婚約

イリス「分かりました。まずは突然この子を連れてきてしまったことをお詫び申し上げます。しかし、この子はシン様の事についても関係がありますのでこの場をお借りしてでも話すべきだと判断しました。そして話の内容についてですが、シン様との約束により、口外禁止でお願いします。」


イリスは律儀にシンとの約束を守ろうとしている

しかし…


ラルフ「ふむ…その条件が飲めなければ?」


イリス「お話しないだけです。」


ラルフ「国王としてお前に命令しても?」


国王からの命令は絶対であり、いくら王族といえども背けば、極刑は免れない


イリス「勿論です。私はシン様との約束を死んでも守りますから。」


少しの間静寂が広がる…

すると…


ラルフ「ハッハハハ!お前の覚悟はよく分かった。よほどシンとの約束が大事なようだ。良いだろう。国王としてこの場の者に命令する。この話については口外無用とする。よいな?」


その言葉を聞いたイリスは安堵したようにホッと息を吐く

そして


イリス「ではお話します。

まず私達が襲われていた時の話になるのですが、近衛兵が奮闘してくれましたが、押されている所に、あり得ない速度でシン様が現れました。

近衛兵隊長が危険だと忠告しましたが、シン様は大丈夫だと言い、盗賊に向かっていきました。

盗賊がシン様に斬りかかると、それを避けてあっという間に倒してしまいました。

他の盗賊に対しても魔法を使用し、少しの時間で倒してしまいました。

その後、負傷者の治療に回復魔法を使い、そして亡くなった者を連れ帰るためにアイテムボックスを使用したのです!

王城に到着した際に、亡くなった方は全て搬送済みで今は遺族に届けてもらっていますが。

そして馬車に乗っている時の話なのですが、この連れてきた子はなんとフェンリル様の子だそうです。」


その言葉と共に全員の視線がハクに向いた

視線を一身に浴びたハクは怖がるようにシンにくっついた


ラルフ「なんということだ…神獣フェンリル様の子だとは…なぜシンについて行っている?」


ハクは即座に答える


ハク「お兄ちゃんが大好きだから!将来結婚するんだ!」


爆弾発言をかました

その言葉に固まるこの国の重鎮達、あらあらと微笑ましそうに見ているマリアンヌとメリッサ両婦人であった

そして口を開いたのはラルフだった


ラルフ「フェンリル様の子……ハクといったか、この子がこのように申すシンはどうなっているのだ…」


その言葉とともに今度はシンに視線が集中する


エドワード「シンくん。君は一体全体何なのかな?勇者?それとも神の使徒様?」


その言葉にシンは無意識で反応してしまう

すると


ラルフ「まさか勇者か神の使徒様なのか?!」


シンはどうするか迷っている

そこへエリスが提案をしてきた


エリス「マスター。ここは正直に話してみてはどうでしょうか?恐らくマスターは否応なしに困難が襲いかかってくるでしょう。その時のためにここにいる人達に協力を申し出るのは良いのかもしれません。」


シン(そうかなぁ…というかもう言い訳は出来なそうだし言うしか無いか。転生したことは伏せて神の加護とかだけを見えるように偽装してくれない?)


エリス「了解しましたマスター。偽装完了。転生については秘匿事項とされます。」


シン(ありがとうエリス!)


そしてシンが口を開く


シン「分かりました。ステータスをお見せします。しかし、ここだけの話にしてくださいね?」


ラルフ「無論だ。イリスとの約束は守ろう。」


その言葉を聞き、シンはステータスを開く


シン「ステータス!」

シン・カルミナ  年齢 5歳

種族 亜神

職業 貴族子息 (神の使徒)

