7 高速道路の追撃

「殺人だ……人殺しがいるよ……」唐未夢は慌ててタクシーに乗った。

「お嬢ちゃん、どこに行くの?」運転手さんは後ろに振り向いて聞いた。

「警察署に行きます……警察に通報したいです!おじさん、携帯を貸してくれますか?」未夢は今、警察を頼るしかないと思っている。

「そうか、あいにくおじさんの携帯の充電は切れちゃったよ、では一番近い警察署まで送るよ。」運転手は当たり前のようにアクセルを踏んだ。

だが未夢はまだ気つていない、運転手はバックミラーから彼女をずっと笑いながら見つめていた。

…………

教会内で、白骨の精はついに正体を表した。数十匹の妖魔は孫悟空と二郎神と戦っている。

黒髪パーマで白い肌の女性、紫のアイシャドウにちょっと怪しげな色の唇、彼女の肌の上には白骨で造られた鎧を着て、その手のひらの上に頭蓋骨を持っている。

「孫悟空よ、たとえ何度生まれ変わっても、三蔵法師も相変わらず騙しやすし、あなたもこんなにあっさり捨てられるしね。」頭蓋骨を弄びながら白骨夫人は孫悟空のことを嘲笑った、ちょっとお芝居をしただけで、この師弟関係はあっさりと引き裂けることができる。

「お前がどんなに俺たちの関係を引き裂こうと、俺はお師さんのところに戻る、最終的に彼女もきっと俺のことを信じてくれる!」昔悟空が白骨の精を倒した時のように。

「問答無用、孫悟空さっさとこいつを倒して、三蔵法師を追ってけ。」 二郎神はこれ以上無駄話をするつもりはない、三尖両刃槍から銀閃が輝き出した。

「神は嫌いだが、お前のこの言葉はよく言ったぞ!」悟空は棒を振って、両足に纏っている白骨を砕き、白骨夫人のところに飛び行った。

「戦闘なんて私には向いていませんわ~。」教会の中にいる数十匹の白骨妖魔は全部白骨夫人の僕なので、白骨夫人を倒すには先ずそれらを砕けないといけないようだ。

悟空は棒を回しながら前進んで、回転してる金箍棒で進路上の白骨を簡単に砕け散った。

「伸びろ!」伸びた如意金箍棒で横から一振り、群かかってくる白骨たちは全部両断した。

一つまた一つの白骨が砕けたが、一つまた一つ再び組み立て直している。殺しても殺しきれない、まるで数千の軍隊を相手にしてるようだ。

「おかしいな。」第三の目からの神の光はまるでレーザービームのように白骨たちを砕けたが、三尖槍と神の光で倒したはずの敵は再び立ち上がった、氷のように冷たい二郎神もそれを見てイラついた。

「きりがないな……猿、そっちはどうだ?」四方からくる攻撃を減らすために2人は背を合わせた。

「こっちの状況も芳しくない!三眼野郎!一発大きな攻擊をかましていくぜ!」神と妖魔が並んで戦う、それができるのは二郎神と孫悟空だけだ。

「飛べ!」二郎神は自身の神力は集中させ、悟空は二郎神の攻撃に合わせるために空に飛んだ。

二郎神は一周を回て、氷のビームで周りにいる白骨を一気に氷漬けさせた。

「大霹靂!」空中にいる孫悟空は寒光を避け、空中から地面までに降り下ろし、力いっぱいに金箍棒を地面に差し込んだ。

そして地面から無数の如意金箍棒が差し出した、氷漬けられた白骨たちを全部破壊した。

白骨軍勢が破られ、教会の中には敵のボス、白骨夫人しか残っていない。

「行くぞ!」二郎神は片手で槍を持って突っ込んでいた、狙いを白骨夫人に定めた。

悟空はその後を追い、未夢は今行方不明になっているので、悟空は彼女が他の妖魔に狙われていることを心配している

「地煞七十二変化!定身!」定身の術は相手をしばらく拘束しする技で、それを受けた白骨夫人は動けなくなった。

「殺す!」三尖両刃槍は一撃で白骨夫人を貫いた、悟空と二郎神のコンビネーションはバッチリだ。

致命の一撃が胸に差し込んだ、しかし白骨夫人は怪しげな笑顔を保ったままだ。

「手応えがない……」二郎神はとどめを刺した実感はなかった。

そして白骨夫人の本体も他の白骨と一緒に砕け散った。

「これは偽物だ!」長年白骨の精と戦った経験を持つ悟空はこの手口に見覚えがある。

「これは俺たちを惹きつけるための囮だ……本体はもうここにいない」

「どうやらアイツは俺たちをここに足止めをして、本体はすでにお師さんを追いかけた。」その身代わり以外、孫悟空はさっき破壊した白骨たちがもう一度組み立て直されていることに気づいた。

