第2話
2話 ターヤの町
迷宮を抜けると近くの町が見えたので助かったと歩いて町までたどり着くと、目についたのは迷宮屋と書かれた店であった。
迷宮屋に入ると信じられない位に美人な女性店員さんがいて話をきいてみることにした。
「どうもいらっしゃいませ。迷宮をお探しですか?」
「いえ、初めてなので迷宮について聞きたい」
「迷宮にはレベルアップあって初めてなら初心者向けの迷宮をご紹介しますよ」
「初心者向けってのがあるわけですね、それとこの腕輪のことも知りたいのですが」
手に入れた腕輪を見せてみる。
「砂丸腕輪【サーマル】の事ですね。砂丸があれば砂から武器を作れます。でもその為には砂丸魔書が必要とするので道具屋さんに行けば購入できます」
「魔書がいるのか。ありがとうございます。準備が整ったらまた来ます」
「お待ちしております!」
恐ろしく魅惑的な笑顔で別れとなると迷宮屋を出て言われた通りの道具屋を探し出して魔書を一つ購入した。
そこから町を散策していくと宿屋に到着したので入っておくことにしたいと思ったのは、たとえ金が掛かっても寝床だけは必要だからである。
「お一人様ですか? 1000トパーズです」
「一泊でお願いします」
「初めてですね、まだ新米の冒険者のようなので気をつけてな」
店員さんは、オッサンではあったが中々親切な人ではありここに泊まることに決めてしまうが、肝心なお金は初期状態で100万トパーズ所持してあったので足りていて助かって、お金の単位通貨はトパーズと判明した。
100万はやや多いがきっと魔力量と同じで、なぜか初期状態からあり有り難く思った。
部屋に行くと、ウインドウを開いてアイテムボックスから購入した魔書を取り出してみると、木の棒が見つかった。
これは初めて使った武器であり、他にもページをめくり探してみると必要レベルと魔力量が記載されてあり、どうやら木の棒はレベル1で魔力量は50となっており、使用条件を俺は満たしていたから作れたようであった。
他は冒険者レベルが達していない為に作ろうとしたけど失敗に終わってしまった。
冒険者レベルを上げることによって使える武器が強くなる仕組みだと理解していくと最後のページにバジリスクとあって気になって調べると、冒険者レベルはーーとあり不明瞭で魔力量は90万と記されてある。
もしやと俺は感が働いて、魔力量は99万9999あるので足りていたから作れるのではと思い砂丸に読み込ませてみた。
「バジリスク!」
恐らくはダメだろうと思いながらも、まさかと思ったのは実際に砂がバジリスクに変化したのだったから驚いた。
恐ろしく異様な光を帯びていて魔力量からすると相当な威力のある剣だと推定された。
手が震えてしまうのもしばらく経つと突然砂に変化してしまったので、察するところ俺の魔力量が尽きたと判断した。
凄まじい力を持ってるけど魔力量からある程度の時間しか使えないと分かった。
翌日宿屋を出てみると獣屋という店も発見したので、気になって入るとこれまた美人なお姉さんが受付をしていた。
「いらっしゃいませ。獣人をお求めですか? 今ならすぐにでもご紹介します」
「獣人ですか? ぜひ拝見したいです」
お求めと聞いて気持ちが高ぶるのがわかり、拝見させてもらうことにしたら現れたのは頭に耳が生えており、お尻からは尻尾が生えた獣人であった。
「この子はシュナリといい、大変です可愛くて魅力的です。さらに攻撃的な潜在能力もあり、大特価で100万トパーズでご紹介しますよ」
100万とはまた絶妙な金額であるのは、偶然かと考えてしまったがシュナリの顔は可愛くて、しかも胸が大きく盛り上がるのが印象的で、大変に悩んでしまうが目が合うと、その魅力的な目に惑わされていた。
「購入します」
「ありがとうございます。ちょうど100万頂きました。後はお客様のご自由にどうぞ」
ご自由にと聞くと妄想が膨らんでしょうがないが、挨拶をすると。
「俺は進。よろしくです」
「私はシュナリといいまして、人狼族の血を引いてます。迷宮にも行けば多少は戦えると思いますのでよろしくお願いします」
「ちょうどいいタイミングで、これから迷宮に行くので期待してるよ。心配なら俺にくっついてればいいさ」
怪我されても困るし、大金がかかってるのだから大切にしたいという意味で言った。
シュナリは俺の言う言葉を理解してくれたようで、ニコッと笑みを作った。
「くっつくって、こういうことかな」
「うわぁ!」
急にシュナリが抱きついてきたので、驚いて声を出してしまった。
くっついてきたから、体と体が密着して柔らかい物が当たっているのがわかった。
「ちょっと、いったん離れようか。落ち着こう」
「はい」
どうやら人狼族の娘らしかったが、大胆な行動をする。
よくわからないままこの世界に来て、人狼族の娘が近くにいるのがまだ慣れていなかった。
それはまだ女の子とろくに会話もしたことないのもあった。
だからどうしたら仲間として協力していけるのか悩んでいた。
「俺はまだ駆け出しの冒険者だから、迷宮は初心者の所へ行く予定なんだ」
