三 消えた友人
よく、心霊スポットからの帰りに霊のせいで事故ったとかいう話を聞いたりもするが、どうやらそのパターンは回避できたみたいである……。
それからの帰り道は何事もなく、無事、山道を下って市街地に出ると、目についたコンビニで一休みした。
これも、「心霊スポット行った後は何か腹に入れた方がいい」というゴシップに影響されてのことだ……なんだかんだ言って、B以外の俺達三人はけっこうビビっていたりする。
ともかくも、各々に飲み物とパンを買ったりして、俺達は駐車場の端で軽食をとろうとする。
「……あれ? Bは?」
だが、ふと気づくとなぜかBの姿が見えない。
「おかしいな。コンビニ着くまではいたように思うんだけど……」
特に意識して見ていたわけじゃないんだが、確かにコンビニへ入る時は四人いたように思う……先にコンビニを出たのか?
「閉じ込めたの怒って、一人で帰っちまったのかな?」
みんなで辺りをキョロキョロと見回した後、Aがそんな推測をする。
「そうか。あの後から現れたのも、ずっと惚けてたけど、やっぱり仕返しに俺達を怖がらせようと騙したんだな」
その言葉にCも神社での奇妙な現象にそうした解釈を与える。
まあ、そう考えるのが一番現実的ではあるか……。
「ったくなんだよ、ジョークの通じねえやつだな。自分だってあんなにチョげてたくせしてよう」
俺もその意見に同調し、身勝手なBに文句をつけると、そういうことにして俺達は解散した──。
だが、次の日のことだ……学校へ行くと、なぜかBは来ていなかった。
「なんだ、あいつだけサボりかよ」
「サボるんだったら俺達も誘っつーの」
「もしかして、まだ昨日のこと怒ってんのか?」
この時は、そんな軽口を三人とも叩いて、いつものことだと思っていたのだが……。
「今、お母さんから電話があったんだが、Bが昨日の夜から帰っていないらしい。おまえら、なんか知らないか?」
授業中、急に呼び出された俺達は、廊下で担任からそんな連絡を受けた。
「え? Bが? いや、昨日の夜は途中までBと一緒にいたんですが……」
俺達は昨夜のことをなるべく正直に話した。といっても心霊スポットに行ったことはなんとなくマズそうだったので誤魔化してだ。
「そうか……バイクも家にないらしいし、どこに行っちまったんだろうな……もし何か思い出したらまた教えてくれ」
俺達から話を聞き終わると、神妙な面持ちをした担任はそう言い残して去ってゆく……どうやらマジに行方不明の可能性があるっぽい。
「昨日の夜からってことは、あいつ、あの後、家に帰らなかったのかな?」
「でも、一人でどこ行ったんだ? なんか心当たりあるか?」
「さあ……バイクもないとなるとツーリングか
? でも、真夜中に一人でってのはおかしいだろ」
担任がいなくなってから、俺達も次第に不安を感じ始めながらあれこれと話し合う。
いや、さすがに行方不明なんてことはないと思うんだが、昨日、あの廃神社でちょっと変なことがあったし、そこはかとなく胸騒ぎがする……。
しかし、特に当てはないし、俺達がどうこう言っていてもなんの解決にもならない。
まあ、きっとやつの気まぐれでフラフラしてるだけだろう。その内、けろっとした顔で帰ってくるに違いない…という結論に至った俺達は、それ以上、Bの心配をすることをやめた──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます