第50話 魔王配下七魔族緊急集合
「みんな、仕事を早めに上がってくれて、ありがとう」
「魔王様のことで緊急集合って、雪の魔族。何があったのか?」
「絶対に内密にできると、魔王様配下七魔族の座に誓って約束できる?」
「そ、そんな重大な事態が……もちろんだ」
「もちろん、魔王様のためになるならば、なんでもしようではないか!」
「魔王様のために命なんて、元からばっちりかけているよ! 任せな!」
「わ、私も頑張ります!」
「俺に任せておきな!!」
「……ん」
「ということで、我らが魔王様に初めての恋が、初恋の季節が回ってきたんだ」
「「「「「うおぉぉぉ!」」」」」
「……」
「で、俺らはなにをすればいいんだ?」
「……雷の魔族って、恋とかしたことある?」
「あ、あ、あ、あ、あったりめぇだ!」
「……参考にはならなさそうだな」
「他の者も、意見があるものはいるか?」
「「「「「…………」」」」」
「……見守る」
「光の魔族の見守る、以外の意見はあるか?」
「え、えーと、その、ふたりがくっついてしまうようなイベントっていうものを起こしたらいいと思います」
「イベントを起こす、か。して、水の魔族よ、どんなものなんだ? そのイベントってものは」
「え、えーと、人間の読んでいるものによると、共に苦楽を乗り越えるものが多いですね……。あ、あとは、偶然の出会いが運命の出会いになるとか。障壁があると燃え上がると。さ、最近入手した本では、朝、遅刻しそうな時にパンを食べながら走っているとぶつかった相手こそ運命の相手とか……」
「パンか……」
「俺たちの給料を合わせて、パンを大量に買って、クロウ様に送るか?」
「……障害」
「ん? 光の魔族。障害か? 障害……」
「……もう、ある」
「障害はもうあるって言いてぇのか? 魔王様とクロウ様の間の障害……?」
「ま、まずは世界の違いといいますか、種別が違いますよね?」
「そ、そんなちっせーこと、関係あるのか!?」
「雷の魔族、衝撃を受けているところ悪いけど、クロウ様が職場内恋愛反対派だったら、障壁はかなりのものになるわ」
「……雪の魔族。そうか、そうなのか……」
魔王の配下七魔族が思い返すのは、いつもの地獄での光景だ。
「……あれだけ地獄の神とテラス様が職場でいちゃついていらっしゃって、その苦労をなさっているのは、クロウ様だ。職場内恋愛反対派の可能性があるぞ」
「……まずは、職場内の女性=魔王様に目を向けてもいいと認識してもらわないと」
「…………妨害」
「ぼ、妨害? 何をする気だ? 光の魔族」
「…………迷惑じゃない、職場内恋愛」
「ん? 職場内恋愛が周囲の迷惑じゃない状況にするために地獄の神とテラス様がクロウ様にご苦労をかけることを妨害するって言いたいのか?」
「……ん」
満足げに頷いた光の魔族は、着席し、目をつむった。
「よ、よくわかるわね、雷の魔族……」
「なげぇ付き合いだからなぁ」
「長い付き合いだけでそこまでわかるのなら、私もなかなか長い付き合いだと思うんだけど……」
「じゃあ、結論としては、地獄の神とテラス様のいちゃいちゃからクロウ様を救い出し、お給料でクロウ様にパンを贈りまくり、タイミングがあったらイベントの発生を試み、見守るというところでいいかしら?」
「おうよ!」
「は、はい」
「了解!」
「おうよ!」
「はいはーい、まっかせな!」
「……ん」
これで一体効果はあるのか疑問だが、配下七魔族たちは、作戦を実行するのだった。
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