第37話 結婚祝いに異世界を
「というわけで、勇者様への借りも返せましたし、元怠惰の神の
「……働き者なことはいいと思うが、私はもう少しテラスとの時間が欲しい」
「ディラン様……」
甘えるようにテラスの手を掴み、自分の近くへと引き寄せた地獄の神に、テラスは思わず頬を赤く染める。
「二人きりで新婚旅行をしないか?」
「はい」
「そして、結婚式の準備を進めよう」
「結婚式……」
茹で蛸のように顔を真っ赤にして、金魚のように口をぱくぱくとするテラスは、地獄の神と結婚することをはっきりと再認識したようであった。
「け、結婚式は、地獄の神ともなれば、壮大に行うのでしょうか?」
「うーん、最高神を呼ぶってなるとそれなりの規模でやらないといけないけど、地獄のメンバーで執り行ってもいいし、テラスの好みに合わせるよ。私としては、美しく着飾ったテラスの姿を何度も見ることができると、嬉しいから、天界と地獄で2回やってもいいけどね」
私の物だと知らしめないと、とテラスの髪を一房つかんで片付けを落とした。
「で、では、天界と地獄で2回執り行いましょうか? 私もディラン様の花婿姿を拝見したいです」
「天界では白メインのドレスに、お色直しで花畑のようにカラフルなドレスも似合いそうだね。地獄では、黒メインのドレスに、お色直しで夜空に浮かぶ星のようなドレスも似合いそうだ。でも、逆に地獄で白いドレス、天界で黒いドレスのテラスも映える気がするんだよね……」
ぶつぶつとドレスを考えながら、今すぐにすべてのドレスをオーダーしてしまいそうな地獄の神の姿に、テラスは慌てて声をかける。
「ディラン様! ドレスは後日にして、新婚旅行にどちらへ行くかを考えませんか?」
「……そうだね。ドレスはテラスの好みが大切だから、今度にしようか。どんな場所に行きたいとかある?」
地獄の神の興味をそらすことに無事に成功したテラスは、地獄の神の膝の上に乗せられ、頭をなでられながら回答する。
「食べ物の美味しいところに行きたいです。あと、ディラン様さえよろしければ、南の海に行ってみたいです。天界で他の使い人たちが自慢なさっていて、うらやましかったので……」
「よし。今すぐ南の島を作るよ。最高神が結婚祝いにと一つの世界を作って与えてくれてね。そこでは、私が自由に力を使っていいからなんでも作れるんだよ」
「結婚祝いに世界……」
あまりの言葉にテラスは、シャットダウンした。
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