第41話 エスペランサ(希望)岬が見える
夜が明けてジャングルの隙間から『岬』が見えて来る。
佐々木再生兵「中佐。・・・あそこが『エスペランサ(希望)岬』です」
俯いていた菊池中佐が顔を上げて、眩しそうに朝の岬を見る。
菊池「おお、あれがエスペランサか・・・」
後ろの残兵達が菊池中佐のその声を聞いて顔を上げる。
残兵達「岬だッ! エスペランサ(希望)が見えたぞ」
残兵達がどよめく。
瞬時に最後尾の兵士まで伝わる。
兵士達の顔色が変わる。
一人の負傷兵が力の無い声で、
負傷兵「バンザ~イ・・・万~歳。もう少しだ。・・・もう少しだ!」
次々に兵士達が叫ぶ。
兵士達「戻れるぞ。・・・生きて帰れる。助かった。俺達は生きて帰れるんだ!」
涙を流すの兵士達。
兵士達の進む脚に力が入る。
突然、上空に『ゼロ戦の編隊』が通過して行く。
四機編隊のゼロ戦はヘンダーソン(ルンガ)飛行場に向かって飛んで行く。
上空を見上げてどよめく兵士達。
飛行場の方角から、機関砲の発射音が鳴り響く。
続いて第二波のゼロ戦が飛行場に波上攻撃をかける。
残兵達は涙して、
残兵達「バンザーイ。頑張れ~。ヤッツケロ~! ぶッ潰せー!」
残兵達の群れで岬はどんどん膨れ上がって行く。
椰子の樹に原住民が二人、拘束されている。
先に到着していたボロボロの軍装の「木原少尉」が、菊池中佐に不動の姿勢で「挙手の敬礼」をする。
木原「早坂中隊木原猛夫少尉です。ご苦労様でした! 船がもう直ぐ来ます」
菊池「ハヤサカ中隊? 船がもう直ぐ来る? キサマ達は無電機を持っとるのか」
木原「いえ。情報が入って来るのです」
菊池「ジョウホウが?」
木原「今、ここで中佐に説明しても信じてくれないでしょう」
菊池「? 何だそれは?」
突然、関元が叫ぶ。
関元「あッ! 木原少尉。来ました! 日本の船です」
岬に集まった全ての残兵達がどよめく。
「来た? 来たー! 帰れる。来たぞ~!」
残兵達がむせび泣いている。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます