報告&家名
秘密の会議が終わったあとシンはアレックス、ハクとともに馬車で王都のカルミナ家の邸宅に帰っていた
アレックス「兄弟の中でお前が一番早く独立するとはな!これでお前も1人の独立貴族となってしまったが、いつでも家に帰ってきてもいいぞ!フランやミリアが寂しがるからな。しかし…お主の家名はあれで良かったのか?」
貴族家には1家に1つ家名が授けられる
殆どの場合は、自分でそれを決めて国王に伝え、それを国王が授けるが、時たまお任せにする者もいる
シンは前者で自分で決めた物を家名にすることにした
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ハクの爆弾発言のあと少し経ち、皆が落ち着いたあと(主にシン)
ラルフ「そういえば、シンよ。お主の家の家名はどうするかの?」
シン「え?カルミナではないのですか?」
クラウス「この国では独立貴族は1家に1つ家名を持つのだ。分家でもなければ新しく名乗るのが良かろう。
今回は陛下から叙爵されたから分家ではない。どうする?」
ラルフ「儂がつけてもいいのだが、それでは趣がない。
自分でつけてこそ愛着が湧くというものだ。」
シン「う〜ん…何にしようかな…」
シン(エリス。何かいいものないかな?)
エリス「地球から引っ張ってくるのはどうでしょうか?
意味はこちらの人には分かりませんが自分が地球で生きていたという意味も込めてというのは?」
シン(それいいね!じゃあ…地球という星にちなんでアストラにしようか。」
エリス「マスターにしてはいい名前なのではないでしょうか。」
シン(どういうこと?!)
エリス「いえ、ハクの名付けは体毛からそのまま取ったじゃないですか。ですが今回はいい名前になりましたね。」
シン(ぐっ…何も言えない。確かに安直だったかな…)
エリス「過ぎたことですので気にすることはありません。」
シン(それもそうだね。よしアストラにしよう!)
シン「決まりました。これからはアストラの姓にして、シン・アストラと名乗ります。」
ラルフ「ふむ…シン・アストラか…良いではないか。なぜその名にしたのだ?」
シン「先ほど女神様から神託が降りてきまして、アストラを名乗れと言われました。」
ラルフ「何?!神託だと?!それはなおさらその名がいいのう。よし分かった。シンよ。これからはアストラの姓をつけ、シン・アストラと名乗ることを許可する。これは、儂の名と女神フリーナの神託によって保証される。他家の者は何人たりとも同じ姓を名乗ることは許さない。」
シン「ありがとうございます。謹んで拝命します。」
エドワード「いいねぇ〜!シン・アストラ…かっこいい名前だね!」
クラウス「分かりました。確実に名簿に記帳しておきます。」
アレックス「かっこいい名前になったな!良かったなシンよ!」
イリス「アストラ…いい名前ですね!イリス・アストラになるのですか…ふふっ!」ニマニマ
シャル「シャルロッテ・アストラ…いい響き…」ニマニマ
ハク「お兄ちゃんかっこいい名前だね!私もアストラを早く名乗りたい!」
マリアンヌ、メリッサ「あらあらうふふ!」
婚約者達は自分の将来の名前を想像してニマニマし、母親たちは愛おしそうに子どもたちを見ていた
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そんな一幕があったがそれを思い出しながらシンは
シン「はい。流石に女神様からもらった名前を使わないのは不敬だと思いましたので…」
アレックス「たしかにそうだな…そういや屋敷とかはどうするんだ?」
シン「後で使者の方が来るそうなので屋敷を見てから、決めようかと思います。それと、アリシアを連れて行ってもいいですか?僕を幼少期からお世話してくれてますし、剣の腕もありますので護衛も兼ねて連れていきたいのですが…」
アレックス「ふむ…良いだろう。知らぬ者ばかりになるかもしれんし、知ってる者がいるだけでも安心するだろう。話は自分でしておくんだぞ。」
シン「ありがとうございます!」
ハク「私もお兄ちゃんについて行く!いいでしょ?」
シン「勿論そのつもりだよ。一緒に屋敷を見に行こうか。」
ハク「うん!行く!」
ハクはご機嫌そうにシンにくっつく
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カルミナ家の屋敷に馬車が到着し、先についていたミリアとレイとアリシアが出迎えた
ミリア「お帰りなさい。どうでした?」
アレックス「それについては家の中で話す。少し聞かれるのは不味い。」
ミリア「分かりました。では夕食の後に話を聞きましょう。」
シン「あ、アリシア!後で少し話があるんだ。いいかな?」
アリシア「?分かりました。お伺いします。」
そうして家族で夕食を摂ったあと、メイドはアリシアを除いて全員退出させ、アレックス、ミリア、シン、レイ、ハク、アリシアのみが部屋に残った
アレックス「では今日の顛末を話そうか…しかしどこから話したものか…まずはこれを言わねばならんな。シンが男爵に叙爵された。」
ミリア「まぁ!それは凄いことですね!シン、よくやりました。私達の誇りです。」
レイ「すごいじゃないかシン!僕も負けてられないね!」
アリシア「シン様おめでとうございます!。」
アレックス「王女殿下とシャルロッテ公爵令嬢を助けたことが評価されたらしい。呼び出されて聞いた時驚いたぞ。そしてここからが本題だ、陛下とイシュダル公爵から王女殿下とシャルロッテ公爵令嬢とシンの婚約を打診された、というか決定した。」
ミリア、レイ、アリシア「え?」
アレックス「馬車で子どもとはいえ、未婚の男女が密室でくっついていたと詰められて、なおかつ本人たちが了承したこともあり、婚約は成立した。
そしてハクも思いを伝えて婚約書となった。陛下に詰められた時生きた心地がしなかったぞ…
だが、王女殿下と公爵令嬢との婚約ともなると本人がそれ相応の身分がなければ周りが煩いため、内々で決めておき、徐々に爵位を上げて、時期をみて婚約を発表することになった。」
ミリア「あらあら…それはまた…」
レイ「我が弟ながら凄いね!」
アリシア「…………………」
アレックス「そしてシンは独立貴族となったため新しく貴族家を立ち上げる事になった。屋敷が陛下から下賜されるらしい。新しくシン・アストラと名乗るそうだ。」
ミリア「それは寂しくなりますね…でもシン?私達は家族です。何かあったらいつでも頼ってくれてもいいのですよ?そして偶には帰ってきて近況を聞かせてくださいね?」
レイ「これはうかうかしてられないね…弟にいいところを見せないと兄として面目なくなるよ!」
アリシア「…………」
アリシアは婚約したという話から何かを思案しているのか、何も話さなくなってしまった
シン「アリシア?どうしたの?」
アリシア「いえ…何もありません。」
それ以降アリシアは何かを決意したかのような表情をしていた
アレックス「この話は内密にな。まだ公にできないことも多い。」
ミリア「分かりました。」
アレックス「では、解散にしようか。明後日には陛下主催の懇談会に向かうぞ。準備しておけ。」
その言葉をもって解散となり、皆は出ていったがシンとハク、そしてアリシアはシンが残ってくれと言い、待機していた
アリシア「話とは何でしょうか?」
シン「そうだね…僕は先ほど新しく貴族家を立ち上げるからこの屋敷から出ていくことになると思うんだ。恐らくメイドたちも募集すると思う…なんで泣いてるの?!」
アリシアはシンの話を聞いているうちに涙を流していた
アリシア「私はシン様のことを昔からお慕いしておりました。今でもそれは変わりません!どうか私を連れて行っては貰えませんか!何でもします!どうかお側に…」
その言葉を聞いてシンはハクの言葉を思い出した
ハク「そういやお兄ちゃん?お兄ちゃんのことが好きな人は他にもいるから答えてあげてね?」
ハクの言っていた人とはまさにアリシアのことだったのだろう
そしてアリシアはシンに置いていかれると思い、覚悟を決めて自分の思いの丈をぶつけたのだろう
シン(なんていうことだ…こんなにも慕ってくれてた人がいたのにその人を泣かせてしまうなんて…主人失格だね…)
シン「ごめんねアリシア…最初から言えばよかったね…僕は君についてきてほしかったんだ。でも今はメイドとしては連れていけないね…アリシア。君にはメイドとしてではなく僕の婚約者としてついてきてくれないか?」
アリシアは目を見開き更に涙を流す
しかしその表情は喜色一色に染まり、その表情はとても美しかった
ハク「アリシアお姉ちゃん良かったね!これでまた一緒に居られるね!お兄ちゃんも気づくの遅すぎだよ…」
シン「少し回りくどい言い方をしちゃったね…ごめんねアリシア。」
アリシア「いえ…いいのです。これがなければこの気持ちを伝える機会も無かったかもしれませんので…」
無事アリシアがシンに思いを伝えて、婚約者となれた
しかしアリシアは婚約者ではあるが、シンの身の回りの世話もしたいということでメイドの仕事は続けるつもりだそうだ
夜もふけ、ハクはシンの寝室に忍び込み、一緒に寝るという日常茶飯事もありながら、次の日となった…
エリス(あともう少しで…)
何やらエリスが寝ている間にしているがそれをシンが知るのは後ほど…
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フリーナ「ふふっ笑順調に総司は力をつけているようね。これなら迎えに来てくれる日も近いわね。なら早くあの子達と力を合わせて仕事を終わらせないとね…
婚約者まで出来るのは予想外だったけど、総司なら何人いてもおかしくないし!さぁ頑張りましょうか!」
神域からフリーナはシンの様子を見て改めて気合を入れて仕事を終わらせようと2人の天使、ガブリエルとラファエルのところに向かうのだった…
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