第12話 19話 エハロ迷宮へ

19話 エハロ迷宮へ


 道具屋で砂丸腕輪を購入しました。


 魔書は共有出来たのでオッケー。


 次は迷宮か。


 これで迷宮へ行く準備は整っている。


 2人で迷宮屋に行く。




「迷宮屋だ。迷宮をレベルにあった物を紹介してくれる」




「冒険者って感じします。迷宮レベルが重要ですよね。ムライ迷宮よりも上のレベルがいいのでは。不安はありますが」




「心配はいらない、俺の横に居ればいいさ」




「ベッドは横にいてもいいのかな」




「ベッド? それって夜のベッドかい」




「うん、ご主人様が横にいればいいというなら、ベッドも横にいてもいいのかなと思ったの」




「ま、まぁな。その話は夜にしよう」




 本当に予想もしないところから、話がくるので油断ならないのである。


 シュナリもテンションが高まってきたのかな。


 店内に入ると俺達以外にも冒険者はいた。


 前もそうだが、常に冒険者は居るな。


 迷宮に行く仲間を探しているのかも。


 1人よりは何人かで行った方が効率よく進めるのもある。


 俺の方をチラリと見てる。


 俺は仲間に成らないですよ。


 いや、違うか、シュナリだろうか。


 シュナリが珍しいなら、見ても構わない。


 見るだけだぞ!


 カウンターへ向かうと、お姉さんが接客する。


 相変わらず美人です。


 今の俺にはシュナリが居る。


 シュナリか可愛さでは1枚上手だな。




「いらっしゃいませ進さん。ムライ迷宮の攻略はお見事です。今後もよろしくお願いします。この件は必ず国王にまで届きますので、進さんのお名前も伝わります。ですので、活躍次第では国王から表彰されたりもします。国王からの表彰は冒険者にとって大変便利な名誉。ぜひとも頑張ってください。次はいかがしますか? ムライ迷宮レベルのもありますが」




「同じくらいですか。初心者もいるのでね」




 表彰なんてあるのか。


 俺は生まれてから表彰なんてもらったこと記憶にないです。


 まぁ貰えるなら貰らいましょう。


 迷宮だけど、シュナリのことを考えたらその位のレベルが適当だな。




「やや難易度は上です。エハロ迷宮になります。まだ確認されて間もない状態の迷宮でレベル2と認定されています。決して不可能な難易度ではないと思います」




 レベル2か…。


 お姉さんさんの言うことを信じましょう。


 美人に弱いんだな俺。


 後は場所かな。


 ムライ迷宮は歩いて行けたので、同じくらい近いのがいい。


 途中でも町に帰れる利点があるし。




「その…エハロって近いのですか」




「ターヤの町を出て30分は歩きます」




 歩きか…。


 外は砂漠で暑いからな。


 なるべくは歩きたくない。


 迷宮に着く前に体力を消費しちゃう。


 他の冒険者も歩きかな…。


 車や飛行機を見てはいない。


 そうなると、遠い迷宮はどうされてるのか。




「…困ったな」




「30分なら私は歩けます」




 シュナリはヤル気をみせた。




「途中に魔物なんか出たら困るよな」




「近いのもあれば、遠い迷宮もあります。この町から歩きだと遠いので騎竜があります。あっという間に着きますよ」




「騎竜?」




 竜に乗るのかよ。


 危なくないのか?


 迷宮より竜の方が怖いけどな。


 でもゲームっぽいですね。


 竜に乗って冒険する。


 世界の好きな場所へ、いつでも行けるなんて。




「竜と言っても人を運ぶ魔物です。ドラゴンのような巨大で人を食うなんて危険なことはありません。安心して欲しいです。恐れることはありませんので。ただ輸送料金として往復料金は500トパーズかかりますけど、オススメかな」




 500かかるのは、高く感じる。


 まぁ歩くよりは増しか。


 怖くないとお姉さんが言ってるのだし、信じることにしよう。


 シュナリにも確認しておく。




「騎竜にしてみよう」




「初めてです。どんな気分なのか興味ありますね」




 シュナリも同意してくれたので決定します。




「騎竜を頼みます」




「騎竜でエハロ行き、ありがとうございます。2人分の1000トパーズ頂きます」




 1000トパーズ支払う。


 もう完全にトパーズは底をついた。


 もう一銭もないぞ。


 稼がないと今日は野宿する。




「コチラにどうぞ」




 お姉さんが案内してくれる。


 歩く姿はお尻がプリッとしていて、つい見入ってしまいます。


 迷宮屋のカウンターのあるロビーから扉を開ける。


 扉の先は外になっていて、柵で覆われていた。


 その柵で囲まれた中にはラクダのような魔物が数匹。




「こいつが…騎竜」




「竜ですっ!」




 シュナリも初めてのようだ。


 これに乗って騎竜が走るわけだな。


 まぁ馬だと思えばいいのですね。


 馬にも乗ったことはないけど。


 少し強そうだけど、大丈夫か。


 まさか食ったりしないな。


 シャレにならんぞ。




「食ったりしないですよね」




「安心して下さい。騎竜を操作する魔物使いが一緒に同行します。特に難しい操作はなくて、乗っていれば目的地まで運んでくれますから、叩いたり首を掴んだりしないでください。暴れる可能性もあるので」




 暴れるって?