Lv20

体力 Error

筋力 Error

防御 Error

魔力 ∞


スキル

全武器適正

全基礎魔法適正

全発展魔法適正

時空間魔法

隠蔽

鑑定

創造

ガイド

成長超加速

念話

偽装


称号

初めて神域を訪れし者

女神の寵愛

精霊の観察対象

世界の理を超越せし者

努力を惜しまぬ者

加護を与えし者

シスコン


眷属

雷神狼 ハク


シン「あ、レベルが上がってる。」


それを見て前に見たアレックスとハク以外全員開いた口が塞がらない


ラルフ「おぉ…神よ。」


ラルフとエドワード、クラウスは膝をつき拝み始めてしまった


シン「ちょっと!拝まないでください!」


ラルフ「いや…これが現実なのであれば、この世界のものは全てお主に膝をつかなければならんのだ…」


シン「私はただの5歳児です!それ以上でもそれ以下でもありません!」


アレックス「息子もそう言っておりますし、普通にするのがいいのでは無いでしょうか?」


アレックスの助け舟もあり、ようやく立ち上がり、椅子に座った


ラルフ「ふぅ…いやはや一生分驚いたかもしれぬ…」


エドワード「本当にそうですね…」


ラルフ「これは早急に話を進めたほうが良かろう。シンとイリス、シャルロッテ嬢そして、ハク嬢、お主等に話がある。」


ラルフは真剣な顔をして言い放った


ラルフ「お主等婚約せぬか?」


その言葉を聞いてあるものたちは顔を赤らめ、あるものは目をきらめかせ、あるものは呆けていた


シン「婚約…ですか?5歳で?早すぎませんか?それにイリスやシャルの意志も確認しないで…」


ラルフ「イリス達はどうだろうか?」


するとイリスとシャルロッテは


イリス「私は大丈夫です!もとよりそれを交渉する予定でしたから!」


シャル「私も同じです!」


シン「えぇ?!なんで?!」


ラルフ「そもそもお主に拒否権など無いぞ。子どもとはいえ未婚の男女が馬車の中ではあるが密室にいて、なおかつくっついていたというではないか。これは責任を取ってもらわなければならんの!それとも儂らの娘では不満だというのか?」


シン「滅相もない!逆に私には勿体ない位です!イリス達はどうなの?!」


イリス「先ほども言いましたが私はシン様との婚約は賛成どころか推奨です!助けてもらったときから心のときめきが止まりません!シン様のことが好きです!」


シャル「私も!あの時助けてもらってからずっと貴方のことを考えるようになったの。貴方の恩に報いたいという気持ちもあるけど、何より私が貴方のことが好きだから婚約したいです!」


ハク「私は前から言ってるけど名前をつけてくれて、美味しいご飯もくれて、優しいお兄ちゃんが大好き!私と結婚して!」


その言葉を聞いてシンは覚悟を決める


シン「分かりました。イリス、シャル、ハク。僕とお付き合いしてください!」


イリス達は涙を浮かべながら承諾する。


イリス、シャル、ハク「喜んで!」


部屋が拍手の音に包まれる

そしてシンたちは大人がいることを思い出す

真っ赤な顔になり、恥ずかしそうに顔を伏せる


ラルフ「青春を見たのぅ…いいものだ。」


マリアンヌ「そうですね…娘が嫁に行くのも早そうです。」


エドワード「これでシン君とも義家族だね。これからもよろしくね。」


メリッサ「いつか領地に招待しましょうか。」


クラウス「おめでとう。いろいろと調整をしなければなりませんね。ですがこれも若者のため老骨に鞭打って頑張りましょうか。」


アレックス「兄弟の中で一番早く決まったか。おめでとう。困ったことがあればなんでも言え。私はお前の父親なのだから助けるのは当然だ。」


各人からの祝福を受けて照れくさそうに当人たちは笑う


ラルフ「だが今は内々の婚約者としておこう。今のままではうるさいやつが居るからのう。ここでの話は内密にな。」


その言葉とともに話の場は締めくくられた


ハク「そういやお兄ちゃん?お兄ちゃんのことが好きな人は他にもいるから答えてあげてね?」


シン「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」


最後にハクが爆弾を落としたが…


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