「私も経験はないのです。訓練しかないし不安かな」
「最初は無理せずに行こう。大怪我したら大変だしな」
背は俺とほぼ同じくらいで、とても一緒に歩いていて不自然な気がした。
どう考えても可愛い過ぎて浮いてる感じといったらいいだろうか。
目が合うだけで緊張してしまう。
言葉をかけたくても思い付かないのは、瞳に吸い込まれてしまうのではと思ったから。
周りの視線を気にしてしまうとシュナリが俺を見てくる。
「ご主人様。何やら見ず知らずの人が見てくる気がします」
「それはシュナリが可愛いから珍しく思えて見ているのだよ」
「そうなんですかね。自分ではよくわかりません。私にはご主人様が居てくれればいいですし」
「そ、そうかい。俺も嬉しいよ、シュナリが居てくれて」
「嬉しい!」
「わっ!!!」
突然に俺の腕に抱きついてきたので、驚いてしまった。
一緒に居たいと言ったから嬉しくなって抱きついて来たのだろうが、慣れてない経験なのでリアクションをどう取っていいのかさえわからなかった。
ただそれ以上に驚いたのは抱きついた為にシュナリの大きな胸が腕にギュッとくっ付いて、感触がとても柔らかく気持がいい。
俺は心臓がバクバクしてるのがわかった。
その音をシュナリに聞かれてるのではと思って恥ずかしくもあった。
こんなことが出来るなんて夢のようだった。
この世界に来た時はイマイチ気が乗らなかった。
当たり前だが好んで魔物を殺す世界に来たいと思うか。
だがこの感触が味わえるなら、ここもまんざらではないな。
「あの〜ご主人様。なんか顔が赤いですよ」
「あ、赤いか? 暑いのかな……」
原因はシュナリの行動にあるのだけど、言ったら離れてしまいそうなので、そこは誤魔化す。
「暑いの……。それならこうしてあげます」
「えっ!!」
何を思ったのか俺を引っ張ると立ち止まる。
そして俺の顔を両手で持った。
どうするのかと思ったら、シュナリは自分の顔を俺の顔へと引き寄せる。
そしたらオデコどうしをもの凄い近い距離まで近づけた。
オデコとオデコをピッタリとつけてしまう。
生暖かい温度が伝わってきた。
俺の体温を測ったようですが、もう少しで唇が重なり合うところであり、あまりにも大胆な測り方であったため、俺は気絶しかかった。
「うーん、熱は無さそうですよ。寒いのかな?」
「寒いといえば、冷え性なんだよな俺は」
「冷え性なんだ。ここなら暖かいよ、ほらね!」
「う、ううううう!!!」
シュナリは俺の顔を自分のたわわな胸に押し付ける。
何だこの感触は。
生まれて初めての柔らかい感触であった。
嬉しいくてもっとしていて欲しいが。
「暖かいでしょう?」
「暖かいけど、苦しいかな…」
「苦しい?」
やった胸から離してくれた。
まだ顔面は胸の柔らかい感触が残っている。
「あ、ありがとな。大丈夫だと思う。びっくりしたけど……」
少し話した感じでは優しそうな感じで好感が持てた。
気掛かりなのは、女の子と会話すらしたことない俺には、刺激が強いということである。
早速仲間が出来たところで迷宮屋に行くと、また美人なお姉さんが店員さんしていて迷宮を紹介してくれた。
「まずはムライ迷宮が初心者向けですので、ここから始めるのが進さんにはよろしいかと」
「ムライ迷宮にします」
情報を持ってないので、受付けの人に任せるのがいいだろう。
「頑張ってね!」
あまりの可愛さに顔がダラケてしまったらシュナリが見ていた。
「ご主人様。どうしたのですか、顔がニヤけてますが?」
「何でもない。気にしない気にしない。迷宮に行こう」
ご主人様と言われて嬉しいと思ったので、恥ずかしからニヤけるのは隠すことにした。
次からお姉さんと会話する時は気をつけて話したい。
ムライ迷宮に到着してから武器は木の棒を作り、シュナリは短剣を装備し魔物との戦いに挑んだ。
「魔物との経験はあるのかい? 獣屋では戦闘向きと言ってたけど」
「はい、幼いころから短剣を使用した訓練を受けていましたから、実際には経験はないけど、弱い魔物なら狩れると思います。ただ戦ってみないことにはわかりませんけど」
「それでもひとりよりは二人の方が有利だろう。頼りにしてるぞ」
「頼っていいわよ」
「うわぁ!」
またも胸を密着してくる。
この胸は危険過ぎるな。
魔物と戦ってる場合じゃないぞ。
「魔物は私も楽しみです。どんなのが生息しているのか」
いざ探索してみると、俺よりも遥かに強かったのはショックであったが、そのおかげで迷宮の下の階層に行けた。
途中でレベルアップを果たし風の剣、冒険者の剣と砂丸から新しい武器に変えると、攻撃力はアップしており探索しやすくなった。
ムライ迷宮はサンドネズミが中心に現れ、まれにデビルバードというコウモリらしき魔物とも戦った。
迷宮も探索していくと地下三階までたどり着くことに成功したのは、予想外であったがこのまま最深部まで行けそうな気もした。
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