 さっきは聞いてなかったですが。


 確かに男が騎竜に乗っている。


 この人が魔物使いか。


 安心して下さいの言葉を信じるしかないです。




「お願いします」


 


 ひと言挨拶してから。


 魔物使いの方は男性で、冒険者のようには見えなかった。


 やや、とぼけた感じのする人と印象がした。




「では、お乗りくださいませ。かなりの速度が出ますから、びっくりするかもしれません。綱がありますので両手で掴まっていて、後は到着するまで突っ走ります」




 シュナリが騎竜に乗るのを手伝ってあげる。


 


「大丈夫かい、乗れそう?」




「乗るのにコツが要りそう。もう少しで乗れそうなのに届かないわ。上に押して頂きたいです」




「上に!」




「はい、お尻を押してみて下さい。その力で届きそう」




「わかった。押すぞ」




 本人が押してくれと言ってるのだから、触ってもいいのだろう。




「押したぞ」




「乗れました」




「よし、綱を掴むんだぞ」




 お尻はとても柔らかいボールのようであった。


 触ってみてこの世界に来て大変な面もあるが、女の子と全く接点が無かっただけにシュナリとの生活は期待感が高まる一方だ。


 魔物使いは騎竜に声をかけた。




「出発します」




 魔物使いの一声でいっせいに走り出した。


 迷宮屋を出ると軽々と俺を乗せて突っ走る。


 速い!


 地面は砂しかないのに。


 こんな足場の悪い道をこの速度で走れるのかよ。


 ラクダをイメージしていた。


 きっと誰でもイメージするだろう。


 地は砂なので、歩く感じになると。


 でも全然違いました。




「大丈夫か」




「速いです」




 シュナリも驚いている。


 3匹の騎竜は勢い良く走り続ける。


 これは便利。


 馬より速いだろう。


 もし陸を走ったらもっと速く走れるな。


 快適に走り続けると魔物使いが止まった。




「お客様、エハロ迷宮に到着しました」




「ここがエハロ迷宮…」




「私はここで夕方までお待ちしてます。日が沈む前に戻って下さい。もし帰って来ない場合は町に帰ってしまいます」




「帰っちゃうの?」




 シュナリが悲しそうに言う。




「契約で決まっております。私にも変えられないので」




「わかった。ありがとう」




 1000トパーズ支払った甲斐はある。


 魔物使いには時間の限りがあるようだ。


 夕方までにか…。


 最深部までいけるのか、わからないな。


 途中でも時間を見て引き返すようになる。


 迷宮に突入します。




「入るぞ」




「はい」




 エハロ迷宮の入り口。


 ここからシュナリとの冒険が始まるわけだ。


 地下1階に立つ。


 さっそく魔物を探してしまうも先にすることがあった。


 まずは武器を具現化する。


 これを忘れてはいけない。


 昨日はレベル3で冒険者の剣を使用した。


 今の俺はレベル6に。


 新しい武器が使えそうだ。


 アイテムボックスを開く。


 魔書を手にしてページをレベル6で探した。


 レベル6の武器は…。




 イーグルソード


 必要レベル6


 必要魔力量230


 スキル 攻撃回避アップ




 スキル付きの剣。


 攻撃回避てことは、相手の攻撃を受けずに済むこともあるてことだよな。


 体力を温存できそうだ。


 よし、これにしよう。 


 イーグルソードを砂丸腕輪に読み込ませた。




「イーグルソードっ」




 砂が変質していき剣へと変わる。


 中々格好のいい剣の登場にテンション上げ。




「いい感じします」




 シュナリが褒めてくれる。


 俺の武器はこれでいくとして、次はシュナリの武器。


 一度成功しているから問題は無いよね。






 堀進 


 冒険者レベル6


 


 装備 砂丸腕輪




 イーグルソード レベル6 魔力量 230 【攻撃回避アップ】


 




「次はシュナリの番だ」




「はい。ブロンズダガー」




 俺のイーグルソードよりも短い剣。


 小さいので小回りがききそうだ。


 俺も使ってみようかなぁ。




「小さなので良いかもな」




「剣も大きいのが好きなのかなご主人様は?」




「胸をぷるんぷるん持ち上げるな!」




 確かに胸は大きいのがいいけどな。


 上下にぷるんぷるんと揺れて、ハンパない。




「迷宮の奥に進むぞ」




「迷宮って感じしてきました。ぞくぞくと」




 シュナリは怖くないのかな。


 人と違い、人狼族の持つ性質なのだろう。


 まぁその方が頼もしいくらいだ。


 俺が前になり進んで行く。


 魔物が現れても対応出来るように。


 エハロ迷宮内はムライ迷宮と同じく砂で覆われている。


 シュナリは短剣を持ち警戒しながらついてきている。


 そこでシュナリが注意をしてきた。




「ご主人様、前方に魔物の気配があります」




「なに!わかるのか」




「魔物の臭いがします」




「臭いか…注意していこう」




 人狼族の特技の1つである嗅覚。


 さっそく役に立ちそうだ。


 俺には何にも臭わないのに。




「あれか…」




「エビです」




 エビが1匹いる。


 迷宮にエビがいるのも不思議だが、仲間ではなさそうだ。


 ウインドウを開くとサーチを。


 スノーシュリンプレベル1


 スノーシュリンプてある。


 初めての遭遇。


 まずは俺が挑んだ。


 イーグルソードをお見舞いしてやる。


 シュリンプの胴体の部分に斬りつけた。


 効いたか!


 スノーシュリンプはダメージを受けていない。


 それどころか俺にハサミ攻撃を出してきた。


 寸前で避ける。


 コイツは厄介だな。

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