第13話 20話 ここで脱ぐのは?

20話 ここで脱ぐのは?


 スノーシュリンプは攻撃が効かないのか?


 嘘でしょ?




「私も行きます」




 シュナリが次にアタックした。


 近づいていきスノーシュリンプの頭を突き刺した。


 勇気あるな。


 するとスノーシュリンプはやや後退。


 頭が弱点か。


 効いてるっぽい。


 それでもハサミで攻撃してくる。




「危ないっ!」




 シュナリの身の危険を感じて叫んだ。


 ハサミの攻撃をシュナリはスッとかわす。


 速い!


 そしてまたもや頭に突き刺した。


 スノーシュリンプはたまらずに後退して逃げて行く。


 やるなぁ…。


 シュナリは追いかけていき頭にトドメの1発を食らわす。


 けっこう、刺しますね。


 スノーシュリンプは消えていき魔石になった。


 予想以上に素早いな。


 狼の血をひいてるとこうなるのか。




「ご主人様。魔物の魔石です」




「おお、ありがとう」




 初めての迷宮での戦闘。


 気おくれなどない。


 魔物に対して怖くないのかな。


 見事に倒しちゃった。


 俺なんてビビりまくってたけど。




「スノーシュリンプは甲羅が硬いですが、頭が弱点でした」




「知っていたのか」




「そう思っただけです。直感に任せて攻撃してみました。偶然でしょう」




 思っただけか…。


 人狼族の本能か直感なのか。


 俺の心配など必要ないくらいで頼もしいです。


 ここまで戦えるなら迷宮も進みやすいだろう。


 


