夢の中で

櫻崎

プロローグ

 深夜2時。年が明けて間もない日、寝る前に彼女のSNSでストーリーが上がった。

 真っ暗な背景で長文で、小さな文字でびっしりと書き連ねていた。

 側から見たら病みストーリーだとしか思えない。でもよく見るとそれはなんだか遺書のようなものだった。

 僕はそれをベッドの上でうつらうつらと眺めた。スマホの照明が僕の顔をぼんやりと照らす。


『私は今から死ぬと思います。別に死にたいわけではないし、自殺とかじゃ無いんだけど多分死ぬ。無理だと思う。私がこんな事言う理由は明日きっとわかると思います。親にはLINEをしましたが、残された時間をもってみんなに伝えたいことを言っておきたいと思います。バイト先のみんな。最後まで迷惑しかかけてこなくて本当にごめんなさい。こんな私に接してくれてありがとう。おかげでめちゃくちゃ楽し方大好きなバ先でした。数少ない友達、本当は一人一人言いたい事たくさんあるんだけど、多分無理だからまとめて言う。温泉旅行行けなくてごめん。免許とれたのに連れてけなくてごめん。今までありがとう。本当に大好きだよ。このストーリーが上がるかもわからないけど、もし万が一私が生きていたらよかったね、人騒がせなやつだなって笑ってやってください』


 なんだ、僕のこと書いてねえじゃん。

 次もし会えたら何あれってきいてみよ。

 と、その時の僕はスワイプして適当にSNSを閉じた。


 次の日、彼女のバイト先が火事になっていた事を知った。

 その場所に彼女がいた事も。




 

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