Another ⑰

 心の底からさも可笑しげに哄笑するリンダに、道行は寒気を覚えた。

 背中を掴む瑞穂の力が強まり、恋人が激しく怯えているのが伝わってくる。


(……どうした、林田?)


 なんで、そんな風に笑ってやがる?

 なにが、そんなに可笑しい?

 林田、いったいどうしたってんだ?


 胸の内で問い掛ける道行の前で、


「ごめーん、ちょっと雰囲気出し過ぎちゃった」


 リンダは唐突にペロッと小さな舌を出して、コケティッシュな笑顔をに向けた。


「このバカ女。もう少し盛り上げてからバラせよ。このダイコン女優。脚本シナリオを無視しやがって」


 空高がウンザリした様子で、リンダに……本物のリンダに吐き捨てた。

 その瞬間、道行の中で膨らんでいた違和感が、ハッキリとした警戒心となってリンダと、そして空高に向けられた。


「……おまえら、いったい何者だ?」


 道行が瑞穂をかばって、今度は空高と本物のリンダに向き直った。

 今の今まで一緒に戦ってきた、パーティの仲間だった、本当の友だちだったふたりに。


「仕方ない。ここでアタフタ言い訳しても興醒めするだけだからな」


「そうそう、“ごっこ遊びロールプレイ” っていうのは、高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に楽しまないとね」


 ふたりの端正な顔に邪悪な笑みが浮かんだ。

 身に付けている板金鎧プレートメイル革鎧レザーアーマーが次々に剥がれてセパレートしていき、申し訳程度の葉っぱの衣や貝殻の下着に隠れた、均整のとれた完璧な裸身が露わになる。

 空高の髪はくすんだブロンドに変わり横から尖った耳が、リンダの背中からは大きな蝙蝠の翼が現われた。


 “淫魔インキュバス” ! “夢魔サッキュバス” !


 “認知アイデンティファイ” の加護の効果で、即座にその正体を見極めることができる瑞穂が叫んだ。

 “淫魔” に “夢魔” ――どちらも人の夢に忍び込んで、魅力的な容姿で夢の主を誘惑し精気を吸い取る魔物――魔族だ。

 だが、こんなことがあるのか。あっていいのか。

 あのふたりが、空高とリンダが魔物だったなんて。

 道行は掌に爪が食い込むほど拳を握りしめた。


「ま、最初の筋書き通りだったら、俺が君の彼氏になる予定だったんだけどね」


 “淫魔” ――それまで空高だった――が、瑞穂を見て肩を竦めた。

 深紅の瞳が妖しく光る。


「君は俺にベタ惚れして毎晩の様にベッドで愛し合って、そしてそれが永遠に続く予定だったんだよ。身も心も俺のの虜になるはずだったのさ――現実の君が干涸らびた婆さんになるまでね」


 双子の弟だった魔物の下卑た言葉に瑞穂が怖気を震い、道行の怒りが燃え上がる。

 即座に “焔嵐ファイア・ストーム” の呪文を唱え、灰すら残さずに焼き尽くしてやりたい。

 だが、道行は自制した。

 怒りを無理やり殺し、理性で感情を、頭で心を抑制した。


「それなのに、瑞穂ってば俺なんか見向きもしないんだからな。プライド傷ついたよ」


「あははは、ダサすぎ。それでよく “淫魔” を名乗ってられるわね」


「そういうおまえだって、道行にもしなかったじゃないか。自慢の身体とやらも墜ちたもんだな」


「ふん! そいつは普通の男じゃない。“聖女” さまが夢の中まで連れ込んできた “守護者ガーディアン” だ。あたしの魅力とは関係ないね!」


“守護者”?


