第3話 余計なことは言わなくていいの!
俺の家まで怜と一緒に帰って二人で出かけてくると言ったあと、事務所に向かった。まぁ怜の配信がある事にあってるし、他の人達とも普通に話せるのだが問題はそこの社長である凍夜さんだ。
「二人ともよく来てくれたね、それで朝日くんにはこれを……」
「さすがに来る度に一万は……」
「少なかったかね?」
「何回多いって言えばわかるんだおっさん、普通に要らないっての」
凍夜さんは来る度にお小遣いと言いながらお金を渡してくるのだが一回に渡してくる量が多すぎるんだよ。俺はただ怜に着いてきてるだけだし要らない、せめて渡すなら所属してる怜でしょ、なんで俺に渡すんだよ。
「それじゃあいつもの部屋に入ってもらって準備したまえ。朝日くんのアバターは既に入れてあるから、頑張るんだぞ」
レイ・ターフェアイトと書かれた一つの部屋の中に入ったあと、怜が手馴れた手つきで配信の準備をしていく。
「そういや、俺ってアバターはあるけど名前とかもあるのか?」
「うーん、パソコンの中にも名前っぽいものは見当たらないし朝日が好きに決めればいいんじゃないかな?」
名前……いざ自分で考えるとなってもいいのが思いつかないな。自分で自分に名前をつけることなんて無いわけだし、名前は人につけてもらった方がいい気がする。
「俺じゃあいい名前を思いつかないし、怜が決めてよ。俺は怜がつけてくれた名前でやる」
「私ぃ? 設定は私の幼馴染だし、出身は異世界ってことになるから苗字はカタカナになるんだよね。それじゃあ……レオ・トワイライトでいい?」
レオって怜が好きなアニメの主人公の名前じゃん。トワイライトは語感が良かったから選んだんだろうね、まぁ仮初の名前だしなんでもいいけどさ。
「俺の名前はそれでいいよ、それじゃあ俺は配信がスタートするまで座って待ってるよ」
§
しばらくして怜がパソコンを弄り始めたのでもうそろそろ配信が始まるのだろう。
「はろー、今日も元気にやってこー! それで告知してた通り今日はゲストがいるよ!」
『誰だろ』
『同じ事務所の人かな?』
『いやぁ、レイちゃんは最古参なのに今まで誰ともコラボしたことないからマジでわからん』
手招きできていいよと合図されたので俺は怜の隣に移動する。
「あー、どうもレイの幼馴染のレオ・トワイライトです。今日はレイに誘われて来たんだけど、俺自身はまだ配信者じゃないからそこのところはよろしく」
『知らんやつ来た……』
『幼馴染が来るとは言ってたが新キャラだとは思わんて』
『まだって事はいつかはデビューするってことか』
パソコンの右側に流れているコメントを見る限り俺がレイの配信に出てることに反対しているような意見はなさそうだ。にしても不思議だなぁ、自分が動いた通りにこのアバターも動いてるし。
「視聴者のみんなから募った質問に答えていくコーナーだけど、変なやつとかリアルに踏み込んでくるやつは無視するね。えっとまず、レオくんとはいつから知り合ってますかだって」
『確かに気になる』
『幼馴染って人によっていつからか変わるよな』
『ワイも幼馴染欲しかった……』
『涙拭けよ……』
「確か小一の頃だった気がするぞ。それで小六の時に俺が中学受験するって言った時に泣きながら引き止めてきたのは懐かしいな」
俺自身先生に進められただけなので、別に行かなくても良かった。まぁそれでも良い学校に行くことに越したことはないから行こうと思ってたけど怜が同じところに行けないからって泣きながら『行かないで……』って俺を引き止めたから今も同じも高校に通ってるんだけど。
『あらあら、レイちゃんも可愛いところあるんすね』
『レオくんのこと大好きじゃん』
「余計なことは言わなくていいの! レオは友達が少ないし一人だと寂しいかなぁって思っただけだし……」
「俺は一人でもいいって言ったけどな。それで、最終的に折れたレイは何て言ったんだっけ?」
「レオ嫌い……」
最近罵倒されることが多いな本当。ちなみに最終的に怜は素直になって『私と一緒にいてほしい』と気持ちを言ってくれたのだがそれを言ったらさすがにポコポコ殴られそう。
『可愛い』
『やっぱ幼馴染って強いわ。俺たちの知らないレイちゃんを見せてくれるのほんとに助かる』
「もういい、次の質問! レオくんの特技はなんですか? だって。レオっていっぱい特技あるよね」
「まぁ一つ挙げるなら、メイクかな。姉が三人いるんだけどさ、その三人のメイクを俺がしてるんだよね」
ほんと、男一人で買いに行かないといけない俺の気持ちも考えて欲しい。まだ服を買いに行かせるならいいんだけどファンデーションを買いに行く時とかパーカーとかで顔を隠してじゃないと行きたくない。
︎︎それでも余ったお金が貰えるから毎回頼まれたら行くんだけどね。
『メイクできるとか絶対モテるだろ』
『今女性視聴者からの好感度上がったな』
『俺も初めて見たらモテるようになるかな?』
『上手く出来たらモテそうだな、まぁ俺は出来ないが』
メイクに関してはやってけば慣れてくし、ある一定のラインを超えたらメイクなんて好みだからなぁ……。まぁメイクができる=モテるでは無いだろうし、ただ出来て損は無いってだけだ。
「それじゃあ次!」
二人の配信はまだまだ続く。
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