第13話 嵌めたな、お前?
生徒会副会長と一体一の会話なわけだけど、正直なんで俺に目をつけたかを説明してもらったとて納得は出来ないと思う。俺は良くも悪くも
「目を付けた理由は、あなたが優秀かつ動かしやすいからです。一緒にいる怜さんでしたっけ、あなたはその怜さんに着いて行って自分で考えて行動をほとんどしない、そうでしょう?」
「だからどうした? 怜が既に生徒会に入ってるとでも言いたいのか?」
「私達もそこまで仕事が早い訳ではありませんよ。ただ……あなたが入れば怜さんも一緒に入るのは間違いないでしょう?」
まぁそれはそうだな、俺が怜について行くように怜だって俺について来る。俺が怜、どちらかを生徒会に入れられれば一気に二人を獲得することができるんだ、俺たちに目をつけてるのは間違いでは無いのかもしれない。
「だから興味無い、終業式もあるんだから早く話を終わらせてくれ」
「そう急がないでくださいよ、悪いようにはしませんから」
「生徒会に入るって時点で俺には悪い話だが? 俺を入れたいなら怜も一緒に呼ぶことだな。怜と一緒なら多分入るさ」
はぁ……なんで一学期最後の日にこんな話をしなきゃいけないのだか。
「居ますよ?」
「え?」
「だから、怜さんは既に生徒会のメンバーですし、あなたを勧誘しようと言ったのも怜さんです」
今まで生徒会に入ってるなんて聞いたこと無かったんだけどなぁ……。たまに一緒に帰れない日があったけど、それって生徒会の仕事があったからなのかよ。
「今まで言ってなくてごめんね、でもさっき朝日は言ったからね? 私が居れば生徒会に入るって 」
どこから出てきたんだよ……ってそんなことはどうでもいい。
「嵌めたな、お前?」
「てへっ?」
「てへっ? じゃねぇよ……」
呼ばれた時から俺は生徒会に入れられることが決まってたようなものじゃん。俺も怜と一緒に仕事させてくれるのなら何も文句は無いけど……また詩乃との時間が減ってくな、これ。
︎︎お泊まりで怜が姉さん達に色々されてる間は詩乃と一緒に居らればいいか、まぁ怜の後に絶対詩乃も着せ替え人形にされると思うけど。
「いやぁ、普通に誘うだけじゃ断られそうだったし? ちょっと工夫して誘おうと思って」
「俺が怜からの誘いを断ったことが今まであったか?」
「……ないね?」
そのまま俺は生徒会入りすることが決まって、ここにいるメンバーを見ていると俺を含めてたったの四人しか居なかった。なるほど、ホームルームに出席せず勧誘を行ってたのはこれが理由か。
「会長は居ないのか?」
「会長は今病院っすからねぇ。まぁ僕らの知らないところで居なくなるってことはないですよ、あの先輩ですから」
「まぁいいや、とりあえず終業式あるから俺もう戻っていい? 怜が居るなら入るし、詳しい話はまた後で頼む」
俺が教室に戻ろうとすると、当たり前かのように怜も着いてきたがいつも通りか。というかホームルーム出てないけど、生徒会の話をしてたから出席判定なるのかな。
§
終業式が終わればあとは自由みたいなものである。夏休み中の課題などの説明を聞いたらあとは自由時間だ、友達同士で話したりする人が多い。
「結局生徒会に入ることになったんだね? 私も結構お手伝いとかしてるんだよ、大変そうだし」
「まぁそうだよな、副会長が一年で会計が二年、書記が怜。俺が何になるかは知らないが、どっちにしろ会長が居ないんだから大変なのには変わりないか」
特に副会長の負担は大きすぎるはずだ、まだこの高校に入って間もない一年生が学校の代表を担わないといけないんだから。
「ちなみになんだけど副会長の子、私の幼馴染」
「なぁ、もしかしてなんだけど怜だけじゃなくて詩乃も俺のこと嵌めたな?」
怜に加えて詩乃まで関わってたのなら俺が生徒会に入るのは確定事項だったじゃん。まぁ怜がいるなら生徒会に入るのは嫌じゃないし、生徒会が今の状態だとやばいのは目に見えている。
「軽音部の方は助っ人みたいな感じでほとんど行ってないし、私も実質生徒会役員みたいなものだよ。まぁいいじゃん、私も怜ちゃんも居るんだから」
「そりゃあそうだな。それで、副会長の名前は何? 俺は他の先輩とは関わらないつもりだから」
「先輩と関わらないのは無理じゃないかな……? 私の幼馴染の名前は奏、
これからお世話になることだし、後で挨拶でもしておこうかな。あと謝っておかないと、向こうからしたら俺が変に全国模試を受けたせいで栄光ある一位を逃したんだから。
︎︎しかもその準備発表の時、俺は喜ぶことも無く、興味無さそうに見ていたんだから普通に怒られてもおかしくないな……。
「というか幼馴染がいるんだったら一番最初に夏休みに遊ぶのが俺と一緒でいいのか?」
「夏休みは長いんだから後に何回でも遊べるよ。でも……朝日は今じゃないと遊べないかもしれないじゃん……」
「俺と何? 聞こえなかったからもう一度言ってくれ」
詩乃ってたまにむっちゃ小さい声で喋る時があるんだよね。詩乃は毎回誤魔化してるけど、俺からしたらなんて言ったか気になるばかりだ。
「これからも一緒に朝日と遊べるかわからないから怖いの……!」
詩乃がそんなことを思ってるとは……でも、何も心配ないな。
「俺はいつだって怜か詩乃しか遊ぶ相手がいないんだ、そんなこと気にする必要ないさ。泊まりに来る時に姉さん達に聞いてみるといい、俺がどんな人間なのかを」
母さんのところで過ごすようになったのは俺が五歳の頃で、俺が生まれた頃には既に両親は離婚して姉さん達は母さんのところで、俺は父さんのところで過ごしていた。まぁそれで俺が自分の意思で動き始めたのが五歳の頃で父親のカスっぷりを見て母さんのところに俺の意思で行ったのだ。
怜と出会ったのがその時ぐらいか。それにその時は母さんも仕事で忙しかったから怜の家の方にお世話になってたことも多い。姉さん達と俺と怜で遊ぶことはしょっちゅうあった。
「俺がまだ詩乃に言ってないことも教えて貰えると思うが、今まで通りに過ごしてくれ。これは俺からのお願いだ」
同情なんかはいらない、俺は今まで通り友達として過ごしてくれれば満足だ。
「分かった、でも……朝日は強がり過ぎだよ。もっと、素直になっていいんだよ?」
「善処するさ」
俺はこのまま詩乃と二人で帰ったのだが、帰ったあと怜が家まで来てめっちゃ甘やかすまで帰ってくれなかった。
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