豚肉のシチュー 塩のみ

 帰りのスーパーで豚の肩肉とばら肉の塊がそれぞれ半額だったのでほくほくと買い込んで帰る。しめて千円なり。


 玉ねぎとじゃがいもと肉と塩少々、水だけで煮込む、のが結構好きなのだが、今日はそれをエビアンで煮込む。

 硬度300程度の水で煮込む実験だよ実験、というやつ。


 ツイッターをチラ見していたところ、肉が柔らかくなる、しかしてじゃがいもは煮崩れない、というものと、旨味が抜けて良くない、というものを両方見たので実験だ。

 そのうち役立つかも知れないし。


 とりあえず順番などは気にせず、下茹でなどもせずにくし切りの玉ねぎ3つと新じゃが四つ切を4つ、肉は大体一キロを豚の角煮程度のサイズに切って全部一緒くたに大鍋へぶちこみ、塩一匙を入れてエビアンを500mlのやつを二本。ローレルを二枚入れて中火でことことやる。

 沸騰しだしてすぐにアクがスポンジ状に湧き上がってきたのでちょっとたじろいだ。普段はアクを掬うのに結構苦労する(あえて沸騰させてアクが泡の上に集まって浮き上がるのを待ったりする)のでこれは大きな差。

 スープは結構長時間煮込んでも溶け崩れた様子はなしで懸濁しないので確かに煮崩れないらしい。


 そうこうしているうちに煮上がったので器によそうと、うす黄色い澄んだスープにあぶらの滴が浮いた感じの見た目。じゃがいもはエッジを保っている。玉ねぎは流石にだいぶ崩れているものの、それがポタージュみに影響した感じはあまりない。お肉はスプーンではほどけないものの、箸はさくっと入る程度。

 食べてみると、普段に比べて風味がゆるめな気はする。では旨味が抜けるというのも真なのかしら。

 こう、すべての味がちょっと穏やかというか、豚肉って結構香りも味もがつんがつんと来る気がするのだけれど、それがないかも知れない。獣臭さと獣味が無いというか……。でも豚肉の素性で大きく変わる部分なのではっきりとは言い切れない。後は芋と玉ねぎの苦味もないな、と思う。でもこれも材料の質次第なので対照実験をしないとどうにも言い切れない。これはごはんであって論文を書くわけでもないので対照実験はしない。ねずみだし。


 とはいえ、旨味がないとは思わなかったし、豚肉はちゃんと穏やかに甘かったのでむしろいい方に行っているのでは?という気はする。スープはこっくりしており、これは文句なしに旨い。具は全体的にふんわりと柔らかく、パサパサ感やガリガリ感はなし。


 とりあえず、硬水で煮たとしてもまずいシチューにはならない、というのは真でいい気はする。うまい。

 アクは本当にきれいに抜けるので澄んだ味のシチューになっている気がする。となるとヨーロッパの田舎家の塩水のシチューは味に濁りがないものを想像してしまってもいいということだろうか。それはだいぶイメージが変わるなと思った。


 ところで昼間買ったとてもいいパンを付け合わせにしたらだいぶごちそう感があったのでパンはよいお店で買うととてもQoLが上がると思った。バゲットブラン一本三百円ちょっとでしあわせが買えるぞ。

 まだあるのでハーブバターで夜食にしようと思う。シチューに沈めたあとでチーズ乗せて炙ってもいいな。たのしみ。

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