3#秘密の友達がバレた時・・・悲しい別れ

 「ハンスの奴、何風船で遊んでるんだろ?」


 「何だか愉しそう。でも何だかムカつく・・・!!」


 「あの生意気なハンスの風船、パーン!と割っちゃいたいぜ!!」


 一匹オオカミのハンスと『秘密の友達』の紫色の風船と遊んでいる姿をずっとハンスを付けていた、群れの元仲間達が草葉の陰でヒソヒソ話をしていた。


 「そうだ!!良い作戦思いついた!!」


 

 そんな元仲間達の策略を知らずに、一匹オオカミのハンスはオオカミの顔の絵入りの風船をついて遊んでいた。



 ガサガサガサガサガサガサ・・・



「ん?だあれ?」


 突然茂みがガサガサ揺れると、『友達』の風船の紐をくわえたオオカミのハンスは振り向いて覗き込んだ。


 「がおーーーーーーー!!!!」


 「ひいいっ!!グリズリーだぁぁぁぁ!!」


 突然茂みから、巨大なグリズリーが仁王立ちして腰を抜かす一匹オオカミのハンスに威嚇してきた。


 

 ふうわり・・・ふわふわ・・・



 「あっ!!俺の友達が!!」


 ハンスの口から離れた風船は、風に飛ばされて紐をグリズリーの爪が掴んでしまった。


 「おいー!!この風船はおいらのだぞーーー!!」


 「違う!!俺の『友達』だぁ!!」


 紫色の風船を爪に揺らして、しかめっ面のグリズリーは半べそをかいて風船を取り戻そうともがくオオカミのハンスを牽制しまくった。

 

 

 「よくやれよ、グリズリーのコング。」


 「ははっグリズリーのコング、憎きハンスの風船自慢の爪でぱーーん!と割っちゃえ!!」


 草葉の陰で群れの元仲間達は、ニヤつきながら、仲間達が仕向けたグリズリーから必死に取り戻して迫るオオカミのハンスを凝視していた。


 「そうだ!!この風船ちょっと萎んでるなあ。おいら、パンパンに膨らませちゃおうかなーーー!!」 


 グリズリーのコングは、紫色の風船の吹き口のリボンを爪で取り除き、吹き口の結び目を爪で解くと、息を深く吸い込んで頬をめいいっぱい孕ませて、



 ぷぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!



 と、口で息を思いっきり吹き込んで膨らませた。


 紫色の風船は一気にネックの部分まで膨らむと、



 ぱぁーーーーーーーん!!!!!



 と、物凄い破裂音をたててパンクした。


 呆然とするオオカミのハンスの目の前に四散した紫色の『友達』が、ハラリと地面に墜ちた。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る