SSの『キャラ名「台詞」(行動・補足)』は小説の下位互換ではない
二次創作の話題をSNSでサーチしたり、小説コミュニティなどで話を聞いていると、時折以下のような意見を耳にします。
「SSの『キャラ名「台詞」(行動・補足)』のスタイルはその時点で読む気をなくす」
続いて
「小説スタイルでしっかり書いて欲しい」
この意見を持っている人に、このスタイルで書いた二次創作を読んでもらうというのは難しい話ですし、それを目指すのは努力の方向は違うと思います。
しかし、この意見に流されて語りのある小説を書こうと思っても上手くいかなくて、筆を折ってしまっては元も子もないと思うのです。
では『キャラ名「台詞」(行動・補足)』で書いてる人で、語り手のいる地の文が苦手な人は他に手段はないのでしょうか?
実は他にも方法はあります。一度にたくさん登場人物が出てくる場合、むしろこちらの方があっている場合があります。
それは『戯曲』のスタイルです。
(他にもありますが、本文章ではこれに絞ります。)
順を追って説明します。
まず、小説というものを再確認させてください......"小説"の定義もほんとは様々なので、あくまで"今回の定義"です。
・語り手がいる(地の文)
・括弧書きで台詞が提示される
という2つの要素で作られた文芸・物語を指します。
その中でも『語り手の部分が本質ではないか』という考え方があるんですよね。
上記考えの是非は置いておくとして。
二次創作したい人の『小説』以外の原典はなんでしょうか。そしてその原典の『文章部分』はどうなっているでしょうか。
漫画、
ゲーム(シナリオ・セリフ部分)、
アニメ、
セリフのみのSS、
ラジオ、
ボイスドラマ、
劇、
ドラマ、
映画、
......、
『言葉』を用いた表現法方を一通りあげただけでもこれだけたくさんあります。上記以外にも色々ございましょう。
上記の作品形態、これらの作品の『脚本、シナリオ文のイメージ』
が
『キャラ名「台詞」(行動・補足)』
になってたりします。
小説を読まない人にとっては、むしろこのスタイルの方が小説より馴染みがあるんですよね。
ただ、世間一般的には文章で伝える物語は"小説"が一般的です。その中で何か物語の創作をしようとすると、
『自分ができること、手の伸ばせる位置にあるのは小説だな』
『普段ゲームを遊んだり、漫画を読む立場である。
一方でSSとか、ネット小説でファンタジーゲームの世界観を文字化してる作品をたまに読むし、とりあえず小説・もしくはSSで表現してみようかな』
という発想に行き着きやすくて、そういう理由で選んでる人も多そうですよね。
ただ、ここで冒頭の『「小説」ではなく「戯曲(演劇台本)」を選ぶ』という手段が出てくるのです。
戯曲は『あくまで演劇の台本でありそれ単体は作品ではない』という"勘違い"がありますが、そうではありません。
読者に、劇場に足を運んだ観客になりきってもらいながら読んでもらう文学です。
その上で戯曲の場合、舞台でその劇をするための台本であるという明白な指標があります。
そうなると『キャラ名「台詞」(行動・補足)』のスタイルであっても
『このタイミングで行動・補足はしっかり書かなければ』
という、漠然とした台詞の掛け合いだけでは意識できてなかった読者を意識した書き方がしやすい、と思います。
ネット小説の投稿場所に戯曲形式の投稿は少ないので『戯曲がおすすめ!』とは絶対言えないんですが、
『SSからステップアップしたい気持ちがあるけど、小説はどうしても苦手だ。というかそもそも自分は小説を読まない』
という状況であるなら、この戯曲形式を採用するというのはひとつの手段であると思います。
原作準拠で二次小説を書くということについて 彩色彩兎 @SaisyokuAyato
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