嘘遊記5 西遊補円計画

百眼魔君と七蜘蛛の問題が一件落着した後、孫悟空は気絶した唐未夢を抱えて、二郎神に案内されて、安全な場所に移していた。

彼らが向かった先は近郊にある2階建てのヨーロッパ風の別荘だ。

「さすがは天界だな〜太っ腹だな。」孫悟空は未夢を長いソファの上にそっと降ろした。

「ここは結界によって守られている、補円計画の最中はここに住めば良い、2階の左側に空き部屋が2つある。」そう言い残し、二郎神は別荘から立ち去ろうとしていた。

「お前はこれからどうするの?」二郎神と悟空は同じく二千年間ずっと同じ目的で戦っていたが、悟空は二郎神のことをよく思っていない。

なぜならこの二千年間の経験は、彼に悪夢を悪夢で重ねるだけの経験だけだったからだ。

「さっきの件と君たちの後始末をする。」そして二郎神はドアを開き、別の場所に向かっていた。

悟空はソファーの上に熟睡している未夢を見て、18年ごとに、毎回三蔵法師の生まれ変わりとの初めての出会いを思い出す。嬉しい初の出会いから何回も最終的にただ痛い思い出に変わっていくだけだ。

…………

警察本部の中で。

警察の偉い人たちが特別事件対策室に集まっている。彼らは一つの報告書を受けて、顔色が険しくなった。その報告を提出した警察本人はそれについて一切の記憶がない状態だ。

「まだ来たか....」禿げた年寄りの警官がつぶやいた。

ただ W だけ書かれていた報告書、 対策室内の全ての人にとって初めての経験ではなかった。

「お邪魔するよ。」ノックもせず、なにも持っていないこの男はこの機密な場所にたどり着いた、そう、彼は二郎神だ。

「おおー神様!」 禿げ警官はこの男覚えている、ちょうど18年前彼はようやくこの部屋に立ち入る資格を得たからだ。

だが18年の時間を経ても、目の前にいるこの男は全く変わっていなかった。

「よく聞け、諸君!三蔵法師はすでに覚醒した、西遊補円計画がまだ再開する」二郎神は天から地上へ派遣した使者である。

彼の使命は妖魔を殺す一方、計画の実行になるべく地上の世界への影響を減らすことも彼の使命である。

凡人はもう二千年前ほど単純ではない、むやみに神や妖の存在を明かしたら、世界中がパニックになるだけだ。

「全力でサポートいたします!」禿げ警官は興奮しながら返事をした。

「君たちの仕事はただ事件をうまく隠蔽するだけだ、他のことは私と孫悟空が解決する。」三蔵法師が覚醒したから、今回の百眼魔君の事件みたいに死傷は増えていくばかりだろう。

「承知した....昔と同じ手口ですね、今回の事件はテロの襲撃で結論をつける。」もう一人の髭まみれの警官は二郎神にかしこまっている。

西遊補円計画が成功しない限り、おそらく18年ごとに、闇に消された被害者はどんどん増えていくだけだ。

まだ落ち着いていない警官たちを残し、瞬間移動を使って二郎神は対策室から離れた。

「今回も...どれだけのの事件を消さないといけないんだ。」髭警官は恐れている、彼には何回も三蔵法師の転生により引き起こした災難をしたことがあるだ。

「こちらこそ災害の被害を最小限に抑えないと、この計画のせいで失った命を多すぎるよ...」禿げ警官をずっと興奮しすぎている、なぜなら彼の家族は昔妖魔に殺されたからだ。

18年ごとに思い出される悲劇、そして18年ごとに再び回ってくる悩み。

…………

近郊の2階建ての別荘にて。

「さ...西遊記?」唐未夢は起きた後、全く知らない場所で目を覚まし、その上に、これまで起きたことについて、今目の前に人は彼女が思いもよらなかった方法で説明しようとしている。

「あぁ、とりあえずこの小説を1回見とけ、結末以外、起きていたことは実際私たちが経験したことと大体同じだ。」孫悟空から中国の四大古典の西遊記を投げつけられた。

「アハハ...腹筋男、君さぁ、どこかで頭ぶつけちゃったの?私は18歳になったばかりだし、私が君とこの辞書みたいに分厚い本の中の出来事を一緒に経験したわけないでしょ?なんの冗談ですか?これは?」

「正確的には、百回生まれ変われる前の君だ、つまり三蔵法師だ」孫悟空は18年ごとに三蔵法師の生まれ変わりにこの説明をしないといけない。

「三蔵法師がいるわけないでしょう...コスプレをやりすぎて頭がおかしくなったのかな?」未夢は悟空が言ってた話を俄には信じられなかった。

「お前は蜘蛛の看護師のコスプレする人と、1000mくらい大きなムカデを見たことあるのか?」悟空にとってこれは冗談には出来ない、彼はさっきまで全力で戦ってきたからだ。

