墓場と思い出
ある墓石の前に着いたとき、
「ここに来たら、嫌な思い出ばかりが蘇る……。そのはずだった」
「いつかわからない、自分の物心すらついていたかわからない。そんな昔のことでも、思い出す気がする」
そう言うと、彼は数歩だけ前に出て、空を見上げて続ける。
「……
「ずるいと思った。根拠もなく、俺はお前たちが優遇されていると思ったんだ。でも、死ぬ前に母さんは言った。『妹たちを守ってあげて』って。……俺は期待されてたんだって初めて気がついた」
「埋められる母さんの骨壺を見て、埋められたあとの母さんの墓を見て、泣きまくるお前たちを俺が守るんだって幼いながらに覚悟した。それからは墓参りが苦じゃなくなった。母さんに託されたものは俺が守ってるよって、それを伝えられるから」
辺りには
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます