第10話 なんか先輩多くない?
詩乃に急にバカって言われたけど、とりあえず気にせずそのまま過ごして俺は事務所にやってきていた。
自分の名前が書いてある部屋の中に入って、怜から教わった通りにパソコンを起動したあとに配信開始の告知を行った。
「ねぇ怜、いつの間にかチャンネル登録者が前の時の二倍にまで膨れ上がってるんだけど」
「それだけの人が前の配信を見て朝日に興味を持ってくれたってことだよ。それじゃあ私は隣で見ておくから分からないことなあったらマイクをミュートして聞いてね」
「分かった」
配信開始ボタンを押して、俺の初配信? は始まった。
『よっし来た』
『案外デビューまで早かったな』
「この前のレイの配信で知ってる人もいると思うけど、俺の名前はレオ・トワイライトだ。それで俺の紹介は画面に写してる感じのやつ」
俺は怜から作っておけて言われていた自己紹介の表みたいなのをパソコンの画面に写す。正直書いてることに面白いところは何も無い、ただの自己紹介カードって感じだ。
「まずは好きな食べ物なんだけど……早速コメント欄が荒れてるな、おい」
『羨ましいんだわ』
『こちとら、コンビニ弁当ぞ?』
『まぁ怜ちゃんが作ってる姿は想像出来る』
『俺にもレイちゃんの弁当ください』
レイ・ターフェアイト『それじゃあまた作ってくるねー』
俺が好きな食べ物の欄に書いているのは『レイが作ってくれた弁当』、正直嫌いな食べ物は無いしなんでも好きなんだけど、特に怜が作ってくれた弁当はダントツに美味かった。長年一緒に過ごしてきて味の濃さとかの好みを完全に把握されちゃってるな。
『レイちゃんもいます』
『来るとは思ってた』
結月カノン『僕も食べてみたい』
『カノンも居ます』
「俺まだこの事務所にどんな人が所属してるか分からないから視聴者のみんなに聞きたいんだけどさ、カノン先輩ってどんな人?」
『男の娘で癒し枠、よく他の女子タレントに可愛がられてる』
じゃあひとまず先輩たちを覚えるために先輩の説明をしてくれているコメントは固定しておこう。にしても、この事務所に所属してる全員を覚えるとなると大変だな……多分今の順位を維持しながらっていうのは無理だ、まぁ順位なんて捨ててもいいんだけど。
朝日の全国模試順位は一位、但し朝日は一位になろうとしてなった訳ではなくただ真夜達に感化されて試験を受けたら一位だったということ。朝日からしたら一位を取れなくても関係なく、そもそも受ける必要すらないのだ。
「カノン先輩、それじゃあ今度またレイに頼んでおきますね。まぁレイもこの配信見てると思うので後で尋ねてみたらどうです?」
結月カノン『うん、そうする!』
『早速仲良くなってやがる』
『まぁカノンは誰とでも友達になれるでしょ』
レイ・ターフェアイト『また学校がない日に作ってあげるよ』
怜が俺の配信を見に来るのは当たり前として、先輩たちも結構人の配信って見るもんなんだな。
「それじゃあ次は好きな事と嫌いな事なんだけど、好きなことはほとんどないんだよね。ゲームはしないし、スポーツもしない、強いて言うなら友達と話す事とかな? まぁゲームは配信ですることになると思う」
『好きじゃないけどできるタイプだろ絶対』
『初めてやるゲームとかも普通にこなしそう』
どうなんだろ、コメント欄を見る限り俺がなんでも出来る万能型だと思われてるけど、俺はスポーツとかゲームをする機会があんまりなかったしほんとに経験は無いのでできるかは才能次第である。
「嫌いなことは明確にあるよ。レイとかレイの友達、俺の周りにいる人が傷つくことかな? 俺自身が傷つくことは別に構わないんだけどね」
レイ・ターフェアイト『私はレオの体が心配なんだけど』
御堂先生『他人を守ろうとするその心は認めるが自分の体も大切にした方がいい。君がいなくなった時に傷つくのは誰だ? レイくんだろう?』
『この配信、色んな人おって草』
『ちなみに御堂先生はまとも枠、本当に先生をしてた経験があっていい事をめっちゃ言う』
なんでか知らないけどコメント欄に公式マークが付いてる人がいっぱい居る……。
「なんか先輩多くない? レイにカノン先輩に御堂先輩でしょ? 俺なんかの配信を見てくれてありがとうこざいます」
『なんかじゃないぞレオよ』
『レオは快挙を成し遂げたんだからみんな興味を持ってるんだって』
「快挙って何?」
『初配信から四年、レイちゃんは誰ともコラボせず一人で配信を続けてたんだよ。つまりレイちゃんの初コラボ相手っていう快挙だ』
『これを機に色んな人とコラボして欲しいな』
なんで初期から居て後輩の誰ともコラボしてこなかったのかは分からないが、まぁそれが怜の選択なんだったら俺は何も言わないけどさ。
「もう自己紹介は終わりだけど、他に何か聞きたいこととかある? あるんだったらコメント欄に書いて、俺が適当なタイミングで矢印書くからその下の人の質問を採用ってことで」
『了解』
『どんな質問でもOK?』
『やばい質問するやつも居るんだろうな』
「プライベートに関わるやつじゃなかったらなるべく答えるつもりではいる。あ、他の人に迷惑がかかる質問だったのならブロックするから」
そして色んな先輩や怜とかが見ている中での質問コーナーが始まった。
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