第42話 第一次ガ島撤収部隊の到着
十隻の駆逐艦と五隻の警戒駆逐艦が岬に向かって音も無く接近して来る。
『日本海軍の救助艦隊』である。
駆逐艦が岬から少し離れた所に錨を下ろす。
各艦から数十艘のカッター(小舟)が下ろされる。
暫くして上陸網が下ろされ、水兵達が急いでカッターに乗り組む。
後に数十人の海軍陸戦隊の奇襲部隊兵が上陸網を降りてカッターに乗り込む。
力強くカッターを漕ぐ水兵達。
カッターは岬に向かって進んで来る。
静かに見守る岬の残兵達。
泣いている兵士。拳を固く握る兵士。唇を噛みしめる兵士。俯く兵士。座り込み合掌する兵士。
『地獄の島からの撤収』である。
暫くして、断崖の下に無数のカッターが着岸する。
海軍陸戦隊の奇襲部隊の兵士達が次々にカッターから飛び降りる。
岬の下から一斉に叫ぶ水兵と奇襲部隊の兵士達。
兵士達「お~い! 居るか~。皆んな集まってるか~! 迎えに来たぞ~!」
矢野周作少佐を先頭に、足早に岬を登る数十の陸戦隊の兵士達。
矢野が岬に立つ。
菊池中佐と向き合い、挙手の敬礼をする矢野。
矢野「奇襲隊の命を受けた海軍陸戦隊の矢野です。御苦労様でした。只今から攻撃を代わります。ごゆっくりお休み下さい」
菊池「ご苦労。もう一度やるのか?」
矢野「いえ、我々は島の残兵達を救う為に来た『捨石部隊』です」
菊池「ステイシ!?」
菊池が驚く。
矢野「岬には三日後の二月四日と七日に再度、撤収部隊が来ます。我々はその『かく乱部隊』です。この後(アト)、大隊をもって飛行場に強襲をかけます。ガダルカナルの残兵達は大至急、この島を撤収して下さい」
菊池は矢野大隊長を見詰めている。
つづく
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