未夢もこれは冗談ではないと理解している、血の海と化した学校、あれは夢なんかじゃない。

「いや…わけわかんないよ...一体何が起きているの?これはきっと何かの冗談だよ、こんなの絶対現実じゃない....」例え夢ではないとわかっていても、彼女にとってこの現実は受け難いものだ。

「それは現実かどうか、テレビを見ればいい」二郎神は別荘に戻りテレビをつけた。

「緊急速報です。2時間前に市内にテロの襲撃が発生しました、その襲撃により市内の某高校に500名以上の死者が出ております、怪我している人の数も200を超えている.....」

事実は書き換えられた;事の真相は公開されなかった。

「テロ...襲撃?」未夢はニュースを見てさらにわけがわからなくなってきた。

「報道は制限されている、むやみに情報を公開するのは民の恐怖を招くだけだ、ビルのような大きい猿に新幹線並みに長いムカデ、世間はこの事実を受け入れるはずがない」二郎神は淡々と言った

「誰がそんなことを...私の友達はが....クラスメイトが....何百人もの命を奪われた、こんな報道、許されるわけない」未夢は震えた、彼女の友人は彼女の目の前に死んだばかりだ。

「神ならできる」 」二郎神は額の上にある第三の目を開き、体には白銀の気が漂ってくる、二郎神は彼は神であると証明した。

「い...イカれている、この世界はイカれているわ。」未夢は悟空に振り向き、さっきこの男は18階建てのビルと同じくらい大きな大猿に変身したんだ。

恐怖に受け難い現実、未夢は逃げることを選択した、彼女は扉を開き、結界に守れたこの屋敷から走り去った。

「やりすぎだ、これじゃただ彼女を怖がらせただけだ。」「君の顔が怖すぎだから、彼女を逃げたんだろう?」二郎神推は責任を押し付けた。

「額の上に目が生えてる人がいるわけないだろう、この三眼野郎!」悟空は立ち上がって彼の額を指差しながら行った

「ゴリラに変身して、西遊記を見ればわかるで言う人よりはマシだろう」 二郎神は小説を手に持って言い返した。

2人の間にしばしの沈黙が走った。

「俺たち...焦りすぎたか?」悟空はさっきの未夢の涙目を脳内に浮かべた。

「追いかけないか?」二郎神も少しばかり反省し始めた。

…………

「全くもう!二人のイケメンも頭おかしすぎでしょ!ガサツでマッチョな男は自分のことを孫悟空で言うし、もう片方はすごく美形だが自分のことを二郎神で言う、それに加えて私のことを三蔵法師と呼ぶなんで、私はまだビチビチ でセーラー服を着ている美少女なのよ!」18歳になったばかりの未夢には大人の世界にいろんな幻想を抱いている。

「もう帰るわ、きっと孤児院に戻ったら、今日起きた全ての出来事が嘘になる」未夢は今日起きた全ての出来事を否定したい。

「た、タクシー!」人は自分の心のセーフゾーンにいる時だけ安心することができる。

「お嬢ちゃん、どこに行くの?」 結界の外に出たばかりで、未夢はすぐに空いているタクシーに出くわした。

「現実よ.....私は現実に帰りたい....」そして未夢はタクシーに乗り込み、ずっと住んでいる孤児院の帰路に着いた。

未夢の住んでいる孤児院はキリスト教の団体が設立したもの、宿の施設以外にも綺麗な教会がついている。たとえ親がいなくても、彼女は自分のことっが捨てられている者という感覚は全くしなかった、例え血が繋がっていなくても、彼女には彼女のこと愛する兄弟姉妹がいる、それに神も彼女を愛しているはずだ。

しかし彼女は神に守られていない;神の計画によって彼女は被害を受け続けているだろ。

孤児院に戻り、全ては変わっていないままだ、扉越しに子供たちの遊んでいる声が聞こえる、ここが彼女のセーフゾーン、彼女にとっての現実だ。

「未夢姉ちゃん!」未夢が扉を開くと、可愛い弟がすぐに抱きついてきた。

「...あ!ただいま...」未夢は一瞬ぼーっとしたがすぐに気づき、ここは彼女を安心させる。

「未夢、あなたの誕生日、みんなもあなたと一緒に祝うする準備をしてきたよ。」シスターはいつも通りの微笑み。

「ありがとう、シスター。」未夢は錯覚していた。昼間に起きた出来事は全て夢のようだ。

「今日のニュース...なにか変なことはなかった?」彼女は確かめたい、あれは一体テロなのか、それでも本当に妖魔の仕業か、はたまた夢なだけなのか。

「変なこと?特にないね、今日も天にいる我が父の慈愛のもと、素敵な一日でした。」シスターは祈りながらそう言った

「そう...なら良かった。」未夢は気を緩み、携帯で友達の結奈に電話をかけようとしていたが、すでに充電が切れて、電源はつかなかった。

「みんなが待っているよ、早く教会の方に行きましょう。」神父も彼女に微笑みかけた。

教会で未夢を待っているのは、兄弟や姉妹じゃない、白骨の集まりだけだった。

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