第19話 一矢報いる作戦
市村上等兵と野々宮一等兵が早坂中隊長と木原少尉に偵察状況を報告をしている。
早坂「そうか、分った。ご苦労さま。下がって良し」
野々宮・市村「はい」
市村と野々宮は敬礼をして下がって行く。
早坂「十九時三十か・・・」
木原「これだけの人数で、効果を出す事が出来るのでしょうか」
早坂が木原を見て怒鳴る。
早坂「バカ者! キサマが弱気じゃ兵隊にシメシがつかん。何としてでも敵に一泡吹かせてやるんだ。このまま此処に留まっても餓死するだけだぞ。 兵隊は戦って倒れてこそ意義が在るんだ」
木原「はい!」
関元が息を切らせてホラ穴営舎に戻って来る。
関元「ただ今戻りました!」
早坂「おお、市村達から聞いた。心配したぞ」
早坂は関元曹長をまじまじと見て、
早坂「・・・オマエは生きているんだろうな」
関元「はい。 佐々木准尉殿達に援護してもらいましたから」
早坂「佐々木? ・・・ああ、幽霊か」
関元「彼等が居なければ到底勝ち目は有りません」
早坂「まあ、俺達も遅かれ早かれ佐々木の様に成るんだ。それを思えばアイツ等が憑(ツ)いててくれるって事は、百倍の勇気が湧いて来る。なあ、木原」
木原「え?・・・まあ、そうで有ります」
早坂「よし。此処を十九時に出発する。それまで兵達にゆっくり休むように伝えておけ」
木原「はい!」
関元が敬礼をしてホラ穴営舎を出て行く。
雨に成った。
早坂中隊の残兵達(生存兵・十七名)が霧雨(キリサメ)の中で整列している。
早坂の訓示が始まる。
早坂「これより我が隊は飛行場に突撃をかける。 運良く、霧雨である。敵もこの霧雨では先が見えんだろう。勝負は五分(ゴブ)だ。この人数で工作車、戦車、戦闘機を必ず仕留めろ。 我等には幽霊兵(AI)が付いている。彼等が必ず成功に導いてくれる。追って川口支隊の残存兵三十が高地から突撃をかけて来る。良いか、『一矢報いる作戦』だ。 各兵は心して任務を完遂せよ!」
兵士達の気合の入った返事が。
全兵「はい!」
つづく
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