第11話 そんな風に思ってくれてたんだ

質問コーナーを初めはしたが怜とかカノン先輩とか色んな人が見てるし失言には気をつけないといけないな。


『好きなタイプ』

レオ・トワイライト『↓』

『レイちゃんの事どう思ってるか』

『好きな曲』


「レイのことをどう思ってるかぁ……? 小さい頃からずっと過ごしてきて、俺はレイ以外の知り合いがほとんど居ないんだよね、三人くらい。だから俺が生きていく上で必要だと思ってる」


俺が行くところには怜が居て、怜が行くところには俺が居る。二人でずっと一緒にいて、姉さん達に面倒を見てもらってた記憶もある。

 ︎︎まぁその時はよく俺まで着せ替え人形にされて写真を撮られたりもしたけど、それでいいんだ、楽しく過ごせればそれで。


『さすが幼馴染』

『唯一友達の数だけレオに勝てるわ』

『本当に仲のいい友達しか居ないでしょ、これ』

レイ・ターフェアイト『そんな風に思ってくれてたんだ』


後ろを向けばニマニマしながら怜が座っている。まぁ俺だっていつも後ろで配信を見てたし、見てる分には文句言わないけどニマニマはしてないだろ。

 ︎︎質問コーナーが始まった時からまずいとは思ってたけど初っ端からだとは思わないじゃん。


「逆にレイは俺の事をどう思ってるんだ? 幼馴染だからといって理由も無しに俺とずっと一緒に居ないだろ?」


『視聴者のせいでレイちゃんにジャブ入ってるじゃん』

『……気になるっちゃ気になるよね』

レイ・ターフェアイト『言わなきゃ……ダメ?』

『ダメ』

『ダメ』


コメント欄では完全に言う流れだが、レイは別にコメント欄で言う必要は無いし配信が終わったあとにでも言えばいいだろう。まぁ逃がしはしない、怜は俺から聞いたんだから俺も怜から聞かないと。


マイクをミュートにして耳を貸してと言われたので言う通りにする。


「何?」


「……私にとって一番大切な人だよ、だから居なくならないでね。みんなには言っちゃダメだよ? もちろん詩乃ちゃんにも」


「俺の事そんな風に思ってくれてたんだ?」


「うるさい……!」


恥ずかしくなったのか怜はソファーに顔をうずめているがとりあえずマイクをオンにして、LIMEライムで聞いたってことにして報告をしよう。


「レイがLIMEで教えてくれたんだけど、非常に可愛い答えだったよ。まぁレイがダメって言うから視聴者のみんなには教えられないかな」


『むっちゃ気になる』

『自分たちで想像するのがいいんだよこういうのは』

『ワイはレオと同じく大切な人だと言ったと予想する』


「それじゃあ次だな、ほらみんなー適当に質問を打ち込んで」


そういってしばらく経った後に適当にEnterキーを押してみる。


レオ・トワイライト『↓』

『好きな曲』


あ、普段なら普通によくある質問だけど詩乃が見てる中なら話は変わってくるんだよな。


「シンガーソングライターのShinoっているじゃん? 普段からShinoの曲しか聞かないんだけど、Shinoの曲だったら全部好きだな。特に好きなのだったら【残り僅かの恋の行方】かな」


『俺も聞いたことあるわ、ガチでいいよな』

『そうそう、本当に片思いしてるみたいでリアルなんだよね』

Shino『毎回心削って作ってるから当然でしょ?』

『もう誰でも来るなこの配信』

『レオの友好関係どうなってんだよ』


俺からしたら怜と詩乃が来ることは不思議じゃないけど、視聴者からしたら結構やばいことだよな。レイにカノン先輩に御堂先輩、そしてShinoまで一つ配信来てるんだから。俺だってカノン先輩とか御堂先輩が来るとは思ってなかったし。


「なぁShino、この前俺にバカって言ってどこか行ったけどどういうこと?」


御堂先生『喧嘩ですかな?』

Shino『それを自分で考えろばーか』

結月カノン『け、喧嘩はダメだよ!』

レイ・ターフェアイト『何も知らないけど多分レオが悪いね』

『コメント欄凄いことなってるw』

『どんな時でもまともで可愛いカノンくん』


「まぁいいや、後で個人的に話でもしよう。それじゃあ次の質問いくぞ」



§



その後、色々な質問に答えた俺は配信を終えた。真昼姉とかも見てると考えたら普通に怖かったけどまぁ、自画自賛にはなるが初めてにしては上手くできたと思う。


「いやー疲れたけど楽しかったなぁ。もうすぐ夏休みだしちゃんと休みたい」


「配信しなきゃダメだよ。まぁでもお泊まり会はゆっくり休めるかもね、詩乃ちゃんも来るし、楽しみだね」


「男子の友達がいないから俺、いつも一人なんだよな。怖いもん、姉さん達と怜が俺に秘密で何の話してるのかが」


もちろん男子の俺がその女子会みたいなやつに混ざる訳にもいかないし、部屋で本を読んだりしてたんだけど普通に考えて気にならないわけないよね。


「別に、何も変なこと話してないよ。主に朝日のことではあるけど、学校での朝日を真夜さん達に伝えてるだけ」


「まぁそれならいいけどさ……。それより学期末考査大丈夫なのか?」


「何年学校に行きながらVTuberてると思ってるの? いつも通りの順位は取れるよ!」


まぁ今までの順位が取れるっていう確証がなきゃ高校生でVTuberなんてやらないか。俺が以前の順位を取れるかについてだが、そもそも俺は全国模試を受ける気はもうないので関係ない。

 ︎︎まぁ学校では目立ちたくないから一位は取らないようにしてる。


「朝日はなんで手を抜くの?」


「俺は目立ちたくないんだよ、いや怜とか詩乃と一緒にいる時点で目立ってるか。まぁそれはいいとして、俺は天才って呼ばれたいわけじゃないんだ」


「そっか……朝日は私に認めてもらえればそれで良かったんだよね」


怜の言う通り、俺は大切な人に認めてもらえれば知らない周りの人の評価なんてどうでもよかった。


「あぁ、俺はそれで良かった。これからも幼馴染として、親友として、よろしくな」


「うん、こちらこそよろしく!」


二人は扉の隙間から覗いている稲荷に気づくことは無かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る