第43話 再生兵の助け

 また頭上をゼロ戦の編隊が飛行場に向かって飛んで行く。

菊池中佐は上空のゼロ戦を見て、


 菊池「あのゼロ戦も俺達を援護に来たのか?」

 矢野「そうです!」


ガダルカナル(餓島)の残兵達が岬の下の砂浜に降り始める。

陸戦隊の矢野大隊の軍装と『ガ島の残兵の軍装』が「対照的」である。

『野村再生兵』が黙って木原少尉に安全な降り口を指で示す。

木原は野村再生兵の指先の方角を見て、


 木原「中佐殿、こちらが安全です」

 菊池「よし! 全員その少尉の後に続け。足元に気を付けろよ」

 残兵達「はい・・・」


残兵達は整然と順序良く木原の後に続く。

泣きながら進む残兵達。

断崖の下の砂浜では、カッターの水兵達が残兵達に手を差し伸べる。


 水兵「ご苦労さまでした。良く頑張りました」


水兵達も泣いている。


 水兵「足元に気を付けて下さい。焦らなくても良いでから。全員乗れます。全員連れて帰ります。そう、そう。ゆっくりと・・・」


順序良く痩せた残兵達はカッターに乗り込んで行く。

残兵達を満載したカッターが次々と岸を離れて行く。

先行するカッターの中から残兵達の声が。


 残兵達「お~い! 先に行くぞー。気を付けて来いよ~」


水兵が叫ぶ。


 水兵「残兵を降ろしたら直ぐにまた戻って来ます! 大丈夫です、安心して下さい」


再生兵達が『餓島の残兵』達を順序良くカッターに乗せて行く。


早坂再生兵や佐々木再生兵、野村再生兵、西村再生兵、他数十の再生兵達が残兵達に指示をしている。


関元や福原達も手際よく残兵達をカッターに乗せて行く。

何艘ものカッターが水兵の力強いオール捌きで駆逐艦に向かう。


 矢野奇襲部隊が整然と飛行場に向かう

飛行場から聞こえる連射砲音と機銃音。

三機のゼロ戦が空中から滑走路に向けて爆弾を落として行く。

飛行場の方角から数本の煙りが上がる。

他のゼロ戦は空中を駆け巡り、20ミリ機関砲を米軍兵舎に向けて撃って行く。

                          つづく 

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