何度も三蔵法師の肉を得て強化した白骨夫人は解屍法の本物と変わらない死体を作り出す以外にも、本体が倒されない限り、操られてる白骨死者も無限に復活することができるようだ。

「これ以上ここで時間を取らされるわけにはいかない!変!猿特殊部隊!」悟空は自分の毛を抜き出して、大勢な特殊部隊の装備をしている猿を呼び出し、サブマシンガンを持った猿たちは整列していた。

「兄貴!今回はこんな重装備でどうしたんですか?姐さんはどこだ?」小猿隊長はそう言った。

「姐さんは白骨の精に騙されてどっかに行っちゃった、お前たちの任務はこの白骨の分身を全部抑え、その間に俺が本体をボコボコにして叩く!」悟空は金箍棒で地面を叩いた

「ラジャー!」小猿隊長は悟空に向かって敬礼した

「土地神!出てこい!」悟空は大声で叫んだ、この土地を管理してる神を呼び出そうとしている。

「な…な……何でしょうか、大聖様!二郎真君様!」旧式な服を着ている老いの土地神はそう言葉を返した。

「俺のお師さんは今どこにいる?」悟空は土地神の胸ぐらを掴みながら質問した。

「か……彼女はタクシーに乗って、あちら方面に行きました……」土地神は震えながら答える。

悟空は口笛を吹いた、そして如意金箍棒を上方面に伸ばし、長い棒が教会の屋上突き破り、僕は一気に屋上の上まで飛び行った

「筋斗雲!」悟空の口笛で昔からのパートナーである色彩の雲を呼び出した。

「哮天犬、解放。」二郎神のそばにいる神獣、哮天犬はずっと白い狼犬の姿で外で待っていた、主の呼び声に応じて巨大な氷の狼に姿を解放し、二郎神のマウントに変化した。

悟空は筋斗雲に乗って空中から追いかけて、そして二郎神は哮天犬に乗って陸の上から追いかけた、目標は高速道路に走っているタクシー、未夢が乗っているタクシーだ。

…………

高速道路の上、唐未夢はタクシーの中で今日起きた出来事を思い返していた、何が本当か?何か嘘なのか?

そのせいで彼女はまだ気づいていない、警察署まで行くはずだったタクシーは別の方向に走っていた。

悟空の声が彼女の耳に届くまでは。

「お師さん!」筋斗雲に乗っている悟空はようやく目標を見つけた。

だが今ではこの声は未夢を怖がらせるだけだ。

「警察……そうだ!警察署だ!運転手さん、何で私たちは高速道路に乗っているの?一番近い警察署に行くんじゃないんですか?」未夢はようやく今の状況を理解し始めた。

「あ~そうだね。」だが運転手さんはこれ以上説明する気はない、なぜなら追っ手はすでにすぐそばまで追いかけてきた。

「ああぁ!」未夢は車内で激震を感じた、トランクの方で衝撃を受けたみたいだ。

そう、二郎神からのビームの攻撃を受けたんだ。

「距離が合わない。加速しろ、哮天犬。」二郎神は氷の狼に乗って高速道路を左右に横切った。

「三眼野郎!まだお師さんが車に乗っているぞ!」悟空は二郎神の攻撃が未夢を傷つけることを恐れた。

「安心しろ、私は外さないから。」二郎神は次の攻撃を準備している

「チェ……このまま騙し切って、彼女を直接本部まで連れて行けると思ったのにな。」タクシーは加速した、運転手も正体を表して、男から白骨夫人に姿を変えた。

「う……運転手さん……」未夢は異変に気づいた。

白骨夫人の頭が180度回って後ろを向いた。

「三蔵法師、あなたはちゃんといい子にして座りなさい、今すぐ私をここで無理やりあなたを食わせないでください。」運転手の正体は白骨夫人だった、そしてこのタクシーも白骨により生み出したものだ。

タクシーはただのまやかしで、その正体は道路の上に走っている大きな骨の狼だ、そして唐未夢はその真中にある骨の牢獄にとらわれている、白骨夫人は狼の頭の中に隠れている。

高速道路は神と妖の追撃戦の舞台になるでしょう。


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