 聞き慣れぬ言葉に、瑞穂が訊ね返す。


「そうさ。おまえの大好きなその道行くんは、現実には存在しない。全部おまえの淫靡な妄想の産物さ。まったく “昨夜はお楽しみでしたね” だよ」


 怯え否定する瑞穂に代わって、


「そう。そういうこと……つまり、それが “理由” なのね」


 本物のリンダが……いやもう誰が本物で、誰が偽物だかわけがわからなかった。


「ご明察。さすが “伝説の聖女" さまは違うわよねぇ。夢の中までナイトロード様に守られていて、あたしらでも手出しができないんだから。だから筋書きをちょちょいと変えたのさ。あたしらにしてみれば、“聖女”さまが目覚めなけばそれで目的は達せられるからね」


「ど、どういう意味ニャ……?」


「つまり、その娘――あんたの大好きなエバ・ライスライトが目覚めない理由ってのが、そこにいる男だってことよ」


「――そんニャ!?」


 今や唯一人のリンダとなった少女と子猫の子供の会話に、道行は混乱した。

 何度も冷静になるよう自身に命じ、今のこの状況に整合性を持たせようと必死に分析して、筋道の通った答えを求めた。

 幼い頃からの悪癖が、彼を恐慌状態に陥るのを防いでいた。


「そういうこと。あたしらはちょっと “聖女” さまの記憶を弄って舞台を――心の牢獄を造ってやっただけさ。薔薇色の牢獄をね」


「……なぜ、あたしが隼人を好きだったことを知ってたの?」


「ははっ、あたしは “夢魔” だよ。夜が来るたび、人間が眠りに就くたび、どんな夢にも入り込めるのさ」


「……」


「くくくっ、そうさ。わたしはおまえの夢でおまえの想いを知ったのさ。おまえが毎晩見ているあの夢でね。おまえの夢、美味しかったよ。『助けてー、隼人! 助けてー!』 おまえも “昨夜はお楽しみでしたね” の口だね、しかも相当エゲツナイ」


 ……ギチッ!


 リンダの奥歯が鳴り、その手が腰の短剣ショートソードに伸びたとき、ふたりの魔族が盗賊風の少女を制した。


「――おっと、本物さん。そんな物騒な物抜くなよ。こっちに戦う気はないんだから。俺たちは別に切った張ったがしたいわけじゃない。あとはあんたらで勝手にするといいさ」


「あんた達にしても、別にあたしらをどうこうしたところで、ここから出られるわけじゃないんだし。戦ったところでお互いに痛い思いをして損するだけよ」


 “淫魔” と “夢魔” の姿が徐々に薄くなり、透きとおっていく。


「“聖女” さま。目覚めるも目覚めないもあんたの自由。でもあんたが目覚めなければ、そこのふたりも目覚めない。特にその猫人フェルミスの娘は、大好きなマンマにも永遠に会えなくなる。可哀想だねぇ、ほんとに」


「!? マ、マンマ!」


「それじゃ、瑞穂、道行。今回の冒険アトラクション、楽しんでもらえたかな。俺たちも楽しかったよ」


 そして完全に消え去る……ふたりの……二匹の魔物。


「――あ、最後にひとつ。もう分かってると思うけど、道行。あんたは瑞穂が目覚めたら消えちゃうから。あんたは夢の中の “聖女” さまを守るためだけの存在だってこと忘れちゃ駄目よ。それじゃ今度こそ本当に、じゃあねー」


「「「「……」」」」


 言葉を失う残された四人。

 呆然と頭の中で今の “淫魔” と “夢魔” の言葉を反芻し……。

 その意味するところを考え……。

 そんな中で道行は、瑞穂と猫人族の幼女が視線を合わせていることに気づいた。

 子猫人つぶらな瞳は不安に揺れていて、今にも涙が零れ落ちそうだった。

 瑞穂が目覚めなければ、この子は母親とは会えない。

 でも瑞穂が目覚めると言うことは、瑞穂と自分は……。

 瑞穂は後ずさり、道行を見てふるふると顔を振った。


「……瑞穂」


 道行が心配した表情で、瑞穂に手を伸ばす。

 伸ばすしか、伸ばすしかなかった。

 今触れなければ、今掴まえておかなければ、自分の一番大切な存在が消えてしまうような、もう二度と会えなくなるような、そんな激しい不安に襲われたのだ。

 しかし、瑞穂はそんな道行の手から逃れ、さらに後ずさった。


「無理よ……無理です……そんなの無理です……そんなの比べられるわけ、選べるわけないじゃないですか……。

 どうでして――どうしてそんなこと言うんですかぁ! どうしてそんな意地悪するんですかぁ! そんなの選べるわけないじゃないですかぁ!

 無理です! 無理です! 無理です! いやーーーーっ! 絶対に、絶対にいやーーーーーっっっ!」


 不安と恐怖が決壊し、ついに瑞穂が爆発した。

 駄々っ子のように泣きじゃくり滂沱ぼうだする恋人に、道行は何もしてやれず、何の言葉も掛けてやれなかった。

 ただ悲痛な……悲しみに充ちた瞳で見つめるだけだった。

 そしてそんな瑞穂の姿に、もうひとりの少女も感情を爆発させる。


「くくくっ……あははは――あーーっはっはっは!!!!」


 それはいったいどんな思いの発露だったのか。

 リンダが――林田 鈴が文字どおり狂ったように、笑い、泣き出した。

 歓喜と絶望のない交ぜになった……狂乱。

 いったい何がこの少女をここまで変えてしまったのかと、道行は背筋が凍る思いだった。

 いたたまれない時間が永遠に続くかに思われた時……ふたりの少女の狂躁を鎮めたのは、さらに幼い少女だった。


「ええニャよ、エバ。エバが帰りたくにゃーなら、エバがここにいたいにゃら、ニャーもここにいていいニャよ」


 子猫の少女が精一杯の笑顔を浮かべて、泣きじゃくる瑞穂に手を触れ見上げていた。


 子猫の子供……猫人フェルミスというらしい種族の子供が……柔らかく温かい手を触れて、瑞穂を見上げていた。

 人間で言えば、せいぜい小学校に入学するかしないか程度の背丈。

 不安だろうに。

 怖いだろうに。

 こんな危ない所にきてしまって、邪悪な魔物を見て、その上母親ともう会えないといわれて。

 泣き出したいほど、恐ろしいだろうに。

 それなのにこの子供は、精一杯の笑顔で瑞穂を慰めてくれているのだ。

 道行はいたたまれなさと、それ以上の健気さに、胸が潰れそうだった。


「……肉球……柔らかいね……いい気持ち……」


 グスッ、と鼻をすすると、瑞穂は微笑えんだ。ギコチナイ……ギコチナイ笑顔だった。


「猫人は大きくなると人間と同じ手になるんにゃよ。でも小さい頃はまだ猫と同じにゃんよ。ニャーはまだ子供だから、猫の手にゃんよ」


 それは子供らしい恥じらいなのだろうか。

 柔らかく艶やかな体毛に覆われた顔がモジモジとはにかむ。


「あなたの名前は?」


「ノーラ・ノラにゃ。こっちのエバはノーラのこと忘れてしまったんニャね」


 ノーラ……の声に、寂しそうな気配が漂った。


「……ごめんなさい」


「ええんにゃよ。また仲良くなればいいだけにゃ。二回も友だちににゃれるにゃんて、考えようによってはお得にゃ」


「考えようによって……はなんて、あなたは随分おませちゃんなのね」


「ちっ、ちっ、ちっ、ニャーは女の子にゃから、より厳密には “おしゃま” にゃ。言葉は正しく使にゃーといけにゃいんにゃよ」


「ふふっ、そうね……本当にそうね」


「……ひとまず “迷宮街” に戻ろう。こんな所に子供を置いておくのは可哀想だ」


 道行が疲れた声で提案した。

 実際、彼自身もヘトヘトであり、この状況ではいくら頭を巡らせても打開策は浮かばないだろう……。

 現状では、道行がひねり出せる唯一の “悪巧み” だった。

 その道行を、ノーラが大きな瞳をパチパチさせて見つめた。


「アッシュ……?」


「……あ?」


「やっぱりアッシュにゃ! にゃ!」


「アッシュ……なんだって?」


「髪の毛の色が黒にゃし、匂いが全然しにゃいんでわからなかったにゃ!」


「……匂い?」


 ノーラの言葉に、道行がクンクンと自分のローブを嗅ぐ。


「……おまえは風邪でも引いてるんじゃねーか? 自分で言うのもなんだが、これまでの戦闘でだいぶ臭うぞ、俺」


 そしてなんとも表現のしづらい顔で、ノーラを見る道行。

 直接返り血を浴びなくても、血の臭いは衣服に……身体に染みつくのだ。


「NPCには匂いがないのよ。新宿から浦安に来るまでの間も、あんた達が “迷宮街” って呼んでる町でも、この子の鼻は反応しなかった。この世界で匂いがあるのは、あの魔族を除いたら、あんたとあたしとそしてこの子だけ」


 いつの間にか冷静さを取り戻していたリンダが、充血した目を道行に向けた。


「NPC……ノン・プレイヤー・キャラクター? ――違う! 道行くんはそんなんじゃない!」


 瑞穂がカッとなってリンダに詰め寄る。


「道行くんは人間です! わたしやあなたと同じ、現実に存在する灰原道行くんという人間です! 今の言葉、取り消して!」


「瑞穂、あんたに真実を教えてあげるわ。これを希望にするか、それとも絶望にするかはすべてあんた次第よ」


 リンダは激高した瑞穂に動じることなく冷めた……いや、どこか憐憫の籠もった瞳で言った。


。あんたのすぐ近くにね。年格好はかなり違うけど間違いなくそこにいる彼よ。名前はグレイ・アッシュロード」


「……グレイ……アッシュロード……」


 瑞穂が我知らずに呟く……。


「いま聞いたことのある名前だとは思わなかった? 当然よ。あんたの命を……心を救ってくれた人なんだからね」


「……」


「だからあんたは、この子猫を母親の元に返してあげた先で道行くんと再会することもできるわけ。一石二鳥。一挙両得。何の問題もなし――ただし」


「ただし? ただし、なんです!?」


「現実の世界の彼が、あんたを愛しているとは限らない。目覚めた先にいるのは灰原道行でなく、グレイ・アッシュロードなんだから」


「……そんな……」


「問題にもならない」


 その時、少年が静逸な声でいった。


「……道行くん……」


「現実だろうと夢の中だろうと、俺が瑞穂と出会って惚れてないわけがない」



「……少し、ふたりだけで話をさせてほしい」


 道行はリンダとノーラにそう告げると、憔悴する瑞穂の肩を抱いてリンダたちから離れていった。

 そして玄室の壁際に、ふたりして腰を下ろした。

 ふたりだけの、世界を作った。


「……こんなの……酷いよ……」


 道行に肩を抱かれながら、その胸に顔を埋めて瑞穂がグズる。

 これまでの探索と戦いで黒に近くなってしまったベージュのローブに、涙の染みが滲んだ。


「……そうだな……酷いな……」


 肩に回していた道行の手が伸びて、瑞穂の髪を優しく撫でた。


「……みんなで暮らそうよ…… “迷宮街” で……暮らそうよ……わたしがノーラちゃんの新しいお母さんになってあげるよ……」


「……そうだな……それがいいな……おまえならきっといいお母さんになる……」


「……うん……なるよ……必ずなるよ……だって……だって……」


 瑞穂は押し黙った。

 道行も押し黙った。


 ふたりともわかっていた。わかっているのだ。

 これは儀式だと。

 子供がどうにもならない事実に直面したとき、駄々を捏ねて、泣き喚いて、疲れ切ってからでないと受け入れられないように、ふたりもそうなのだ。

 道行も瑞穂も、いま精一杯駄々を捏ねているのだ。


 だが……その儀式も終わりに近づいていた。

 ふたりは泣き疲れ、くたびれ果て、事実を事実として受け入れる準備が整ってしまった。

 そしてそれを認める役目は瑞穂ではなかった。

 そういう役目は、いつも彼だった。


「……でも……」


 瑞穂の髪を優しく撫でながら、道行が玄室の反対側の壁際に座っているノーラを見た。


「……やっぱり、あの子を本当のお母さんのところに帰してやらないとな。それが今は何よりも大切で重要なことだ」


 道行は不思議と平静な気持ちだった。

 あの日の朝、目覚めたときから感じていた違和感の正体がやっとわかったからだ。

