第25話 再生兵達の援助

 ブルドーザの後ろに関元曹長と河野上等兵、軍用トラックの下には福原と大宮が隠れている。  

米軍の補給テントの入口に早坂再生兵(俺)と佐々木再生兵が立っている。

二基の再生兵は三名を見て優しく笑う。

三名は驚き、


 三名「あッ! あそこに中隊長と佐々木准尉が居るぞ」


早坂再生兵は関元達を指差し、手招きをする。

関元が小声で、


 関元「オイ、俺達を呼んでるぞ。俺が先に行く。キサマ等は俺が向こうで呼んだら来い」


二名が小声で、


 「はい」


中腰で補給テントに走る関元。

関元が暫くして、テントの中から顔を出す。

河野達に手招きをする関元。

二名が周囲を確認して、走ってテントの中に飛び込んで行く。

テントの中は「食料」や十字の書かれた「医療用品」が山積みされている。

四名は焦りながら、有りっ丈のモノを近くの麻のコーヒー袋に詰め込んでゆく。

福原が小声で、


 福原「中隊長殿が居(オ)りましたね」

 関元「仏様だ。俺達を見守っててくれてるんだ」

 福原「幽霊がねえ。・・・有り難い事なのかなあ」

 関元「うん? うん。おい、急げ! 早く詰めろ」

 福原「はい」

 関元「そこの『救急箱』も忘れるなよ」

 大宮「あ、はい」 


箱の上には懐中電灯・小刀(ナイフ)と米軍の鉄帽(ヘルメット)が置いてある。

関元がそれを見て、


 関元「そこの懐中電灯と小刀、鉄帽も持って行け」

 河野「はい」


関元と河野、大宮が米軍の鉄帽(ヘルメット)を被る。


 大宮「デカイですなあ」

 関元「良いから急げ! よし、戻るぞ」

 福原「ヨッシャッ!」


大宮は軍服の両ポケットに散らばったイワシの缶詰めを押し込む。


 関元がテントから顔を出し周囲を確認する。

早坂再生兵(俺)は椰子の木陰から関元に手招きをした。

関元はそれを見て早坂再生兵の姿に合掌する。


 関元「よし、今だ! 行くぞ」


関元達が「最後の力」を振り絞って走って行く。

関元と河野と大宮の三名の被った鉄帽が異常に大きい。

                         つづく

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