第6話
ここは地獄だろうか?
仄暗い。
うすら寒い。
けれど、深い大きな穴の底、遠くにごうごうと燃え盛る炎。
でん六のキャラクターに、角張った帽子を被った偉い人が、細木数子みたいな説教をしてでかいハンコを捺している。
その長い列の最後尾。
まあ、生き地獄よりはマシか。
ところで僕は死んだみたいけど、読者は続きが気になるだろう。
心配ないさ。
もう、彼女たち、生まれたんだ。
余計なネガティヴィティーを力合わせて葬ったふたり。
これから生き生きと動き出すだろう。
文学は人間だ。
人間、生まれた時から決まってんだ。
そら少しの浮き沈みはあるだろう。
けれども、沈まない様に海で溺れかける時見上げる、空を飛ぶ鳥にはなれない。
だから彼女たち。
このちゃん、水ちゃん。
僕の穢れ切った、腐りかけの脳ミソから出てきたふたり。
最後にのこった真白の結晶。
清く、正しく、美しく。
楽しく幸せな物語。
それは、これから始まるんだ。
あ、僕の番。
閻魔様、「おまえはいつも独り善がりで云々」
お風呂の中みたいに遠くに響いてわからないや。
そろそろお別れの時間だ。
せいぜい、生き延びてくれ。
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