第3話 カフェオレと紅茶

 僕は和花さんと向き合って、今日学校であったことや最近あったニュースなどについて話す。

 ニュースと言っても、大半が芸能やエンタメに関するものだ。とはいえ戦争や災害が起きれば憂うし、世界は平和であるべきという想いは僕も和花さんも変わらない。


「和花さん、今日はカフェオレなんだ」


 いつもはブラックコーヒーだから珍しい。彼女は甘いものが嫌いというわけでは無いが、好き好んではいないようだ。


「なんだか珍しく甘いものが欲しくなっちゃって」


 言いながら、優しい色合いのドリンクに細身のスプーンで白砂糖を二杯足す。


「そうなんだ。何かあったの?」


 そういう僕はストレートの紅茶だ。たまにミルクティーを頼むこともある。


「なんというか……、息吹くん、昨日の朝わたしのこと見ていたでしょう?」

「ああ、気づいてたんだ」


「そりゃあ彼女ですから。息吹くんの学校の子たちがわたしにきゃあきゃあ言っていたじゃない。ちょっとそういうことが続いていて、疲れていて……」

「いやだったんだね」


「正直言って、人のことを綺麗だからイケメンだからっていうだけで指さして騒ぐのはどうかと思う。わたしはフツーだよ。フツーの一般人であってアイドルじゃないの」

「そっか」


 それを受けて、僕は。

 ほんの少しの勇気を振り絞って。


「じゃあ、君の隣に僕がいれば少しは違うんじゃないかな? 少なくとも男子がいれば牽制にはなると思うし」

「息吹くんが一緒に登校してくれるっていうこと?」

「そうだよ」


 和花さんは困ったように身じろいだ。カフェオレの湯気もつられて揺れる。


「わたしたちの関係を明かすっていうこと……?」


 まあ、確かに。少し、抵抗は、あるけど。


「もうお互い高校生だろ? 問題は無いと思うんだ」

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