「この調子で行こう。まだ先は長いんだ。焦りは禁物だしな」




「これから経験値を積んでいけると考えたら、楽しくなってきた」




 1階をさらに奥に進む。




「またスノーシュリンプがいます」




「俺がいく」




 言うとおりにスノーシュリンプが現れる。


 俺には視界すら入ってない先でも区別出来るようだ。


 エハロ迷宮はスノーシュリンプが多く生息しているようだな。


 よし今度は俺がやってやる。


 頭を目がけて剣を伸ばす。


 しかし剣はハサミで防がれた。


 あれれ…ハサミか。




「ハサミかよ…」




 仕方なく剣を抜く。


 シュナリのようには刺さらない。


 素早さの違いです。


 俺とシュナリでは素早さがシュナリの方が上。


 俺の剣を見切られてるのだ。


 じゃあどうしたらいい…。


 そうしているとハサミ攻撃に。


 ハサミの攻撃は遅いので、そう簡単には当たらなくて済むのが幸いでした。


 やりにくい相手だな。


 横に周り刺してやろう。


 横から何度か突っついてみた。


 殻は硬い。


 しかも凍っているようで余計に硬いです。


 スノーシュリンプが俺の剣をハサミで防ぐ瞬間。


 そこへシュナリが飛び込む。


 頭を一撃した。




「ナイスコンビだっ」




「2対1ですから」




 2人で戦う利点。


 俺がオトリになり注意をひかせてシュナリが突き刺す。


 シュナリは素早いので可能だ。


 もっと奥に進もう。


 地下1階は複雑な迷宮という感じはしない。


 単純な迷路で分かれ道も多くはなく、迷わず進めそう。


 でもメモ帳にしっかりと道を描いておきます。


 ムライ迷宮のようにどこかにボス部屋への手掛かりがあるはず。


 その時の為に。


 まだ何も手掛かりになりそうな物はなかった。


 ムライ迷宮では矢印の模様がボス部屋への手掛かりだった。


 壁はよく見ておこう。


 シュナリにも伝える。




「壁はよく見ておいてくれ。ムライ迷宮の件がある。確認して損はないだろうよ」




「目は良いですから、周りには注意しておきます。どこに何かあるかわかりませんからね。それに迷宮内にはトラップ罠があるかもです。出来るだけ気をつけます」




 嗅覚だけでなく視覚もいいときたか。


 悪い所が無いじゃないか。


 なのに獣屋に売られるなんて獣人て気の毒です。


 進んでいくとシュナリの嗅覚に反応があった。




「待って下さい。奥に2匹います」




「2匹か…スノーシュリンプ2匹か?」




「何となく違います。1匹はネズミっぽいかな」




 何だろうか…。


 とにかく進むと2匹いた。


 1匹はスノーシュリンプだ。


 正解。


 そしてもう1匹は…。


 サンドネズミか。


 コイツか。


 ウザいネズミだったな。




「あれはサンドネズミだ」




「ネズミはすばしっこいから、気をつけます」




 俺にはお馴染みと言っていい相手。


 戦闘経験を積んでいけば、どんな魔物も区別してくれる嗅覚には頼るようになりそうだ。


 サンドネズミを先に倒すか。


 それともスノーシュリンプか。


 慣れている俺がサンドネズミを。


 スノーシュリンプはシュナリに任せよう。




「サンドネズミは俺が、スノーシュリンプは任せる」




「やってみます」




 サンドネズミは牙があるがイーグルソードになり簡単に倒せそうだ。


 ネズミに斬りつけた。


 これで終わりだろう…。


 あれ…まだ生きてやがる。


 しぶといな…。


 死ぬと思ったのに。


 念の為サーチをしてみる。


 サンドネズミレベル2


 レベル2かよ。


 少しレベルアップしてやがる。


 体力も上がったようでもう一撃必要そうだ。


 イーグルソードをもう一撃。


 今度はどうだ…。


 まだ生きてやがるかな。


 サンドネズミは消えて魔石になった。


 2回は必要か。


 魔物もレベルアップするようで、倒しにくくなっていくよう。


 あとはシュナリだが…。


 スノーシュリンプを倒していた。


 早いですね。


 本当に戦闘経験無かったのかな?




「本当に戦闘経験無かったのかな? ものすごく戦いに慣れてるぞ俺よりもな」




「無かったです。村では毎日訓練してましたけど。実戦では訓練の成果がでたのかな。こればっかりは実際に経験してみてわかります」




 訓練がよほど厳しいものだったに違いない。


 この身のこなしかたといい、普通に考えたら素人ではないでしょう。


 潜在能力が高い可能性もある。


 サーチではシュナリのレベルしかわからない。


 アビリティの数値はわからない。


 恐らくレベル1でも素早さや攻撃能力は高いとみた。


 レベルが上がると更に数値は上がり強力になる。


 楽しみである。


 もっと進もう。


 地下1階はどれくらい進んだであろうか。


 メモ帳に描いたマップを見ながら考える。


 まだ時間はあるので探索に向かう。


 その後は魔物はスノーシュリンプとサンドネズミの組み合わせが多かった。


 シュナリとのコンビは良好で倒していく。


 イーグルソードのスキルである攻撃回避も役に立った。


 何度か攻撃を受けると思ってもなぜか当たらなくった。


 スキルの効果だった。


 スキル付きの武器はかなり使えそうだ。


 場合によってはレベルを下げてもスキルを優先して戦う方が良い場面もありえる。


 連戦したのでシュナリの体力を気にした。




「魔物との戦いもして、少しは疲れてるかい」




「少し疲れてます。初めての戦闘。緊張して戦ったからだと思うけど、手に汗もかきました」




「無理することないし、それが普通だろうよ。ここで少し休むとしよう」




「ご主人様…優しいですね…」




「いゃ…そうでも」




「だって…私のこと気にしてくれてるから…」




「そりゃーね…大事だからシュナリがさ」




「えっ…大事? 嬉しいかな。そんなこと言われたことないし。大切にされたのは初めてです」




「もちろん大切だ。シュナリがいてくれて助かってる。ずっと一緒にいて欲しい」




「う…嬉しい…じゃあ………」




 シュナリはその場で何を思ったのか、防具を脱ぎだして、服も脱ぎだす。


 ここは…迷宮内ですよ。


 何をしてんの?




「な…な…なにを?」




「こうすると…ご主人様、嬉しがるから…お返しにと思ったの」




「い、いや、嬉しいことは嬉しいですけど…ここはダメだからっ!」




 シュナリは魔物がいつ襲ってくるかわからない状態なのに、防具を脱ぎだし衣服までも脱ぎつつあった。


 こんなとこ誰かに見られたら大変。


 変態としか思われないし、2度と町を歩けなくなる。




「喜んでくれると思ったのに…」




「喜んでますとも…あはは。だから服は着ましょう」




「はい、着ます」




 再び衣服と防具を装着し直す。


 びっくりしましたが、楽しめました。


 ヒヤヒヤものです。


 それよりも、休憩休憩、


 さすがに訓練はしたといっても実践はまた違うものだ。


 緊張感も感じて神経も使っているはず。


 適当に座れそうな砂場があったので、2人で腰掛けることにした。


 まだ先は長いので。


 なぜかしら、一瞬だがシュナリの裸を見てか疲れがとれたのは喜んでいいのか、悲しむことなのかな。

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