 道行はずっと、自分以外のすべてが、このアトラクションを含む世界のすべてが幻なのではないかと疑念を……恐怖を抱いていた。


 しかし違った。

 なんのことはない。

 幻だったのは自分の方だったのだ。

 自分こそが、瑞穂の心に浮かんでいる幻だったのだ。

 理解した。

 納得した。

 腑に落ちた。

 呆気ないほどストンときた。


 そして思った。

 瑞穂にノーラを見捨てさせたくない。

 愛する人に、そんな真似はさせたく――してほしくない。

 それは愛情ではないかもしれない。

 それはただのエゴなのかもしれない。

 だが道行は、愛する少女に美しくあってほしかった。

 ただ、美しくあってほしかった。


 そのとき道行は気づいた。

 なぜ貴理子があれほど自分にWデートに行くように、約束を守るように言ったのか。

 道行は、ようやく幼馴染みの少女の気持ちに気づいた。

 それから彼女の端正な顔を思い浮かべ、謝った。

 鈍感だった自分を。

 気づけなかった自分を。

 ずっと自分を想ってくれていた片桐貴理子に、心から詫びた。


 道行は欠けた人間だ。

 幼少期の歪んだ家庭環境が、道行を心で考えられない人間にしてしまった。

 彼は常に頭で考え、判断した。

 それは往々にして正しく、時として大きな間違いをおかした。

 間違いは他者との関係において起こった。

 だから道行は、他人と距離をとった。

 だから道行は、同年代の少年少女よりも早く心が老いていた。


 だが、今は違う。

 少女との出会いが、彼を変えた。

 迷宮での試練が、忘れていた心を呼び戻した。


「……わかってるよ……わかってるよ……だけど消えちゃうんだよ……道行くん……消えちゃうんだよ……」


 瑞穂が最後の抵抗を、最後のわがままを、最後の駄々を試みる。

 少年の優しさが憎らしい。本当に憎らしい。

 なんで、もっと悪い人ではなかったのか。

 自分ことだけ考える利己的な人ではなかったのか。

 少女は嘆く。


「……俺は消えないよ。おまえが覚えていてくれる限り、おまえの中で生き続ける」


「……格好付けてる……似合わない……似合わないよ……そんなの全然……」


「……俺の彼女は相変わらず厳しいな。こんな時ぐらい格好つけさせてくれ」


「……愛してる」


 もう、この言葉しかない。

 もう、この言葉しかないのだ。

 他のどんな言葉も、今のふたりの気持ちを――心を伝えることはできないのだ。


「……愛してる……愛してる……愛してる……愛してる……愛してる……道行くんを愛してる」


「……俺も、瑞穂を愛してる」


 少年が少女の頭を抱き寄せる。

 少年のうっすらと無精髭の生えた尖り気味の顎が、少女の前髪に当たる。


「……だから、現実の世界の俺がもしおまえに素直になれないようなら、ガツンと一発カマしてくれ。俺は……草食系だから」


「……うん……うん……わかった……ガツンと一発カマしてあげる……絶対に……絶対にカマしてあげる……素直にしてあげる……約束する……約束するよ……」


「……おまえに会えてよかった、瑞穂」


 そして恋人たちは、革鎧の少女と猫人の幼女の元に戻った。


「答えは出たみたいね」


「“アカシニア” という世界のことを詳しく教えてください。わたしが出来る限り思い出せてイメージ出来るように」


 瑞穂はリンダの瞳を見つめて、キッパリと言い切った。


「現実の世界に戻ります」



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