お題:秘密 タイトル「真面目に恋は難しい」
マサムネ
「真面目に恋は難しい」
高校1年の冬、僕には彼女が出来た。
同じクラスのAさん(仮称)だ。
学校の帰り道で声を掛けられて、告白をされた。
艶やかな長い黒髪が特徴的なかわいい女の子。
中学からの同級生で、何度か話をしたことはあったけど、まさか自分のことを好きでいてくれたなんて思わなかったから、びっくりした。
女の子から告白されるのは初めてで、うれしくて僕もOKし、付き合うことになった。
自分から告白してくる度胸もあり、ある意味男らしい芯の強さもありながら、普段は大人しめで、女の子らしい。ぶりっ子ではないものの、ちょっとした仕草には無自覚ながら女子高生特有のあざとさもある。
とても魅力的で、僕も彼女のことを大好きになった。
田舎の高校生のデートなんてたかが知れている。休日は近くのショッピングモールに行くか、公園をぶらつくか、たまに奮発して映画を見に行くくらい。平日は一緒に登下校するのと、ファミレスによったり、一緒に勉強をしたりした。
趣味の話で盛り上がり、他愛のない話で盛り上がり、高校生らしい交際をしていた。
一線はまだ越えていないよ?
キスもまだ。
手をつなぐくらいで精いっぱい。
まだ高校生だし、今どきの高校生は先のことまで経験しているかもしれないけど、僕たちはまだこれくらいのペースでいい。
でも、僕には秘密にしていることがあった。
彼女のことは大好きだ。
大好きだけど……
一番じゃないんだ。
一番好きなのは、小学校から一緒のBさん(仮称)だ。
初恋の女性だった。
高校生になって少し垢抜けてきて、ギャルってわけじゃないし、化粧をしているわけではないけど、生来の輝きがあるのか、誰の目も惹きつけるような美人だった。
小学校の頃は割と話したけど、中学では自然と疎遠になり、でもその姿はいつでも目で追ってしまっていた。
僕にとっては高嶺の花。
告白するなんてとんでもない。
異性にも同性にも人気があって、まさにスクールカースト上位。
きっと彼氏だっているに決まっているさ。
だから、Aさんは一番じゃない。
好きだけど、一番じゃない。
でも、僕はAさんを大事にしているよ。
彼女と付き合うようになって、今まで彼女のいなかった日常を思い出せないくらいだ。
彼女の笑顔も、一生懸命勉強している横顔も、ストローを咥えて上目遣いにこちらを見つめてくる表情も、全部好きだ。
好きだ……好きなんだよ。
でも……なんでBさんの顔がちらつくんだ。
Aさんだってかわいくて、クラスの男子の中では狙っていたやつだっていたんだ。
(でも、Bさんのがかわいいよな)
うるさい黙れ!!
彼女は、彼女は僕みたいな地味で目立たない男を好きになってくれたんだぞ!
(手近なところで手を打ったんだろ)
うるさいうるさいうるさい!!!
彼女は性格がすごくいいんだ!
(ああ、BさんよりAさんのが間違いなく巨乳だよな)
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!
僕は、僕はダメな人間なのかな……
自分の心の声に、首を絞められている。
Aさんのことは好きなんだ。
すごくいい子なんだよお、大切にしたいと思ってるよぉ……ちくしょぉ。
Bさんのことを、告白もしてないのに、勝手に引きずっているけど……
それじゃあ、ダメなの?
誰か
誰か、教えてよぉ。
お題:秘密 タイトル「真面目に恋は難しい」 マサムネ @masamune1982318
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます