「死体を全部きちんと埋葬しろ、今すぐにだ!」」地煞七十二變化は非常に使いやすい、小猿隊長は工事現場監督からジョブチェンジしないといけないみたいだ。
死体をきちんと埋葬した後、未夢は全ての墓石に祈りを捧げた、神や仏でもいい、未夢は今なくなった全ての者にやすらぎがあること、彼女がみんなに許してもらうことを祈っている。
そして別のところで、惨劇を生み出した妖魔の集団で、新しいメンバーはすでに悪魔からのプレゼントを受け入れた、黄金の鎧は黒く染め、金色の風も強烈な妖気で溢れている
「これが三蔵法師の肉によって持たされた力か……通りで六耳彌猴はこのまま続ければ、神の支配をひっくり返せると思うんだ。」二十八宿の奎木狼は再び闇に堕ちた、聖なる僧侶の血肉が彼の力をさらなる高みに連れて行く。
「あなた、今度こそ、私たちは必ず三蔵法師を捉えられる、そして二郎神も孫悟空も私たちに滅ぼされる。」百花羞は強くなった夫を見て甘く笑った。
何故なら三蔵法師の血肉は彼らの愛を成就させてくれるんだろう。
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